ブルーシャムロック

此処はtomohiroのオリジナル小説サイトです。
小説主体ですので、小説に興味の無い
人は、退出下さい。

上野か鎌倉か?

2015-12-19 05:28:38 | 信・どんど晴れ
「あの訛りの中学生は秋田の子ね。秋田のどこだろう。」
鎌倉の小町通りを私高槻久瑠実と一緒に行動しているのは、今年の春から
ルームシェアで住んでいる他學に在籍している、横手淡雪という秋田出身の女性である。
私は石川県出身で、傍らを歩いている横手淡雪のほか、沖縄の近くの島である
加計呂麻島という島出身の松本佳奈という女性とともに、今いる鎌倉と横浜の中間に
位置する、神奈川県の街に住んでいる。
「石川県に住んでいたい時代から話は聞いていたけれども、凄い人だ。」
私はため息をついた。
「観光地はそんなものじゃない。中学の時の修学旅行で鎌倉と横浜に来てからかな。」
と、人をごった返す店を眺めながら言う。
彼女はここに住んでいる嬉しさが顔に見える。
「それほど歴史に興味ないのに、何で鎌倉なの?」
私は嬉しそうに、横手さんに質問した。
「そうねぇ。進学や就職で上京したらしたで、雷門や上野駅の周りに住むのが嫌だったから。」
人がたくさんいる場所で鶴岡八幡宮までの道をほんの少し動きながら移動している時、
横手嬢はそんなふうに言った。
「はぁ。下町が嫌だからか。私は関東だったら、雷門や上野駅の周りも鎌倉も横浜も同じだけれ東北の人たちにとっては、鎌倉も横浜は雷門や上野駅の周りより来づらいのか。」
私はなんだか呆れていた。
「うん。みんな雷門や上野駅の周りじゃなければ、川崎や調布や日野、大田区あたりは
私の高校時代のクラスメートの親戚が住んでいる話は聞くんだ・・。だから抗って
鎌倉や横浜の学校に進学しようかなと・・。」
彼女の不思議な確信は、全くなんにも言えなかった。でも、彼女にとっては鎌倉や横浜の
周辺の関東地方は、すごい力を与えてくれるようにも私は思うんだ。
そろそろ鶴岡八幡宮だ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

エスコートしている2人の男子

2015-12-18 12:23:35 | 逆襲の藤隆
「さあて、今日はどこに行こうかな.」
平賀知世は、2人の男子にエスコートされていた。恋人の浅岡蓮次はどうなったのだろうか。
「ねぇ。蓮次君は、あれでいいの。」
「蓮次君、今日はあれでいいんだよね。」
二人の女性に伴われていた。
一人は平賀知世をエスコートしている年長のバーミリオンの恋人であるマゼンタ。
もう一人は年少の日下部浩一郎の恋人である柿沼萌美である。
「いいんだ。知世にとって憧れの男性と一緒にいる時が彼女がいきいきして見える。
僕が一緒にいるのでは違った感じを彼ら二人から得ている。」
蓮次は軽く答えた。
女性2人はふーんと顔を見合わせた。
「もしかしたら、知世さんの一番好きな人って、親友の有村さんじゃないかな。」
柿沼萌美が言う。
「萌美ちゃん、なんてことを言うの.」
マゼンタの表情が曇った。
「もしかしたら、そうかもね。僕自身平賀知世という女性は両性愛者だから、
僕も同性の方も愛せるのかもしれない。最も、有村さんは彼女に恋愛感情がないから
よく、彼氏を連れてくるんだよね。僕としては負けるかもしれないけれども、
有村さんと彼女の関係を保っているバランサーとしては僕同様必要と彼もされている。」
蓮次は曇った笑いをした。
2月の桟橋は季節にしては温かい風が吹いている。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

何も言うな。

2015-12-07 18:21:30 | 信・どんど晴れ
「女将」
松本佳奈はポツリと女将に言う。
「今、女将のためにやっている仕事に反抗する気持ちすら失いました。」
表情を代えずに言う佳奈に、女将は
「そうかい。それはいささか織り込み済みだったんだよ。でもね
面白いことを教えてあげるよ。」
と、佳奈をからかうように顔を覗きこむ。
「なんなんですか。」
佳奈は質問した。
「そうだねぇ。あんたが徳之島と加賀美屋に来た時にね。夢を見た。
私には一人娘がいてね、風景が東北か北海道みたいなんだ。
まだ、雪の残る春が浅い時でね。娘がだまって東京に出ていった夢だった。
私には娘なんていないのに、なんだか生々しい。東京も行ったこともない。
なのに、娘が去っていく電車の中で{東京に行く}とか言っていた・・・。
そして私は呼び戻すことができなかったんだ・・。
もしかしたら、正夢なのかもしれない。
と思って、かつて東京にいたあんたのことかもしれないと私は確信し、
あんたを鍛え直そうと思って、古仁屋に足を運んだ際に、あんたをみて
私の後継者にしよう。と思ったんだ・・。」
世界に入っている女将を見て。
「そんなわけなんですか。でも、東北だか北海道というのがなにやらすごいですね。」
と佳奈は答えた。
「うん。あの東北だか北海道の風景の人の無念があんたを呼んだのかもね。」
女将の表情は揺るがない。
「私なりに解釈しますが、多分東北だか北海道の風景の人は
我々とは違う、日本に住む人なんではないか。その人の情念が
私を呼んだのかな。」
佳奈がそんなことを答えたのは、もう逃げられない自分を感じたからだった
「逃げられない自分を感じたのかい?」
女将は少々意地悪そうに答えた。
「はい。」
佳奈の表情は気の抜けたコーラみたいだった。でも、表情には生きていこうと思う
表情もあった。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする