ブルーシャムロック

此処はtomohiroのオリジナル小説サイトです。
小説主体ですので、小説に興味の無い
人は、退出下さい。

だが為に阿佐慶のアンはいるのか?_4

2014-03-28 21:35:55 | 信・どんど晴れ
「足下は何を言わんとしているのか。この方針の元では自然の摂理である。」
とか、
「物語とは語り継いでこそ物語。語ることを禁じられた物語なんて・・・。」
田口の物語にはそういうことが伝えられている。
「自分だって、恥ずかしいけれどもこの話題を脚本や戯曲に
いれるのは、あのときは舞い上がっていたんだよ。」
今は、田口と久留実の卒業式である。
両人とも進学先も決まった。
「君が神奈川縣の経済学部に進学したのは実に残念DA!
僕も慶應だし、日吉と釜利谷だったら、横浜駅で乗り換えて電車で行ける距離だ」
と苦笑した。高校で孤立しがちだった田口の話し相手になったのは
久留実だった。
「まあ、女の子一人の家に行く男なんて不審人物だけれども。」
と付け加えた。
「田口君は、私に同志社に言って欲しかったの?」
田口は頷いた。
「君がうわごとのように言っていた村岡花子さんの事を専攻して欲しかったね。
君は、文学が大好きで、文藝評論は文藝部の聯中も舌を巻いていたよ。
いろいろあるけれども・・・。」
田口の話は止まらず、彼女の話を遮るように久留実は
「田口君、實は小松空港から羽田に行くチケットは同じ時間だよ。」
と言う。
吃驚して
「そうなんだ。まあこれで離れて東京生活が楽しめるというか・・・。」
予定した時間、久留実と田口は機上の人となった。
つづく
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だが為に阿佐慶のアンはいるのか?_3

2014-03-27 16:57:31 | 信・どんど晴れ
後年、田口弥一郎は臺灣の少女漫画原作であるアニメ
非愛宣言プロデュース中、こう考えていた。
「何故、高槻久留実は経済学部に進学したのか。親のためだと思って進学したのだけれど
も、
彼女を追い詰めるだけ追い詰めたのではないか。」
自分は文学の道を進むと称して、結局アニメの演出家の職を得た。
物語の理想郷を考えたはずだが、arcadiaとはほど遠いのだ。
つづく
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だが為に阿佐慶のアンはいるのか?_2

2014-03-26 16:41:54 | 信・どんど晴れ
「でも、なんでこの赤毛のアンの脚本は、村岡花子という日本人が紛れているの?」
多くの人が言うように、赤毛のアンは北米はカナダの話である。
カナダを含めた北米の話は、日本に多く紹介されていて、日系人が登場する話以外は
横文字ばかりの筈である。久留実は田口に聞いてみた。
「ああ、この村岡花子という次期副部長が、扮する役は赤毛のアンの日本における
翻訳に尽力した人であると。」
田口はそう答えた。
「ふーん。」
久留実は口をとんがらかせて言う。輸入文学は沢山読んできた方だけれども、
翻訳者には、あまり考えが行かなかったからだ。
「村岡花子氏が存命の時代に初めてサリンジャーの著作、チャンドラーの著作、
ロード・オブ・ザ・リングの日本語版が日本で翻訳されてきた。」
と田口が言う。久留実は些か知ったかぶりのような表情をした。
「田口君は輸入文学に関して詳しいから他の演劇部の人たちとぶつかるのかな?」
久留実はそう田口に質問した。
「どうだか、僕自身日本文学が嫌いな訳じゃない。もともと文学や文章に
親しむきっかけを作ったのは、田中芳樹と夢枕獏だから。」
と乾いた笑いをした。
「へぇ。」
久留実は驚いた。今まで高校に入学して彼が輸入文学の話題ばかりして
自分の好きな創元推理文庫やハヤカワ文庫の話題ばかりしているところしか
見たことがないからだ。
「びっくりした。現在の我が校の演劇部の日本の劇作家をやたら推す
中心派閥の人々が好む作品もそれなりに目を通す。
でも、日本文学づけにされるのは高校三年間實に忍びなかった。」
つづく
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だが為に阿佐慶のアンはいるのか?_1

2014-03-25 17:20:52 | 信・どんど晴れ
「えっ?演劇部の出し物が、赤毛のアンに決まったの?」
高槻久留実は、演劇部員で、同じクラスの田口という
男子生徒に、目をまん丸くして答えた。
ここは石川県p市。
この学校では、演劇部員が卒業する人々に記念を込めて
上演するのが伝統になっている。
久留実と田口は、同じクラスで話が合うことが多い。
だから、田口が演劇部の公演を知らせに来た。
「田口君、これまで演劇部の出し物は、日本の戯曲をやるとか
ロンドンで最新流行の舞台をやるとか紛糾していなかった
それが妥当に赤毛のアンか・・・。」
渡されてたフライヤーを見て、久留実は
「主演のアンは次期部長、で、相手役は・・・。」
キャスティングされているのは演劇部員のホープばかりである。
「すごいだろ。大道具である僕としては、ロンドンで最新流行の
やつをやりたいと思って居た。でも・・・。」
田口は嬉しい顔が一瞬にして暗くなった。
「日本の戯曲をやりたい聯中が邪魔をした、」
久留実は先走りをして言う。
田口は黙って頷く
そして、
「僕自身、様々な作品を体験して楽しむのが正しいと思って居る。
新聞部の聯中が、日本ではハリウッド映画がもう流行らなくなる
と執拗くあおっているのをみていると實に悔しいと思って居る。」
とまくし立てた。
「そんなにまくし立てては、彼らとも何も話させないし、新聞部の思うつぼだと思う。」
つづく
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黄金町ラメント_最終回

2014-03-03 05:53:33 | 逆襲の藤隆
「俺の映画館もイイ根城なんだな。」
探偵は言う。
「まあ、俺としてはイイ映画をやってくれるだけいいよ。」
と長身の刑事はいう。
「ほとんど、ここでは映画はやらないよ。でも懐かしの映画をやるのが
ここの映画館のいいところ何だが。」
支配人を兼ねている探偵がいう。
「この前はスティーブ・マックイーンの映画を一挙放映したと思ったら、今度は市川雷蔵。
それにしても一貫性がないよな。」
長身の刑事はいう。
「支配人の俺のキマグレで好きなものをやる。個人でみたかったら、レンタル屋で
好きな映画のビデオを見ればいいんだよ。」
探偵は言う。
「ふっ。」
長身の刑事は鼻で笑った。
「今度探偵物の映画を特集するんだけれども、それでさぁ・・・。」
と探偵が言う。
「でもさぁ、日本の探偵映画って言うとなぜか、濱が多いんだよね。」
長身の刑事がいう。
「さあ、なんでなんだろうね。あんたも俺も同じような仕事をしていて思うけれども
濱って探偵を惹き付けるものがあるのかな。」
と探偵は答える。
東京近郊にありながら、濱は東京とは違う存在。
不思議だな。
「探偵、あんたが見つけてくれなければ、発見できなかった物もある。
あんたも、通称おっさんという人同様、名探偵だよ。」
と長身の刑事はいう。
とたん、探偵の電話も鳴った。
「あんたに電話だ。もしかして依頼かな。」
長身の刑事はおどけてみせた。
「ああ。」
とたん探偵は電話を取った。
長身の刑事は映画館を跡にした。
おわり
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黄金町ラメント_6

2014-03-02 05:44:02 | 逆襲の藤隆
「シェルティがいた。今から連れて行く」
探偵が依頼主に電話をしていた。
磯子の工業地帯、殺風景な工場と、牢獄のようなマンションが
点在している場所。
毛並みが汚れている。
でかいアメ車に無理に乗っける。
この車は、トナリに止まっているワンボックスより長い。
「迷惑だろうな。」
車のkeyをいれて、Accelを踏む。
一路、黄金町方面である。
「また、刑事さんが映画を見に来るのかな。」
探偵は、自分の映画館のことを考えながら
後部座席のシェルティを覗いた。
元気そうだ。
つづく
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黄金町ラメント_5

2014-03-01 15:53:31 | 逆襲の藤隆
「えっ、あんたと念頃の鑑識官、俺のこといかれてる
とか言ってたの?」
笑いながら電話に応対していたのは、いつもの長身の刑事。
電話の主はおっさん。
何故、1970年代の事件を自分が追いかけているのが彼は疑問に思ったのだろう。
この鑑識官は、おっさんとともに、事件解決に追われている。
風の噂では神奈川県警に表彰を受けたとも聞いている。
電話は続いていた。
「あ、おっさん、実を言うと俺の行動を了承しているのって、
おっさんが対立している監理官なんだぜ。俺が見つけていた情報が
事件解決につながっているだろ。だから俺ガイル。」
と長身の刑事は、真顔になる。
「君は刑事として一つの事件にかかりっきりになって大丈夫なのか?」
おっさんが電話で答えた。
「そうだなぁ。おれは1970年代の事件はそれをしった中坊の頃すでに時効に
なっていたし、その話題を扱ったあと家族が見ていたサスペンスドラマ
で探偵が出てきたけれども、俺はできないと思った。
でも、やっている。皮肉だよな。」
おっさんからの電話を切る前、長身の刑事は免許所を受け取る事務所のビルを
跡にした。
つづく
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