ブルーシャムロック

此処はtomohiroのオリジナル小説サイトです。
小説主体ですので、小説に興味の無い
人は、退出下さい。

新連載発動

2012-11-27 16:33:14 | 逆襲の藤隆
成瀬君、今度の企劃俺に話しちゃって大丈夫なの?」
私は、先輩漫画家の田口藤九郎氏の自宅兼Studioにいた。
彼は山陰出身で、現在は「kamaboko」という漫画の大ヒットで
建てたそこに住んでいた。
私は成瀬公彦。青森出身。
先日長年続いた連載漫画「銀河傅説age」の連載を終えて
他の雜誌に頼まれた最新企劃を展開するための準備をしていたのだけれども
其れが全く思いつかないのだ。
私は何を血迷ったのか、東京都是羽市に存在する
田口氏の仕事場になぜか足を運んでいた。
「成瀬君、なんで君は私の所に来たんだい。何にも関係ないのに」
と、苦笑された。恥ずかしいのはガッテン承知の助。
だいたい小一時間、彼の仕事場にいただろうか。恥ずかしいとおもって直ぐ立ち去った。
帰り道、驛までの道目立ったのは、新選組ののぼりなどである。
「ここは、新選組のメンバーの出身地でね。漫画家デビューしたての頃、新選組に関する
一巻完結の漫画を描いたことがある。」
と、仕事場で聞いたことを思い出していた。
ここが、新選組揺籃の土地だとしたら、何故、山陰出身の田口氏のような
大井川より西の土地の人間を受け入れる土壌があったのだろうか?
私は青森にいるとき、下町に親戚の居る人間を能く聞いた。
居心地のいいところなのかなとふと考えた。
そんなことを考えていたら、もう駅にたどり着いていた。
電車をPlathomeで待ちながら、今度の最新作に関するMemoを広げていた。
最新作は都道府県擬人化漫画である。
なぜ、物語が難航していたか。
それは東京都代表のキャラが決まらないからである。
普通であるならば、江戸っ子下町風のImageを強調することが多いのだけれども
田口氏が住んでいるこの多摩にある街も東京都なのだ。下町とは全く空気が違うのだ。
程なくして、自分の住んでいる街の近くまで行く電車に乗る。
私の住んでいる大田区も下町ではないな。
そんなことを重いながら、中吊り広告が目に入った。
渋谷に関する話題が掲載された週刊誌の其れと、
アキバを根城にするアイドルの話題が乗っていたテレビ雜誌の其れである。
両方ともいい意味でも悪い意味でも、これらの土地は日本列島の流行の牽引車である。
しかれども、東京都代表の面をするのは下町の方である。
私が下町を捨てたのは、「東北に甘く、西日本の人に厳しい」一面を見たり、
「真の東京・関東は私の中にある」
と言い聞かせる態度が、鄙俗かった
それ故に
周りの關東・東京とは違ったものになっていった下町を東京都代表とするのを
脱却すべきだ。私はそう決意した。
そして、新しい漫画の東京都代表のキャラはアキバと渋谷と多摩のエッセンスの強い
キャラにすることにした。
却而其れがヒットした。
そして、1年後
私は、仕事場のレンタルビデオ屋の近くを通り過ぎた。
「蒲田哀歌」
という蒲田を舞台にした集団就職に取材した映画のビデオがレンタル開始したposter
を見かけた。
私の東京都代表のキャラの影響なのか、多摩の歴史にページを割いた本が出版されたり
あるいは、板橋や大田区を舞台にした映画やテレビドラマがヒットしたりした。
私のあの連載で作った東京都代表のキャラを考えると、
「東京とは、關東とは」
と考えざるを得ないのだ。
おわり
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原田騒亂記_5

2012-11-18 05:52:31 | 信・どんど晴れ
女将が、商工会議所と書かれた札束の袋を持ってきた。
「先日の盗まれた50万円が返ってきました。」
集められた従業員は騒騒していた。
「えっ、どこから出てきたの。」
仲居の一人が言った。
「ある人の手から私の手に戻ってきました。」
女将は厳しい表情だった。
「松本さんじゃないのですか?」
お金の有無を訪ねたのとは違う仲居が口を開く。
「はい。」
女将は言う。
その場所に居合わせた原田が動揺していた。
「原田さん、どうしたの?」
彼女の腰巾着のようになっていた人間が、そう訪ねた。
原田は一瞬だまり、重い口を開いた。
「そうねぇ。50万円を盗んだのは私です」
いつもの通り、ねっとりしていやらしい声である。
「まあ、加賀美屋の女将になって、乗っ取ってやろうと思ったけれどもねぇ。
でも、ダメだった。あそこにいる松本が好きみたい。」
と私を指した。
当然ながら、みんな騒然とした。みな原田に女将に特別扱いされて不満を買いやすい
私よりもアンチ松本票を託す原田が裏切り行為をしていたからだ。
「ということです。」
女将はそう締めくくった。
みんな、原田を攻撃したい氣持ちでいっぱいになった。
そして立ち去った跡、私の理解者である新一さんに訪ねる。
「なんで、こうなったんだろうね。原田しかり、其れより前の朝倉さんしかり、
女将や仲居頭に成りたい人は、みんなしっぽを出して加賀美屋とこの島を去っていく。」
あまり涙を流さない人間だけれども、悔しくて私は涙が出てきた。
すっかり顔を赤くした私に新一さんが
「何かを犠牲にして、支えなくてはいけない人間も居るのだ。もし、お前が
小田原に行きたいとか言うのであるならば、それは俺は許さない。」
と抑えたトーンで述べた。でも、なんで小田原なんだ?
新一さんの息子である二人の餓鬼も小田原っていっていたし。
そういえば、ここに来たばかりの時、住込のお手伝いさんだと間違えたのが
新一さんの妻であり、二人の餓鬼の母親である女性の出身地が小田原だと女将越しに
聞いた。
新一さんは、私の顔を見て
「他の人間が小田原に行くのであるならば、俺は、止めないが。」
と言う。
私は此處の人間や島の人間に従うしかないのか。
 2~3日後、私はお客の送迎に勤務先の営業車で、徳之島の空港に向かっていた。
空港に着いたとき、私の携帯端末にメールが来ていた。
新一さんからだ。
「鹿児島の市内だか、那覇で料理屋を開きたかった清作は、そのご考えを改めて
加賀美屋で働くことになった。騒動を起こした原田が一枚噛んでいた事をあいつは
白状した。」
という内容だった。
私は鹿児島空港から来るお客さんを待っていたそのとき見たのは原田だった。
「あらぁ、松本さん。」
客を待っていた私に目を合わせて原田は口を開いた。
「これから、私は那覇に帰るけれども、もしあんたと合うときは、あんたと島の人間
を絶望に追いやってやるわ。」
と自信に満ちた顔で私を見た。
最後まで、私にこだわっている人間だなと、私は考えた。
私も加賀美屋と島に縛り付けられるならば、彼女も執念にとらわれている。
おわり
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原田騒亂記_4

2012-11-17 05:55:57 | 信・どんど晴れ
「まあ、お金はばーちゃんに渡したから。」
兄くんは、私にそうつぶやいた。
本当に、大丈夫なのか。私には狐につままれたような氣持ちであった。
私が調理場近くで聞いた話は、なんなのかわからぬ。
朝からの仕事は客室での仕事。
原田にべったりの同僚との仕事なので、どうにも氣まずい。
「松本さん、」
同僚の一人が言う。
「お金が出てきたみたいだよ。松本さんがお金を盗んだようじゃないみたいだね。」
え。この前松本が盗んだ松本が盗んだと言っている奴が突如にこやかになる。
其れとは反対に、原田が、
「松本さん、加賀美屋の女将の座は私よ。」
とねっとりした声で言ってくる。なんだよ。私に迫ってくるな。
「加賀美屋の女将か。考えても居ない」
私は原田に恍惚けて見せた。
「嘘言いなさい。」
最初見たときCoolだった、原田が取り乱しているようだった。
もしかしたら、餓鬼どもだろうか。
新一さんはにやにやしていた。
夕方になって通行服姿の二人の兄弟が小学校から帰ってきた。
「佳奈ちゃん、今日はどうだった?」
弟君が聞いてきた。
「ああ。」
私は素っ気ないような、気の抜けた言葉を発した。
「佳奈、まあ、この前のお金を渡したのが効いたのかな。」
兄はへへという表情だ。
兄弟が小学校から歸ってくる2~3時間前、茶室で女将と原田が密談をしていたのを
たち聞きしていた。
私に見せた、感情的な顔よりもCoolだった。ただ聞きとれたのは
「それほど好きでもないのに、なんで私の下の息子と結婚するのですか?」
という女将の声である。
そのとき聞いた彼女の声は、冷静かつ冷たい物を感じた。
原田自身は、私の進行方向と違う場所に去っていった。
それから、夕食時になる前に原田と、土蔵にある加賀美屋が秘蔵している寳物を
称する物を、整理していた。
パリーン。不吉な音だ。
原田だった。
彼女自身、取り乱していた。いつも勝つ氣満々な女性が一変している。
「やっちまったな。これでお前がやったことがばれたならば加賀美屋の女将の座も
剥奪されちまう。私がやったことにしておく。」
と私は原田の表情を見た。
「松本さん、そこまでして私を勝たしたいの?」
原田は、にやりと笑った
「ああ。」
私は素っ気なく答えた。
「あなたを加賀美屋の女将か仲居頭に据えたい人間が存在するのに何故?」
原田は、表情を変えずに言う。
「私は加賀美屋もこの島もまっぴらだ。誰もが自分を御神輿にしたい氣持ちは分からんよ。」
と私も言う。
「そんな・・・。」
原田は顔が青くなった。アイツの頭の中には急度松本はと思って居るのだろう。
その後、織部焼を割ったのは自分だと述べた。
何故か、原田ではなくて、私が叱責された。
理由はこうである。
「旅館の寳物を割ったのはとてもいけないことです。其れよりもあなたがやったことではない
のに、一緒にいた人のせいにするのは、此處にいることが嫌だという気持ちがありありと見えます」
である。女将も私に固執している。
つづく
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原田騒亂記_3

2012-11-16 05:54:24 | 信・どんど晴れ
今日は天気のいい日である。母屋と言われている場所までの大きな庭を掃き固めている
同僚との関係が氣まづくなって、私自身庭の掃除をしている。
庭師さんもいるけれども、懲罰行爲なのだろう。
庭を担当している人間が
「佳奈ちゃん、まあできる範囲でいい。跡は俺が」
とか言ってくれているけれども、まあ、表向きは原田がやっているからな。
私は、追放される身。
いつしか、甘いものを食べるには遅すぎるし、酒を飲むと怒られる時間になっていた。
今日もbar犬田布嶺で飲むかとか思っていた。
退屈そうに庭用の帚をいじっている。
小学生のガキが大仰そうな門を通って母屋の方に行く。
「あ、佳奈じゃないのか。」
ガキの方の兄が言う。
「佳奈ちゃん、仲居の仕事をやらなくてもいいの。」
弟も言う。
「私は中半追放が決まったような人間だ。ここに居るのは、やめるのを促すためだろう。」
庭に生えている灌木の掃除をしている。
「でも、ばーちゃんお前をやめさせようとは思って居ねえぜ。」
兄が言う。
「馬鹿な。50万円を盗んだことにされて、もう此處には味方が居ないぞ。数日前の
旅行ライターは、私を激しく非難し、原田を高く評価していた。」
私は子供相手に向きになっていた。
「佳奈ちゃん、この前調理室の辺土奈清作さんが、那覇か鹿児島の市内に
料理屋を開くためのお金を持っているのを見た。」
弟君がぽつりといった。
「なにぃ。」
私は目を皿のようにして驚いた
「佳奈も変なところで驚いているんだな。實はさばーちゃんだけれども、原田とかが
来てから、不機嫌そうな顔をしているんだよな。母ちゃんはいつにもまして
震えているし、親父はおろおろしている。佳奈ちゃんが原田を何とかできるんじゃないの。」
兄はこしゃまっくれたような事を言う。
私は考えて、
「お前さんのばーちゃんがそういうこと考えるか?」
と、私が言うのを遮るように
「お前の真向かいにみている誰も使っていない部屋に追廻がお金を放り込んでいるのを
みた。」
客室と母屋の間にある障子を指した。
障子も破れかかっているし、なにやらかび臭い。
調度品がいろいろ置かれている物の、ほこりをかぶっている。障子を開けて直ぐの
違い棚に、細長い京薩摩の壺というか花瓶がある。私の背の半分ぐらいかもしれない。
私はそれを覗いてみる。何か入っている。誇りの束だろうと思って居た瞬間。
どてっ・・・。なにやら太い封筒包みが出てきた。
「なんだ、これは。札束だよ。其れも新札」
私も二人の子供も、
目を丸くした。
私も兄弟も舌を巻いたのは
「商工会議所」
という言葉が記されていたことである。
「もしかしたら、これが盗まれた50万円かもしれない。」
私はつぶやく。
「もしそうだったら、佳奈がもつものじゃないな。俺らが持っている。」
兄が言う。
「このお金僕たちがもっていたら悪いかな。ばーちゃんにみせる」
弟が言う。
「そうか・・・。」
私は複雑な顔をした。此處にとどまるべきか、それともこの前騒動を起こした朝倉なんとか
みたく追放されるかどうか・・・。
「佳奈は出て行けない。」
兄がいきなり口を開いた。
「佳奈ちゃん、昔神奈川に住んでいたんだよね。」
弟の問い私は黙って頷いた。
「ところで小田原って所に行ったことがあるか?」
兄が言う。
「私は大学四年間神奈川に住んでいたけれども信州と山梨は行ったことがあるが、
さすがに小田原や箱根は行った事がない・・・。ってどうして小田原なんだよ。」
兄弟の二人を見た。
「このお金の事を黙っている代わりに小田原のことは質問しない。」
兄弟は答えた。
つづく
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原田騒亂記_2

2012-11-15 12:38:57 | 信・どんど晴れ
「佳奈ちゃん、現在仕事は大丈夫ですか。あの原田が何か行動は起こしていませんか?」
そんな内容のmailが沖繩の小禄から送られてきた。
「ああ、今のところは何にも起こらないよ。しかし、旅館の売り上げの50万が無い
ということが大騒ぎになっているんだ。容疑者の一人として私が上げられている。」
と私は返した。
原田は仕事は速いし、細やかな所があるし、同僚はいろいろな部分で原田に心酔しきっている。
売り上げの50万を盗んだ容疑者候補である私は立場が悪くなっている。
「日頃から関東だか、大阪に高飛びしたいから、盗んでも当たり前よね。」
同僚の一人は言う。
私のことを女将は表情を変えずに
「佳奈ちゃんは自分のことだけを考えなさい」
とばかり言う。
「松本さん、加賀美屋の女将の座は私の物よ。」
なんともねっとりした鄙俗い声で私に原田は迫ってくる。
「ああ。私だって立場が悪いから、あんたに自動的に加賀美屋の女将だか何だかは
自動的に転がり込んでくるだろう。」
ばつが悪く笑う私。
「そうね。」
彼女は自信がある一方で不安なのだろうか?とこのときは考えた。
なにやら、言葉が強がっているようにも思えた。
「原田さん、松本が怖いんですか。」
また、私の同僚が、原田をFollowする。
勝手に私を追放しててめえの加賀美屋帝國にでもしやがれ。
そんなことを言って私はお膳を客室に運んでいく。
さて、私が調理室から、こんな事を聞いた。
「このまえの50万圓なんだけれども、私は佳奈ちゃんが盗んだとは思えないのだが。」
調理長の声である。
「まさか、調理長。佳奈ちゃんをそこまでかばうのですか。私は彼女をFollowできません。」
調理の補佐を担当している女将の次男だ。
聞かないふりをするように私はしたい。
私がお膳を客室に持って行こうとするとき、突然追廻というか何かが・・・。
「もう、此處の旅館じゃなくて、鹿児島の市内か那覇に料理屋を開くことを決めました。
獨立資金はもう出来上がっているんですよ。」
若い男は自信満々だった。
「けっ。誰がお前を此處まで大きくしてやったんだ?]
次男殿は、その若い板前にすごい剣幕で怒鳴っていた。
若い板前は怒られても大丈夫だったようだ。
まあ、ここだったら、或る意味牢屋だ。身動きができない。比較的那覇や鹿児島市内では
自由がきくと思う。
まあ、私の追放も時間の問題だ。
つづく
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原田騒亂記_1

2012-11-10 18:09:15 | 信・どんど晴れ
「佳奈ちゃん、新しく入った原田なんとかとかいう女はもしかしたら加賀美屋を
乗っ取るつもりだよ。」
最近よく私に電話をかけてくる小禄が電話口で言う。
私は、現在、南西諸島の徳之島にある加賀美屋という老舗旅館に勤めている。
腰掛けで、在る程度お金を稼げればいいと思って、女将に釣られて働くことになった。
しかし、なんというのか、私は加賀美屋の若女将か仲居頭になれと女将に言われて
しまい、周囲にもそう思われている。
指揮官になるならば指揮官になるならばいいけれども、こんな離島の旅館の指揮官は
嫌だったのだが、周囲は許して貰えなかった。
現在、調理を担当している女将の下の息子が、高校の同窓としての原田とかいう女性を
女将候補として推挙した。
私の同僚の仲居は、立ち振る舞い、琉球舞踊その他諸々女将に相応しい態度が
気に入っていたようである。
彼女は高校は鹿児島市内だったものの、沖縄で生まれ育ちその上貴族の末裔らしい。
私も彼女で良いと思って居るので、
「私も女将は原田さんが良いと思います。」
と言った。実に面倒くさいのだ。
「やっぱり佳奈ちゃんもそう思うんだ。」
同僚の仲居の一人は言う。
「ああ。」
私は素っ気ない言葉を言う。
女将は、自分の考えに曇ったようだった。
原田の紹介が終わった跡、私は女将に呼び出された。
「あんな女に、加賀美屋をとられてもいいのですか?」
すごい剣幕で怒鳴られた。
「私は、加賀美屋はカネ稼ぎでここに来ているって、ここに来た当初に言った筈じゃないですか
そんなに、私にこだわらなけれくても。」
私は反論した。
「佳奈さん、お金稼ぎという言葉は使いなさんな。」
いつもこの調子で、私を此處に縛り付ける。
「あの原田さんの事はどうですか?」
女将に私は聞いてみる。
「あの女性は信用していません。」
女将の冷たい表情は変わらなかった。
つい先日横濱から、女将の甥っ子の婚約者である朝倉夏美という女性が
「加賀美屋の女将になります」
とかいって、数ヶ月やってきたけれども、旅館を引っかき回したあげく、追放という
事件があった。
また、其れの二ノ舞になると女将は言いたいのだろうか。
「あのー,原田は先日の朝倉夏美な奴だと女将は言いたいのですか?」
私の質問に女将は頷いた。
「まあ、やってみないと分かりませんぜ。私のような野卑な女よりは
加賀美屋の為になると私は思っていますが。」
私は黙っている女将にそう答えた。
「そのことは、跡で分かるはずです。」
といって、
「佳奈ちゃんも客室の仕事があるんじゃないの。」
と同僚に合流することを勧めた。
つづく
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神奈川の道路

2012-11-06 17:50:00 | 信・どんど晴れ
先日、小禄さんの親戚が住んでいる鶴見から私の住んでいる釜利谷まで車を
走らせているとき、大体保土ヶ谷辺りに来たとき、小禄さんが言う。
「そういえば、佳奈ちゃんのクラスメートの宇品だっけ、あいつ無礼だよね。」
ハンドルを握っている手がふるえていた。
「まあ、アイツのことは言うな」
私は恐縮した顔を小禄さんに見せた。
「なんとも、馴れ馴れしいみたいだけれども、見下しているような感じだね。
東北か北海道のひとでしょ。」
小禄さんはいらついていた。
「実家は札幌みたいで母方が弘前みたいだ。うちのRoommateとは、北日本つながりで
結構嬉しそうだが。」
私は、淡淡とした顔をした。
「佳奈ちゃんは、悔しくないわけ?あんなのにバカにされてー。」
小禄が憎々しげに宇品を語るのをみて。
「ああ。そうだな。あいつは同じく私をバカにしている東岡麗美先輩とつるんでいる。
惡の結託という奴だな。」
と私は言う。
「何其の脳天気な表情は?!」
と、アクセルを踏もうとした小禄さん。
「あいつとは腐れ縁。しかし、お前さんほどの理解は出来ない。悲しいかな
他学の人間とこううまくいくのは。」
と私は表情を変えなかった。
「そういうのあるよ。だって佳奈ちゃん知り合いも少なそうだし、私が困っているの
なんやら助言したりしているよね。だから佳奈ちゃんには良くしたい。」
と小禄さんが言った。
私は奄美から、上京してからただ単に状況に押し流されるだけ押し流されてきた。
でも、小禄さんは関東は一過性だと割り切っている事を感じる。
「佳奈ちゃんは奄美に帰るよね。」
小禄さんは言った。
「さあ、どうだか。」
いつもの通り、戯れ言でごまかそうとする。
「佳奈ちゃんは関東では生きられない。奄美で生きることになる。」
確信を持った事をする。
「私は沖縄に帰ったとき、佳奈ちゃんの島に行く。そして佳奈ちゃんを助けてあげたい」
いつもの通りだ、でも確信に満ちた顔は何も言えない。
ラジオから流れていたいきものがかりの曲がいや強くなった。
おわり




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タルカス_リプライズ

2012-11-04 05:35:13 | 信・どんど晴れ
「へぇ。これが1971年に発表されたアルバムなのか。にわかに信じられないな」
私のRoommate松本佳奈が、大きな声を上げる。
同じく、私のRoommate横手淡雪が黙ってあきれている。
「当時の欧米ではそこまで進んでいたんだなあ。」
私高槻久留実は皮肉っぽく松本嬢に答えた。
くだんのアルバムが終わった跡、コンビニのコピー機で刷られた白黒のインデックス
が貼られたアルバムを見た松本佳奈が
「Emerson, Lake & Palmer のタルカスか・・・。私の親もこういうの聞いたことがないなあ。」
と述べた。
「東岡先輩に嘗められなければ、まあそれぐらい知っておくべきだね。」
私は、答えた。
「くるみたんはこういうの聞いたことあるかい。」
佳奈が、恍惚けて答えた。
「私も。」
と答える。
「私も初めて聞いたけれども、すごく前衛的だ。」
と淡雪は言う。
「淡雪の家って結構ジャズとか聞いていたみたいだから、洋楽系統は明るいよね。」
と私は、彼女に念を押した。
「うん。でもelpは今回が初めて。ブルース・スプリングスティーンならいつも聞いているけれど」
と淡雪は回答した。
松本佳奈は、口をへのじぐちにして
「だめだあ、ここら辺は分からない。1971年って日本だったら・・・。」
と答えた。
私もアイドルは好きだけれども1971年に流行っていたアイドルって分からないよ。
古くてキャンディーズとかピンクレディーぐらいだから・・・。
ましてや演歌方面は分からん。
「やはり、考えたけれども分からない。でもすごい事は分かる」
と松本佳奈は言う。
上京してから一年が近くなるはずだが、松本佳奈には關東はワンダーランドらしい。
松本佳奈が席を発ったとき、私は横手淡雪に言った。
「ねぇ、淡雪さん,彼女は関東と大阪どっちが佳かったのかな」
横手淡雪は、
「まあ東北や北陸の人間と知り合えただけこちらの方がよかったのかも。」
と次のcdを入れにかかった。
おわり
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タルカス無頼

2012-11-03 19:52:59 | 信・どんど晴れ
現在、俺は東京の小平市に住んでいる30代のサラリーマンである。
名前は、松井達男という。
俺が、岡崎の実家から飛び出してもう何年になるかな?
そのとき、俺が実家を飛び出して親父のRecordコレクションから適当に抜き出して
今も聞いているlpが存在している。
題名は「タルカス」
という。
ジャケットにアルマジロのような、あるいはウルトラマンの怪獣である恐竜戦車
であるような物体ないしは生物が描かれている。
これを見たときは、何か不気味な物を感じた。
初めて聞いたとき中学生だったろうか?
そのとき聞いて思ったけれども、
「これが親父が若いときに流行っていた音なのだろうか?少なくとも1980年代の
音じゃ無かろうか?」
と感じたことがある。
最近考える事として、こういった物を聴き過ぎたからが故、感覚が麻痺したようにも
感じている。
俺たちの世代はguns n' rosesあたりから、
そのご
ポップpunkなどの悪夢をみた世代なので
こういった物に過度の幻影をみる事なんて無い。
もしかしたら、ウルトライダーの方が俺にとっては巨大かもしれない。
1960/70年代に企劃展開されて、その後の特撮やanimeに巨大な影響を与えた
其れの方が影響を与えたanimeや特撮をみていたからだ。
 現在の俺はanimeや特撮は卒業している。息子が見ている平成ウルトライダーや
プリなんとかを苦笑しながら見ているぐらいである。
それでも自分の世代のバックボーン見たくなっている。
あのとき、名古屋の栄で見たウルトライダー展のことを話したときの父親の
表情は忘れない。
すごく叱責された。
そのとき俺は思ったね。
「あんたの、アメリカの豊かさなんて俺の中では感じていない。
いったい小賢しいポップpunkや何處で持ってきたか分からないthe beatlsごっこを
するような流行歌手に豊かさを見いだせばいいんだ。」
と、強く感じた。
今も、いろいろな思いが去来する中で、俺の手にはサム・デイヴィスなる俳優主演の
映画のビデオが握られている。
彼は、あのスティーブ・マックイーンやカトリーヌ・ドヌーヴが活躍した1960/70年代
活躍した人間である。
父親が言うように、あの時代は洋楽や洋画が熱かったなとも、
Recordプレーヤーの近くのdvd/ビデオDeckを見て思った。
気がつけばRecordのa面が終わっていた
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