ブルーシャムロック

此処はtomohiroのオリジナル小説サイトです。
小説主体ですので、小説に興味の無い
人は、退出下さい。

西方萬魔殿_2

2009-03-31 18:39:16 | 菊の名前異聞
「先生が、取りかかる萬魔殿とはどんなものだろうか。」
私はいささか悩んでいた。なんとも解らないからだ。
ゴロからすれば、昔の中國とか朝鮮あたりの役所とかみたいな
感じがするんだけれどもなあ。
今日も、先生の仕事場に電車で向かっている。
そのImageをつかまなければ担当としては失格なのだろう。
私のおろおろした顏を、みんながじろじろ見ている。
やはり、おかしいのかなぁ。
でも、萬魔殿というが気になってしまう。
恐ろしい顏をした、役人が罪人を裁く處だろう。
ちらりとみた、夕べの韓国ドラマに、官服を来た役人が
拷問をしているのが見えた。
あんな感じで、太い仗で叩くのだろうか。
無実の罪で裁かれる人間もいそうだなぁ。
頭が其れでいっぱいだ・・・。
今日は、今回の作品の大まかな説明がなおも
続いた。
帰りに、ある画廊にふらりと足が寄った。
画家の名前は、橋本道雪という名前らしい。
日本画家なのだろうか。
想像したとおりである。
日本画などで、伝統的な中世日本の格好をした人間の繪や
鷲や鶴などの繪だ。
私は何の感動もなく、順路のまま動く、
そのとき、おどろおどろしい繪が十枚飾られていた。
まるで昔の中國や朝鮮の王朝の役所みたいだ
私は画廊のStuffにいったい何の繪か訪ねてみた。
「この絵は十王図と言いまして、人が死んで
さばきを受けるときに会う王様の繪でして、
その中には閻魔大王も存在します。
恐ろしい形相の王のまえで神妙な顏のもの、
命乞いをするもの、千差万別だ。
画廊のStuffはなおも続けた。
「この繪は橋本先生が、中國に旅行に行ったとき
博物館で出会った遼時代の繪から着想されたようです。
どちらかといえば優しい繪を書く人がこのおどろおどろしい繪に
挑戦することによって、自分との戰いに目覺めたと行っておりました。」
なるほど・・・。もしかしたら先生は修羅の道に出たいのだろう。
つづく

 
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西方萬魔殿_1

2009-03-27 20:32:54 | 菊の名前異聞
「しかし、先生。先日の菊の名前の終了、是で良かったのですか。」
そんなことを、現在担当している細倉先生に聞いてみた。
「そうねぇ。」
先生が虚空を見ているのが分かる。
質問している人間は誰かって?
浦賀恭一というちんけな三下編集者である。
今いるところは東京にある韓国宮廷料理の店だ。
この料理のイメージだけれども、先日見た映画だかドラマで出てきた
位のイメージしかない。だから初体験である。
「今回の連載が終わったら、次はどんな物を書いてみたいですか?」
先生の答えは、
「次は、ダンテの新曲かしら.」
である。
「ダンテですか・・・。ええと・・・。」
私は些か分からなかった。何分大学は理系の学校を卒業したので。
「彼のことをご存じないようね。イタリアの詩人・作家で」
彼女の蘊蓄にうんうんという顔で聞いている。
「イタリアが舞台なんですか。先日の菊の名前が元ネタにした
ウンベルト・エーコがイタリア出身だと聞いています。」
先生は、私を小馬鹿にした顔で
「そうなのよ。彼はイタリア出身ね。私たちが座っている席の後ろを見てご覧なさいよ。」
と先生が言うので、私は振り返った。
墨書が存在している。
「萬魔殿と読めますね。」
と草書体の文章をおそるおそる拝見してみた。
「私も書道がないけれども、ダンテの新曲には萬魔殿が登場するからそれに挑戦してみたか
ったんだ。」
つづく

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西方残務録_4

2009-03-25 21:39:15 | 菊の名前異聞
竟に、細倉さんの小説が連載を開始した。
連載をしたのは、比較的分厚い保守系のOpnion誌である。
内容としては、徹心と良庵となのる2人の僧が
大和国の山中にある山寺にやってくる。
道すがら、有る老女に謎かけのような言葉をはかれる。
菊の名前・・・。あとは長いから忘れた。
作品のことを考えると、後醍醐天皇でも絡むのだろうか。
満員電車の中、連載している雑誌を読みながらそう言うことを考えていた。
徹心はもともと侍だったという設定が出てきた。
読み進めて、陰惨な殺人事件が起こる。
もともと、討幕側と幕府側で揺れていた寺だったからだ。
次々興る事件を徹心は解いていった。
以前、古典の太平記を読んだことがあるけれども、その難しさだ。
読み終わって、何とも言えない後口の悪さが残った。
最後のページで徹心がムジナーと叫んだのが気になるのだ。
この後、連載はどうなるのか、自分も分からなくなっていた。
おわり


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西方残務録/3

2009-03-24 11:06:30 | 菊の名前異聞
「徹心と良庵という名前の僧が京都の山奥にある寺での殺人事件を解決する・・・。」
なんともパクリくさい物を私はwebでの情報を見て感じた
「先日、薔薇の名前を読んだけれども、確かに影響を感じる。」
妻の回答である。
「何処までオリジナルを超えられるか、私は疑問だな。」
私は表情を暗くした。
「それが日本文学でしょう。」
妻はきっぱり言った。
「幼い頃から、日本文学のそういうパスティーシュ的なものは気になっているけれども。
細倉さんがね。」
マウスで神経質に画面を動かす。
「細倉さんが如何かしたの。彼女の実験でしょう。」
私は考えながら、
「日本の作家による薔薇の名前から取材した小説・漫画といえば、
清水義範という作家が取材して執筆していた。」
学生時代に読んだばかげた文章を思い起こしていた。
「細倉さんは、この文章を真剣な態度で対峙する。と
清水義範氏の文章を読んで感じていたみたいだし。」
細倉女史が、過去アップダイクに大して色々文章を考え、
スウェーデンの作家のマルティン・ベックシリーズを愛読していた。
だから、ウンベルト・エーコもか・・・。
つづく


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西方残務録_2

2009-03-23 23:13:41 | 菊の名前異聞
「それでね。フォックストロット君・・。」
我妻エコーが帰宅して夕食である。
フランスパンを口にしながら、今日有ったことを話す。
「今度大作アニメ"怒りの世界"のエグゼティブプロデューサーに選ばれてね。」
私はいったん考えて、
「そうなのか。怒りシリーズといえば、かなり前から続いている伝説の企画なんでないかい
?」
とおどけて見せた。
「そうなのよー。」
と、言いながら妻はpcの有る机そば近くにあるa4の紙を見やった。
「フォックストロット君、なんなのこれ?」
少し汚い物を見るような目であった。
細倉路美という文字を見て、
「えっ。あの細倉さんが新作小説を発表するんだ。太平記の時代なんだ・・・。」
細倉女史が、過去nhk大河ドラマの太平記dvd-boxを持っているぐらいの
太平記時代フェチであることを知っていた。
「そうなんだよ。細倉がさ・・。」
妻は
「あの子、お笑いだけが文章・文学じゃないが口癖だったよね。大学時代に在学中は
恋愛系の純文学を担当編集の意向で執筆している事を、よくmailで愚痴っていた・・・。」
と、顔を曇らせていた。
「そうだな。今になって良い文章を書けるようになったんだよ。大学時代はお笑いばかりで
なんともやる気をなくしていたし、デビューしたては純文学路線だったし・・。」
興味を持った妻は、pcを立ち上げ、web上の細倉女史の公式サイトをみていた。
なんとそこには新作小説の構想が掲載されていた
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西方残務録_1

2009-03-22 18:12:11 | 菊の名前異聞
「今日も忙しかったな。」
そう、言いながら最寄り駅から自宅までの道を進んでいた。
以前済んでいた山がちの町より平坦な場所が多くて
此處は快適だ。
女房とは共働きである。
そんなことはどうでもいい。
それよりも自分たちの生活やお金を守るための手段だから。
電話がかかってきた。
「フォックストロット君、今日も遅くなるから、御飯を作っておいてね。」
女房の声である。
肯定だ。と言うべきなのだろう。
稼ぎは女房の方がいいのだ。
帰り際、電車の中吊り広告で見たけれども、女房と俺が知り合った演劇サークルで
一緒で、あっという間に作家デビューした細倉路美が、これまでの作風
を覆し、最近歴史・時代小説を何本も執筆しているのだ。
その最新作、「菊の名前」である。南北朝時代が舞台らしいのだ。
南北朝時代というところと、題名が彼女が愛読していたウンベルト・エーコの
作風を彷彿とさせる。あの小説というか映画の舞台はほぼ日本の南北朝時代
だったような気がする。
西洋の舞台を日本に移し替えたような。
程なくして、自分の家に着いた。
シャワーをすませ、程なくして炊事を始めた。
女房はどのくらいで、歸ってくるのかな。
Radioをつけていたので、その音が聞こえる。
いつも聴いている音楽番組が終わり、著名人の会談番組が始まった。
「細倉さん、最新作の"菊の名前"ですが、内容は鎌倉末期から南北朝時代の
寺で起こる、殺人事件がモチーフなのですね。」
Radioのインタビュアーが細倉女史に質問していた。
「そうですね。そのなかで、あの古典でも知られる太平記などに
登場する著名人が絡む作品なのです。」
やはりなぁ。
つづく
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城ヶ島行/8

2009-03-20 23:26:28 | 信・どんど晴れ
その跡、城ヶ島の立派な灯台が、我々が言ったところよりも反対側に
あると聞いて、そこに足を運んだ。そして、それから北原白秋の
歌碑を見学した。かつて、ここの海から著名人が眺めた風景のことを
2人で思いをはせた。
「今度は、私が運転する番だ。」
そういって彰からKeyを受け取った。
カーナビに登録したのは三浦金沢市ではなくて、その先の久良岐市に
する。
「なぜ、久良岐市なの。」
彰は不思議がった。
「だからさぁ、東岡先輩にこの車を返却したいんだ。」
私自身、顏が深刻になった。
「なんだか、淡雪のことを考えているでしょ。」
彰はそう言った。
「かもな。車を自由に貸してほしいと思っていたから。」
と、いって、車は走行を開始した。
元来た道を後ガエルことになる。
車の中から流れてきたbgmは洋楽だった
これ歌っているのってだれだっけ。
そんなことを彰に尋ねようとしたとき、
「これ、高校の卒業式の時、淡雪と歌った歌なんだ。題名が
Happy tomorrowとかいう題名だったかな。
歌っているのが、ジュディマリのyukiだったとおもう。」
と、英語の歌に耳を傾けていた。
でも、彰の顏は複雑だった。
「淡雪と關係がぎくしゃくしてそうだな。」
彰は重い口を開いた。
「淡雪は大人になるに従って、いろいろ得意な料理の腕を
生かして、武器として成長していった。
昔のように守られる存在じゃなくてね。そして、私は
なぜだか女の子らしさにあこがれてね。」
そんな彼女の泣き言は私は嫌いだったので、
「私は、そんな彰好きだけれども。」
彰は、少し顏が明るくなったようである。
車は横須賀市内に突入していた。
流れる音楽は長渕剛の曲になっていた。
「もう少し行ったら、三浦金沢市か。」
彰はそう話した。
「そうだな。でも、久良岐市に行くから笹下釜利谷道路を使って、
久良岐駅前に出た方がいい。国道がいいのかなぁ。」
私は、ハンドルを握りながら、カーナビをにらんだ。
彰は、長渕から変わったフュージョン系のインスト音楽に
嵌るように聞いていた。
三浦金沢市の市役所がある泥龜駅。
「この近くに圖書館があるよね。今度この圖書館を利用してみよう。」
彰はそう言った。
「私は能く淡雪や久留美に行かされるがね。」
私は皮肉を言った。
「淡雪とか久留美ちゃんなら佳奈ちゃんのためだよ。」
通り過ぎる圖書館を見ながら彰は言う。
笹下釜利谷道路の細い道である。
古い住宅街を抜ける。
だいたい、3/40分ぐらい走って久良岐駅前。
再開発のあとがありありと見える。
「この映画館とデパートの複合施設を横にはいると、神社があってその
橋のたもとだと・・。」
前、先輩に言われたことを思い出す。
「ドコにこの馬鹿でかい車を止めるの。」
彰は聞いた。
「慥か、近くの駐車場だ。この車を返したら、電車で釜利谷驛に歸るとして、
ところで久良岐駅の方が立川は幾分近いだろう。」
彰は頷いた。
東岡先輩の指定の駐車場はすぐ頒った。東岡とでかでかと書いてあったんだもん。
車を止めた跡、私たちは久良岐駅に向かった。
おわり
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城ヶ島行/7

2009-03-19 21:54:59 | 信・どんど晴れ
すっかり、お腹がいっぱいになった私たちは、島にあるハイキングコースを回ることに
した。
「結構山だね。」
彰は苦笑していた。
「山だな。私は何ともないのだが。」
2人顔を見合わせて、ハイキングコースを登り始めた。急な階段を
一歩一歩づつ上っていく。
笹とも竹ともつかない植物が自生していて、暗い。
「私の島とか大島じゃあ琉球竹って言う植物が生えているが、關東のこれは
ほそいな。」
いけどもいけども、笹のような植物と、木ばかりの風景が開けない
場所に、私は辟易しようとしていたが。
「昔遠足に行った田沢湖の森も自是うっそうとしていた・・。」
彰も昔のことを思い出していた。
方向版に、灯台という文字が出てきた。
「灯台か。なんだか見てもいいかもしれないな。」
私は少し足が速くなっていた。
「足が速くなっているね。灯台という文字に惹かれたんだ。」
彰は皮肉を言う猫口になっていた。
「きさん、猫口だよ。」
そう言おうとした矢先、彰が
「珍しい水鳥だ。」
と思わず声を上げた。
木や竹が自生している横から、太陽が漏れている。そこからのぞいてみると
米粒のようなSizeながら、水鳥が見えている。關東のことを知らなければ
此處が關東だと思わないかもしれないという場所である。
「へぇ。ウチの郷里にあったかなぁ。」
私は思いつかない。
程なくして灯台に到着した。
また、Hotelのあった場所同様岩だらけの寂しいところに灯台が建っている。
正しくはPole といった方が正解だ。
「これが灯台。ちゃちだな。でもこれがハイテク時代の灯台なのかもね。」
無い頭脳を絞って、私はそういった。
「そうだろうね。こういう感じで今は船の航行が出来る。話を聞いていると、佳奈ちゃんの
出身地の大島海峡も船の往来が激しいから、ハイテクで制御できるでしょ。」
と、勉強が出来る子らしい答えが出ていた。
「お姫様。そういうことだな。私はただ何ともなしに、船の航行をみていたから・・。」
とその岩の上に立つポールを私は眺めていた。
つづく
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城ヶ島行/6

2009-03-19 21:54:00 | 信・どんど晴れ
「さぁ、渡るぜ。」
私はゆっくりと三崎港から橋を渡り始めた。
数分の跡、島に到着した。
「こんな島なのか。」
彰は辺りを見回していた。
「数分後に食道や土産物が売っている地域に到達すると聞き及んでいる。」
事前に私が調べたことを彰に話す。
「へぇ。昼食はどうしようか?」
「適当に、食べるから安心せいや。」
といって、車を走らせていた。
しばらくして車を駐車場に止めた。
「正座りっぱなしだから、なんだか足を伸ばしたいね。」
彰は背伸びをした。
観光客がいろいろな場所からきているらしく、Numberには横浜ナンバーだけではなくて
多摩ナンバーなどの東京付近からきているようである。
「結構有名な、観光地だ。」
土産物売場を見ているのだけれどもどうにも食べるにはなぁ・・・。
「あっ。こっちを見てみろよ。」
私は、金属製の観光案内所をみていて、こういった。
「ここら辺にHotelがあるみたいだから、此處のホテルのレストランがうまいかも。」
彰は・・・。
「そこだったら、なんとかまともなものがあるかもしれない。」
そういって、島の内部を歩く。
「なんだかテレビで見た江の島みたいだ。」
Hotelに続細い道を彰はそう形容した。
「江之島か、行ったことはあるのか?」
少々意地悪い質問を彰にした。
彰は首を横に振っていた。
数分歩くとHotelがあった。
眼前が、海である。三浦半島の突端に存在するから、おそらく外界だろう。
加計呂麻島のうみなんて問題にならないくらい荒く、なみが白い。
周囲には、火星のような岩場が広がっている。
「すごいよね。かつてウルトライダーの撮影があったと聞いているよ。」
ウルトライダーが撮影されたのは、1960/70年代頃。
こういったところであの名場面が撮影されたと思うと・・・。
「はっはっは・・。ウルトライダー、もう逃げられない・・・。」
彰が ウルトライダーの何話かの名場面を再現していた。
「彰、こんなことをしとらんでHotelにはいろうか。」
私はそう促した。
お昼には少し時間が過ぎていたものの、昼食時である。
結構人が入っていた。
Waitressのような人の案内で私と彰は席に座った。
メニューを見て、私はラーメンを、彰はチャーハンを指した。
「これならばフタリで半分こにしよう。」
つづく
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城ヶ島行/5

2009-03-18 19:00:35 | 信・どんど晴れ
「おだやかな海だ。」
彰はそう言った。
「日本海と比べてだろ。大島海峡はもっと穏やかだ。」
私は簡潔に答えた。
「へぇ。」
彰は不思議そうだった。
「なんだか大島海峡の海で泳いでみたいなぁ。」
彰はうれしそうだった。
「彰は沖繩とか奄美はあこがれの土地だったよな。」
彼女は頷いた。
これまで車を走らせていて、田園地帯が濃くなっていく。人家が少ない。
「これが關東だと思わないな。私のクラスにいるタイからの留学生は、こういう田園地帯を
みると想像していた關東と違う。とか言っていた。おそらく彼のImageの關東は
日本製のドラマとかanimeの影響だろうな。」
と、私は苦笑した。
「私は町の人だから、それほど田園地帯には馴染みがないから、關東の風景と秋田市内の風景
には違和感がなかった。だから、こういう風景が關東にあってもいいと思うけれども。」
彼女自身寂しそうだった。
私がそういうことを考えるのが、そんなにきらいなのかそれとも・・・。
彼女は私には優しいところ見せる。
「彰、私を心配しているのか?」
彰にそう尋ねてみた。
「そうだね。」
彼女の答えは素っ気なかった。
「それと、私に甘えたいって感じだ。」
彰は一瞬考えて、
「そうだよ。私男の子みたいだし、淡雪の王子様みたいなポジションだったから、
いつもそういう風に振る舞ってきた。男子も小学校から顔なじみだし・・。」
加計呂麻島と大島同様、狭い場所での人間関係があるのだろうと
私は考えていた。
「私は、可愛いものすきなんだ。」
と、にこっと笑った。
自分のバッグから見える無骨さが目立つ小物と比べると、女性が持つ女らしい
小物がちらりと見える。
「淡雪ならば、抵抗があるのに、私だったらおk というところが・・。」
と、苦笑する。
車窓から「三崎口」とかかれた看板がみえる。
「京急はここで終点だよね。」
彰が質問した。
「うん。そうだな」
私はそう言わざるを得ない。いつも隣町の久良岐市に行くときや横浜駅に行くときに
使っているからだ。
立川に住んでいる彼女にはいささか不案内だ。中央線USERの彼女
からすれば、しらないことだろう。
市役所みたいなものが
みえた。
「三浦市の市役所だろうか。」
「違うんじゃねぇか。」
2人は顔を見合わせた。
カーナビは、城ヶ島への道を指していた。
「こっちに曲がるんだ。」
カーナビに指示を仰ぎながら、車を走らせる。
「大きな橋だね。」
彰は目の前の橋を指した。
でも、私は鄙びた漁港の方が気になった。
「古仁屋より田舎だな。」
私はそう回答をだした。
「古仁屋って此處より都会なんだ。」
彰自身なるほどという顏をした。
「そうなんだ・・・。」
少し大きめな、遠洋漁業の船、小さな沿岸漁業の船が仲良く止まっている。
「北原白秋の歌碑があると聞いた。」
勉強も出来る彰の答えだ。
「私からすれば大島海峡を思い出したよ。」
と、これから渡る橋を眺めながら100円玉を財布から出した。
「100円もだしやがるのか。ぼったぐりもいいところだ。」
私は苦虫を噛み潰したような顏をしていた。
「いちいち大げさな表情をするな。」
彰はあきれていた
つづく
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