goo blog サービス終了のお知らせ 

友々素敵

人はなぜ生きるのか。それは生きているから。生きていることは素敵なことなのです。

谷崎潤一郎の『痴人の愛』を読む

2015年02月03日 19時01分48秒 | Weblog

 今日は節分、豆まきして邪鬼を追い払うというが、我が家ではもう長い間豆まきをしていない。子どもが巣立ち、年寄りふたりでは面倒くさいという怠惰に過ぎないが、邪鬼までいなくなっては寂しいなどと屁理屈をつけている。先日、95歳の夫が88歳の妻を自分の杖で殴って殺してしまう事件があった。理由は「妻が浮気をしている」と思い込み、口論になったからとあった。

 88歳の妻が浮気?どうしてそう思ったのだろう。88歳でなお男性にモテるなら、むしろ私は妻を誇らしく思う。歳を取ってもなお異性が関心を示すのは魅力があるからだ。大いに自慢していいのではないか。確かにいくつになっても嫉妬心の強い人はいるが、連れ合いが異性にモテるのを嫌う気持ちが私には分からない。小説家の谷崎潤一郎を思い出した。

 谷崎氏は自分の妻を詩人で評論家の佐藤春夫氏に譲った。私が知る限りでは、谷崎が妻の千代子をつれなくするので、佐藤が千代子に同情し、やがて愛情に変り、譲るように迫った。ところが、谷崎は千代子と別れてその妹と結婚するつもりでいたのに断られ、千代子が惜しくなって前言を翻す(大正10)。谷崎が3度目の結婚をする人妻の松子と出会い、和田?に千代子を譲る話が出るが、佐藤の反対で潰れる(昭和4)。そして翌年、谷崎と佐藤と千代子の連名で、千代子が谷崎と離婚し佐藤と結婚すると公表する。

 ここからがよくわからないけれど、谷崎は昭和6年、小説『痴人の愛』のモデルのような女性と結婚する。そして昭和10年に松子と結婚する。49歳の時だ。私は子どもの頃、隣近所のことばかり話題にするのは島国根性で、近代日本文学を代表する私小説はその根源だと勝手に思い、日本の小説は読まないと決めていたので、谷崎の作品は読んだことがなかった。この前書店に立ち寄ったら新刊コーナーに山田詠美さんの『賢者の愛』が積まれているのを見て、これは谷崎の『痴人の愛』を意識した作品だと思った。

 まず、『痴人の愛』を読まないことには『賢者の愛』を読んでも意味がないだろうと、文庫本を買ってきた。読み出したら、どういう訳かアッという間に読めた。文体が易しく難しい漢字が少ないためだ。主人公の男は女の白い足や手に異常に関心がある。それにしても男は女に弱い。地獄に落ちるのに離れられない。分かるなあーと思ってしまった。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする