人間は直立2足歩行をするようになって、骨盤で内臓を支えるため産道が狭くなった。そのため赤子は小さく未発達で生まれるからとても手がかかる。赤子の脳は大人の7~8分の1しかないが、1年で2倍になり、5歳までに大人の90%近くとなる。このため5歳までは摂取エネルギーの40~85%を脳の成長に使うといわれている。子どもの成長が他の動物に比べて遅いのはこのためらしい。成長が止まる頃には脳の大きさは大人と同じくらいの大きさになるという。
生まれたばかりの赤子が成長するのに時間がかかるのに、翌年には出産できる多産型の人間はそのため子育てをみんなで行なうようになった。オランウータンの出産は6~9年に1回しかない。ゴリラの赤子は人間よりも小さく生まれ、3~4年間乳を飲み、最初の1年は母親が一時も赤子を離すことがない。だから、ゴリラの赤子は泣く必要がない。母親につかまることもできない人間の赤子は泣くこと、いい顔をすることで周りの大人に関心をもってもらう。
今、農業や漁業で生活する家族が減り、生産業やサービス業に従事する家族が増え、核家族となっている。子育ても、対面して食べることも、無くなってきた。専業主婦にウツ病が多いという。何をやっても評価されない、社会とのつながりもない、ダンナは忙しくて会話もないしSEXもない。初めての子どもは育て方も分からない。他人の子どもと自分の子どもを比較して落ち込む。解決の糸口が見えないからいっそう焦ってしまうようだ。
核家族が当たり前であるなら、せめて子育ては地域で共同保育するような仕組みに変えていかないと主婦はますます孤立してしまうだろう。安倍首相が「女性が輝く社会」と言うけれど、具体的な政策が必要だ。日本の労働時間は長すぎる。賃金の格差が大きすぎる。社長だから市長だから2~3千万円の報酬があっていいと誰が決めたの?サルでも食物を分け合うものがいる。人間は群れの生活をしていた頃は分け合って食べていた。目を合わせて共に食事をすることが今もう一度求められている。