と、言ったらお客さんに対して失礼であるが、実際に集中力や持続力は何時間もは続かない。そこで巧みの技だが、稽古にては本気で行い一杯の気持ちで対する。して、本番にては三割程落として七割程度の力を出す訳だ。つまり、気持ちに三割程度の余裕を持たせる。不理屈だが、120%の力を出せるものを敢えて70%の力しか出さない訳。しかし、120%に対する70%は80%を越えている。マァ、合格点だなっ!その85点が受け手にとって満点に近ければ満足を得られる訳である。その85点の為に日々稽古を積む訳だが、今日はその稽古に気が入らないのだ。
毎朝、仕込みや帳面が一段落着くとギターの稽古をするのが日課だが希に弾く気が無いのか疲れで指の動きが悪いのか、端又爪の状態が良くないのかで早々と辞める時が在る。思えば、火曜日である。やはり、疲れは在るし爪も研いで一週間を経て伸びてしまいモタツクので動きが鈍い。そういう事柄で、気分も冴えず弾けない訳だ。稽古は、集中力がモノを言うのでその集中力を高める気力も充実していないと駄目だ。実に、演奏家などは大したモンである。マァ、本業と成ると人生最後の力を出して行う事でも無いから力抜きの技も習得している訳だ。
久しぶりの初老の女性、以前は歌で為らした方だが何か訳有って歌は辞めたとの事。あれこれと様々な趣味に没頭してきたが口上は憚る。聞くも自慢で辛い。あれの話しをすれば、「それはトックに卒業したっ!」とか「あれも極めた、これも到達した」と言って過去の自己自慢で「私が私がっ!」であるから聞きずらい。自分は話切るからサッパリとして帰られるのだが、聞かされたオイラは後味が悪い。極めたと成ると、名を成したのであろうか?入選や勲章でも頂いたのであろうか?そのプライドを掲げて歩く老後は大変だろうし、周囲は離れる。
で、その晩に友人の役人が来店。先日、念願のカブを求めた方である。役人だから色々様々が自由には成らないが、海外旅行が趣味でそれこそ見聞を広めている。来週は、アメリカのダラスへ行くらしい。で、役人歴28年を数えそれ成りに濃縮還元という煮詰め、積み重ねを続け「継続は力成り」「創業守成」を実践している。リセットする事も一理あろうが、職業だけが生き甲斐ではなく趣味や会話を通じて励みを持って継続をしている訳だ。やはり、励みとなるヒントは人との会話であろう。昨夜も様々な出来事を会話し10時迄話し込んで別れた。