
瀧山が白い雪に被われ、里には白い山茶花が咲く。成人を迎えられた愛子さまのドレスは純白であった。白は聖なる色であるらしい。漢和辞典で「白」のなりたちを見ると、「象形。白骨化した頭骨の形にかたどる。されこうべの意。転じて、しろい意に用いる」とあった。さらに礼記の「殷人白を尊ぶ」の句が例示され、白への人間の深い憐みと尊敬の心が伝わってくる。食べものには豆腐の白がある。若いころ、コンロで作った湯豆腐をご馳走になったことがあった。以来、好きな食べ物のひとつとして、冬の晩酌の友として飽くことがない。俳人である久保田万太郎の豆腐愛が、こんな小唄のような詩になっている。
身の冬の
とどのつまりは
湯豆腐の
あはれ火かげんうきかげん
月はかくれて
あめとなり
雨また雪となりしかな
しょせんこの世はひとりなり
泣くもわらうも
なくもわらうもひとりなり