相変わらずの寒い日。青空に白い雲が流れている景色がうれしい。もう、炬燵も、石油ストーブも過去のものになった。一台のエアコンで、電気のメーターが回るのを懸念しながら部屋を暖める。外から帰って室内に身を置くと、エアコンの暖かさを思い知る。いつもの年よりも、重ね着である。きさらぎ、月の名のごとく、普段来ているものに、さらに重ねる。早いもので、2月に入って15日が過ぎた。立春から春分へ。暖房を必要としない季節がすぐそこまで来ている。
埋み火にすこし春ある心ちしてよふかき冬をなぐさむる哉 藤原俊成
枕草紙にこんな記載がみえる。風がひどく吹き、雲が黒く、雪が舞っているなか藤原公任から手紙がきた。今日の天候に同じ句、
すこし春あるここちこそすれ
という句に、上の句をどうつけるか悩んでいる。少納言ならどう詠むかと、聞いてきた。突然の手紙に、どうするか思い悩み身をふるわせて詠んだ句
空さむみ花にまがえてちる雪に
雪の降る寒い日を、こんな歌のやりとりで、寒い日をやり過ごした。平安の昔が思いやられる春の気候ではある。外に出ず、エアロバイクをこぎながら、少し汗ばんで春に思いを寄せる日々である。