
しばらく低気圧の影響でぐづついた日が続いたが、久しぶりの青空である。龍山には白く雪が見えるが、近くの千歳山にはまだ雪が積もらない。散歩道にある家の庭に、ツツジの帰り花が咲いていた。紅葉した葉に花をつけているのが珍しかったので、パチリと一枚。杉本秀太郎『花ごよみ』に面白い句が載っていた。
呆けたか木瓜が思案の返り花
昨今、テレビの話題は認知症である。昔は呆けると言ったが、いい印象を与えないという理由で認知症という分かりにくい言葉を使っている。70歳代も半ばになると、物忘れもだんだんとひどくなって、認知症を心配する人がまわりに増えてきた。しかし、花が季節を間違えて咲くという現象は、呆けのせいではなく、気象の異常性にある。寒さのあとに、春を思わせるような暖かい日が続くと、花が咲くのは、花のなかにあるセンサーが気温に反応して花を咲かせる。まさに正常な植物の営みである。