
悠創の丘に突然カモシカが現れた。冬毛から夏毛への変わる最中であるためか、毛並みはあまり美しいとはいえない。角も小さく成獣の手前のものであるらしい。カメラを向けても、こちらをじっと見ているばかりで動く様子がない。少し近づくと、距離を保ちながらこちらの様子を窺っているらしい。
鹿とカモシカは雪のあるなしで棲み分けている。カモシカは雪があるところでも生活できるから、山岳部でも標高の高いところで生息している。近年人里でカモシカを見かけるようになったが、ブドウやリンゴなどの味を覚え、好んで食べるようになった。猿などともに食害を働くため、自治体でも対策に頭を悩ませている。それというのも、日本カモシカの絶滅を恐れて1955年に特別天然記念物に指定されたために想定以上に、増えたためである。
カモシカには寒立という習性がある。厳寒期の早朝、絶壁の突端や岩上などに現れて、数時間立ち尽くす。しかも毎朝同じ場所に現れるので猟師たちの格好な標的になった。天然記念物に指定する前は、撃たれたカモシカは食用にされた。鹿と同様に肉は美味いらしい。
羚羊の跡ぞ深雪を厳頭へ 篠田悌次郎

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