みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

1252「監視カメラ」

2022-05-28 17:37:03 | ブログ短編

 とあるマンションで盗難事件(とうなんじけん)が発生(はっせい)した。駆(か)けつけた刑事(けいじ)たちは、すぐに現場(げんば)近くの監視(かんし)カメラの映像(えいぞう)を取り寄せた。手分(てわ)けして映像の確認(かくにん)をしていくと、いくつかの映像に二人組の犯人(はんにん)の姿(すがた)があった。だが、なぜかその姿は映像から忽然(こつぜん)と消(き)えてしまった。
 詳(くわ)しく解析(かいせき)してみても、映像を加工(かこう)した痕跡(こんせき)はなかった。これはどういうことなのか。突然(とつぜん)、消えてしまうなんてあり得(え)ない。犯人の顔がはっきり映(うつ)っていたので、犯人の特定(とくてい)はすぐにできた。刑事たちは犯人の逮捕(たいほ)に向かった。
 事件はすぐに解決(かいけつ)すると思われた。だが、住(す)んでいるアパートにも、職場(しょくば)にも、行きつけの店(みせ)にも犯人は姿を見せなかった。彼らの顔見知(かおみし)りにもあたってみたが、誰(だれ)も彼らの居場所(いばしょ)を知る者(もの)はいなかった。これは、本当(ほんとう)に消えてしまったのか…。刑事たちは打(う)つ手が見つからず、ただ歩き回るしかなかった。
 そんな日が続いたある日のこと。警察(けいさつ)に一通のメールが届(とど)いた。
〈盗(ぬす)んだものは持ち主に戻(もど)しました。犯人たちはこちらで罰(ばっ)しておきます〉
 間髪(かんはつ)を入れず、被害者(ひがいしゃ)から連絡(れんらく)が入った。盗まれたものがすべて戻っていると。刑事たちは困惑(こんわく)した。これは、どういうことだ。メールの差出人(さしだしにん)の名前(なまえ)を見て、彼らは絶句(ぜっく)した。そこには、〈えんま〉と表示(ひょうじ)されていたのだ。
<つぶやき>閻魔(えんま)サマが捕(つか)まえた? 監視カメラには不思議(ふしぎ)なことが映(うつ)り込(こ)むことも…。
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