みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

1246「ロミジュリ外伝」

2022-05-16 17:38:31 | ブログ短編

「ロミオくん、何でこんなことになってるんだ?」先生(せんせい)は頭をかきむしった。
 ロミオはため息(いき)をついて答(こた)える。「知りませんよ。ジュリエットが勝手(かって)に怒(おこ)ってるだけで…。僕(ぼく)はただ、知り合いの女の子とお茶(ちゃ)をしてただけなんです。それを変に勘(かん)ぐって…」
「君(きみ)も何でそんなことを…。もうちょっと配慮(はいりょ)があってもいいんじゃないのか?」
「ジュリエットが、あんなに嫉妬深(しっとぶか)くて、束縛(そくばく)する娘(こ)だとは思いませんでしたよ」
「それはね、君に一途(いちず)なんだよ。君だって分かってるはずじゃないか」
 そこへ、ジュリエットがやって来た。ジュリエットは先生を見つけると駆(か)け寄ってきて、
「先生! 聞いて下さい。ロミオったらひどいんです。あたしのこと――」
 先生はなだめるように、「まあまあ、落ち着きたまえ。ロミオは浮気(うわき)をするような男じゃない。君だって、知ってるじゃないか。ここは、よく話し合ってだね…」
「でもね、先生。これが初めてじゃないんです。あたしの女友達(ともだち)とも二人っきりで――」
「ロミオくん…!」先生はロミオを一瞥(いちべつ)した。先生は立ち上がると二人を座(すわ)らせて、
「いいかね、君たち。これから、君たちには大詰(おおづ)めの場面(ばめん)が控(ひか)えている。いま、こんなことで喧嘩(けんか)別れしてもらっちゃ困(こま)るんだよ。大勢(おおぜい)の人たちが、クライマックスに向けて頑張(がんば)ってきたのに、それをすべてぶち壊(こわ)すつもりなのか? 君たちは、あんなに愛(あい)し合っていたじゃないか。そのことを、もう一度、思い出してくれないか?」
<つぶやき>世紀(せいき)の恋人(こいびと)でも、永遠(えいえん)とはいかないのか…。先生ってシェークスピアなの?
Copyright(C)2008- Yumenoya All Rights Reserved.文章等の引用と転載は厳禁です。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする