みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

1245「しずく164~姉妹」

2022-05-14 17:35:37 | ブログ連載~しずく

 川相琴音(かわいことね)はベッドの上で目を覚(さ)ました。彼女は飛(と)び起きると、部屋(へや)を見回(みまわ)した。部屋の中は白(しろ)一色で、ベッド以外(いがい)は何も置かれていなかった。彼女はベッドから出ると、壁(かべ)づたいに出口(でぐち)を探(さぐ)った。壁は奇妙(きみょう)な弾力(だんりょく)があり、部屋の形(かたち)もよく分からなかった。
 突然(とつぜん)、壁に扉(とびら)が現れた。扉が開くと初音(はつね)が姿(すがた)を見せた。
「琴音…。あなたに訊(き)きたいことがあるの。あの娘(こ)をどこへ連(つ)れて行ったの?」
「あの娘…。そんなの知らないわよ。わたしは、あなたみたいにはならないわよ」
 琴音は飛ぼうとした。だが、どういう訳(わけ)か能力(ちから)が使えなくなっている。琴音は焦(あせ)り始めた。扉はいつの間(ま)にか消(き)えていた。琴音は、初音に向かっていく。二人は互角(ごかく)のように見えた。だが、一瞬(いっしゅん)の隙(すき)をついて琴音が、初音の動きを止めて首(くび)を締(し)め上げた。
「出口はどこよ。教えないと絞(し)め殺(ころ)すわよ」
 琴音は、さらに締め上げた。初音は何とか逃(のが)れようとするが、苦(くる)しさに意識(いしき)が遠(とお)のき始めた。その時、壁に出口が現れた。琴音は、初音を突(つ)き飛ばすと部屋を飛び出して行った。
 別の場所(ばしょ)に扉が現れた。今度は水木涼(みずきりょう)が顔を出した。倒(たお)れている初音に駆(か)け寄ると、
「大丈夫(だいじょうぶ)か? だから一緒(いっしょ)に行くって言ったのに。前にも危(あぶ)ない目に合ってるだろ」
「琴音は…あたしの妹(いもうと)なの。あたしが何とかしないと…」
<つぶやき>妹を助(たす)けたいんですね。でも、姉(あね)の言うことを聞いてくれるんでしょうか?
Copyright(C)2008- Yumenoya All Rights Reserved.文章等の引用と転載は厳禁です。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする