みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0780「しずく71~新たな能力者」

2020-01-20 18:14:00 | ブログ連載~しずく

 勝負(しょうぶ)は一瞬(いっしゅん)で決(き)まった。見ていた人たちには何が起きたのか分からなかったが、面(めん)を叩(たた)いた竹刀(しない)の音が響(ひび)いたので勝負がついたことを理解(りかい)した。水木涼(みずきりょう)はその場に崩(くず)れ落ちると、防具(ぼうぐ)を外(はず)して面を投(な)げ捨(す)てた。そして、よほど悔(くや)しかったのだろう、叫(さけ)び声を上げた。
 相手(あいて)は静(しず)かに礼(れい)をすると、居住(いず)まいを正(ただ)してゆっくり面を外した。そこにいたのは、柊(ひいらぎ)あずみだった。涼はそれを見て、思わず呟(つぶや)いた。「先生…、先生だったのかよ?」
「あなた、なかなかやるじゃない。良い稽古(けいこ)になったわ。ありがとう」
 涼は悔し紛(まぎ)れに言った。「今日は、調子(ちょうし)が悪(わる)かったんだよ。次は絶対(ぜったい)、私が勝つからな」
「それは楽しみだわ。あなたとは…、これから先(さき)、良い相手になれそうね」
 ――その日の夜、あずみは校舎(こうしゃ)の屋上(おくじょう)にいた。缶(かん)ビールを一気に飲み干(ほ)すと、ふわーっと声を上げた。そこへ神崎(かんざき)つくねがやって来て、あきれた顔で見つめた。あずみは、
「これ、内緒(ないしょ)だからね。学校にばれたら大変(たいへん)…。でも、今日は疲(つか)れたわぁ」
「で、どうだったんですか? 先生が剣道(けんどう)も出来るなんて、知らなかったけど…」
「私たちの子供の頃(ころ)はね、自分を守(まも)るためには何でもやったわ。でも、今日は危(あぶ)なかったわ。途中(とちゅう)で身体(からだ)が動かせなくなっちゃって、能力(ちから)を使って何とか、間一髪(かんいっぱつ)だったのよ」
「じゃあ、やっぱり水木さんも能力者(のうりょくしゃ)ってことですか?」
<つぶやき>新しい能力者の登場(とうじょう)です。でも、途中(とちゅう)から能力者にするなんてどういうこと?
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