みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0764「ゾンビ・ハンター」

2020-01-03 18:36:02 | ブログ短編

 1930年代から続いているゾンビたちとの攻防(こうぼう)。今だ収束(しゅうそく)するまでにはいたらなかった。世界中でゾンビ・ハンターたちが命(いのち)がけの戦(たたか)いを続けていて、ここでもその戦いが今まさに始まろうとしていた。
「さあ、楽(たの)しい狩(か)りの始まりだ。ううぅ、何だがゾクゾクしてきたぜ」
「あなた、ずいぶんご機嫌(きげん)ね。でも浮(う)かれてると、噛(か)みつかれちゃうわよ」
「俺(おれ)は、命(いのち)は惜(お)しくねえ。人生(じんせい)短いんだ、そうだろ? ゾンビなら何人ぶち殺(ころ)しても罪(つみ)にはならねえ。俺はな、正義感(せいぎかん)でやってるわけじゃねえんだ。お前は何でやってる? 女だてらにこんな仕事(しごと)をするなんて、まともじゃねえなぁ」
「そうね、あたしもそう思うわ。でも、辞(や)めるわけにはいかないの。あたしの血(ち)が許(ゆる)さないのよ。あいつらを全滅(ぜんめつ)させるまでは続けるつもりよ」
「そりゃ大変(たいへん)だ。長生(ながい)きしないと達成(たっせい)は難(むずか)しそうだなぁ」
「大丈夫(だいじょうぶ)よ。あたし長生きしてるから。あなたの倍(ばい)以上は生きてるのよ」
「冗談(じょうだん)はよせよ。どう見たって俺より若(わか)いじゃねえか」
 女はくすりと笑(わら)って、「あたし、特異体質(とくいたいしつ)なのよ。きっとそのせいね。ゾンビに噛まれても平気(へいき)なのよ。――さあ、あいつらのお出ましよ。行きましょ」
「なあ、頼(たの)みがあるんだが…。もし俺がゾンビになったら、お前の手で片(かた)づけてくれ」
「ええ、いいわよ。でも、そうならないように願ってるわ」
<つぶやき>命をかけて何かをするなんて、誰(だれ)にでもできることじゃないよ。私にはムリ。
Copyright(C)2008- Yumenoya All Rights Reserved.文章等の引用と転載は厳禁です。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする