goo blog サービス終了のお知らせ 

みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0471「心のうち」

2019-02-24 18:21:44 | ブログ短編

「なあ、お前って付き合ってるヤツいるのか?」
 理(さとし)から突然訊(き)かれて、芳恵(よしえ)は一瞬(いっしゅん)ドキッとして、どぎまぎしながら答(こた)えた。
「な、何よ。そんなこと、理には関係(かんけい)ないでしょ」
「やっぱ、いないよな。お前みたいにうるさいヤツ好きになるなんて…」
「失礼(しつれい)ね。私だって、好きだって言ってくれる人くらい…」
「えっ! いたのか? マジかよ」
 理は大げさに驚(おどろ)いたふりをする。芳恵は頬(ほお)を膨(ふく)らませて、
「何で過去形(かこけい)になるのよ。そういう理はどうなの? 好きな人もいないくせに」
「俺(おれ)はいるよ。ほら、安西(あんざい)かおりちゃん。もう、可愛(かわい)いんだよなぁ」
「はい? あんた、バカなの? かおりが好きになるわけないでしょ」
「そんなこと分かんないだろ。今さ、告白(こくはく)のタイミングを――」
「そんなの無理(むり)に決まってるでしょ。かおりは、付き合ってる人いるから」
「えっ、そうなの? 何だよ、もっと早く告白しとけばよかったなぁ」
「何よそれ。できもしないこと言っちゃって」
「じゃあさ、俺と付き合わない? まあ、いないよりはマシだからなぁ」
 芳恵はいきなり理に平手打(ひらてう)ちをくらわすと、「バカにしないで、誰(だれ)があんたなんかと」
<つぶやき>心のうちに思っていても、なかなか相手(あいて)に伝えられないことってあるよね。
Copyright(C)2008- Yumenoya All Rights Reserved.文章等の引用と転載は厳禁です。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする