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みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0468「親ばか」

2019-02-20 19:13:50 | ブログ短編

「なあ、暇(ひま)か? いいもん見せてやるよ」会社の先輩(せんぱい)が用(よう)もないのにやって来て言った。
 子供が産まれてからというもの、毎日のようにこんなことの繰(く)り返しだ。
「どうだ、可愛(かわい)いだろ? この目元(めもと)なんか俺(おれ)にそっくりだ。絶対(ぜったい)、美人(びじん)になるぞ」
 子供が可愛(かわい)いのは分かる。けど結婚(けっこん)もしていない僕(ぼく)にとっては、もう相(あい)づちをするぐらいしか思いつかない。この間なんか、落ち込んだ顔をしてやって来て、
「くそっ、最初(さいしょ)に見るのは俺(おれ)だったのに…」
 見せられた写メには、奥さんの横で立ち上がっている赤ちゃんが写っていた。これって、そんなにくやしいことなのか。僕には理解(りかい)できない。僕は仕方(しかた)ないから、先輩を飲みに誘(さそ)った。まあ、男同士で…。前は、先輩に強引(ごういん)に連れて行かれたのだが…。すると先輩は、
「いや、俺はやめとくよ。帰ってやることがあるんだ」
 よくよく訊(き)いてみると、赤ちゃんにパパって言わせるために頑張(がんば)るんだ、って。独身の頃は遊び歩いてたくせに、この変わり様(よう)は何なんだ。先輩は嬉(うれ)しそうに、
「やっぱり最初に話す言葉はパパでしょ。それ聞けたら、もう何にもいらない」
 僕は結婚しても、子供が出来ても、こんな風にはならないようにしようと思った。だって、これって親ばかってやつでしょ。あり得(え)ないから。
<つぶやき>そんなあなたも、親になったらみんな同じですから。親ばかになりましょ。
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