みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0449「振られる」

2019-01-29 18:42:44 | ブログ短編

「ねえ、隆夫(たかお)ってのりちゃんと別れたんだって?」
 香里(かおり)のこの言葉(ことば)に、隆夫はキョトンとした顔を向けた。香里は、
「だって、昨日(きのう)、のりに合ったとき言ってたわよ。…えっ? 違(ちが)うの?」
 隆夫は身(み)に覚(おぼ)えのないことで、「なに言ってるの? 別れてなんか…。だって、まえ会ったときも……。別れる理由(りゆう)なんか…。そんな話、全然(ぜんぜん)……」
 隆夫は心配(しんぱい)になってのりちゃんに電話をかけた。だが、着信拒否(きょひ)されているみたいでつながらない。隆夫は香里に詰(つ)め寄るようにして訊(き)いた。
「なあ、昨日、のりちゃん、他に何か言ってなかったか? 今、どこにいるんだよ!」
「そんなこと知らないわよ。昨日、たまたま駅(えき)で会って…」
「何でだよ。先月の彼女の誕生日(たんじょうび)のとき奮発(ふんぱつ)してプレゼント買って、俺(おれ)、プロポーズもしたんだぞ。俺たち、付き合ってから一度も喧嘩(けんか)してないし……。何でこうなるんだよ」
「あら…、そうなんだ。二人はそんなことになってたんだね」
 香里は慰(なぐさ)めるように、「のりのこと悪(わる)く言いたくないけど。彼女、他にも付き合ってる男(ひと)いたみたいよ。――もうさ、あんな女のことなんか忘(わす)れちゃいなよ」
「忘れられないよ。忘れられるわけないだろ。俺、ほんとに好きだったんだから…」
「もう、のりは戻(もど)って来ないよ。よし、今日は飲もう。私が愚痴(ぐち)聞いてあげるから」
<つぶやき>別れる時はちゃんと振(ふ)ってあげましょう。そうしないと次の恋に進めない。
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