みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0436「ツンデレ」

2019-01-15 18:35:27 | ブログ短編

「だから、これは違(ちが)うでしょ。何度言ったら覚えてくれるの。しっかりしなさいよ!」
 貴子(たかこ)は後輩(こうはい)の男性社員に猛烈(もうれつ)に注意(ちゅうい)した。たまりかねて、近くにいた和美(かずみ)が間(あいだ)に入る。
「まあまあ、それくらいでいいじゃない。後は、私からよく言っとくから。ねっ」
 貴子はツンツンしながら行ってしまった。和美はしょげ返(かえ)っている男性社員に、意味深(いみしん)な顔をして訊(き)いた。「あんたさ、貴子のこと、どうよ?」
「えっ、どうって?」
「だからさ、女としてよ。好きになっちゃうとか」
「いや、それは…。まあ、可愛(かわい)いかなとは思いますが…」
「じゃあ、付き合っちゃいなさいよ。貴子もさ、あんたのこと気にしてるよ」
「いやいや、それは無理(むり)ですよ。だって、嫌(きら)われてるじゃないですか、僕(ぼく)」
「違うなぁ。私のカンだけど、あんたのこと気に入ってると思うんだよね」
「どこがですか? 今もあんな恐(こわ)い顔して、めちゃくちゃ言われてるじゃないですか」
「そこよ。貴子さ、ツンデレだから。人前(ひとまえ)ではああなっちゃうの。心で思ってることの反対(はんたい)のことをしちゃうわけ。でもね、二人っきりになれば、フフフ。いい、これから私が二人っきりにさせてあげるから。今夜、貴子を食事に誘(さそ)いなさい。大丈夫(だいじょうぶ)、私に任(まか)せなさい」
「ちょっと待って下さいよ。そんなこと突然(とつぜん)言われても…。僕、困(こま)ります」
<つぶやき>でも、これってかなりのバクチですよね。カンを信じちゃっていいのかな?
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