いつからだろう、ヤマザキ君(くん)のことが気になり始めたのは…。気がつけば、私は彼の方ばかり見つめていた。そんな私を見て、親友(しんゆう)の友香(ともか)が私の耳元(みみもと)でささやいた。
「ねえ、カノンってさ、もしかして山崎(やまざき)が好きなの?」
私がいくら否定(ひてい)しても、彼女にはバレバレで…。友香は私を見透(みす)かしたように、
「へーえ、そうなんだ。いがいーっ。あんなのがタイプなんだぁ」
あんなのって何よ。そんな言い方しなくても…。いいじゃない、私が誰(だれ)を好きになったって。それに、私は別に彼と仲良(なかよ)くなろうとか、付(つ)き合おうとか、そんなこと思ってないし…。友香は一人で納得(なっとく)するように肯(うなず)くと、私が止める間(ま)もなくヤマザキ君の方へツカツカと行ってしまった。そして、他のみんなにも聞こえるように、
「カノンが好きなんだって。どうせ彼女いないでしょ。付き合っちゃいなよ」
それからどうなったのか記憶(きおく)が曖昧(あいまい)なのだが、いつの間にか一緒(いっしょ)に帰れコールが巻(ま)き上がり、私はヤマザキ君と一緒に帰ることになってしまった。私たちはみんなに見送られて教室(きょうしつ)を出る。どうするのよ。私たち、帰る方向(ほうこう)、全然(ぜんぜん)違うんですけど…。
私たちは校門(こうもん)で立ち止まった。二人とも、何を話したらいいのか分からす戸惑(とまど)っていた。どちらからともなく、また明日って…。もう、明日から気まずくなっちゃうでしょ。
私は彼の後ろ姿(すがた)に向かって叫(さけ)んだ。「私と付き合ってください!」
<つぶやき>思いがけず告白(こくはく)したけど、ヤマザキ君はどう思ってるのか。気になります。
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