私が友だちと家に帰ると、パパとママが喧嘩(けんか)をしていた。友だちは心配(しんぱい)そうに、
「ねえ、止(と)めたほうがいいんじゃない。大丈夫(だいじょうぶ)なの?」
私は平気(へいき)な顔で、「いつものことよ。本気(ほんき)じゃないわ。二人でじゃれ合ってるだけなんだから。まったく、子供(こども)みたいでしょ」
パパとママは、私たちがいることに気がつくと喧嘩を止(や)めた。ママがニコニコしながら私に声をかける。
「いやだ。帰ってたの。何でもないのよ、ちょっとふざけてただけなの」
――その日の夜。寝(ね)ている私を起(お)こしたママは、いつもよりも優(やさ)しくささやいた。
「ねえ、帆乃香(ほのか)。ママとパパ、どっちが好き?」
私は、二人とも好きだよ。でも…、「ママのこと、大好きだよ」って答えた。
ママは嬉(うれ)しそな顔をした。だけど、目に涙(なみだ)をためているのはなぜだろう?
「明日、おばあちゃんの家に行こうか? ねっ、ママと一緒(いっしょ)に」
「でも、学校もあるし…」私は、友だちと遊(あそ)ぶ約束(やくそく)だってしているの。
「学校には、ママから連絡(れんらく)しておくわ。だから、いいでしょ。おばあちゃん、帆乃香と会うの楽しみにしてるのよ。ねっ、ママと一緒に帰ろう」
私だって、もう子供じゃないわ。パパは一人でも大丈夫だけど、ママは私がいないとダメなの。だから私、「いいよ。おばあちゃんに会いに行こう」
<つぶやき>どんな家庭(かてい)でも、些細(ささい)なことから崩(くず)れていくのです。いつも、愛を忘(わす)れずに。
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