みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0253「二時間ドラマ」

2018-07-08 18:52:27 | ブログ短編

「わぁ、すごいっ! 想像(そうぞう)以上だわ」則子(のりこ)は豪邸(ごうてい)を前にして言った。
 さゆりの部屋に落ち着くと、則子は訊(き)いた。「家族(かぞく)とか親戚(しんせき)で、もめてたりしてない?」
 さゆりはキョトンとして訊き返した。「えっ、何のこと?」
「だから、こういうとこに住(す)んでると、いろいろあるじゃない。骨肉(こつにく)の争(あらそ)いなんかが」
「別に、うちは大丈夫(だいじょうぶ)だけど…。何を心配(しんぱい)してるの?」
「あなたのことに決まってるじゃない。遺産相続(いさんそうぞく)とかで殺(ころ)されたり、だまし合いとかあるでしょ。二時間ドラマでよくやってるじゃない」
 さゆりはあきれて、「なに言ってるのよ。そんなこと、あるわけないでしょ」
「そう。なら、今のところは大丈夫そうね。でも、これからよ。あなた、兄弟(きょうだい)は?」
「あ、私は、一人っ子よ。それが、どうしたって…」
「じゃ、気をつけなきゃいけないのは旦那(だんな)ね。結婚相手(あいて)は慎重(しんちょう)に選(えら)びなさい」
「私たちまだ高校生(こうこうせい)よ。結婚なんて…」
「もう始まってるの。今から人を見る目を養(やしな)っておかないと、ひどいことになるわよ。旦那に殺されてもいいの? あたしはイヤよ。あなたとはずっと仲良(なかよ)しでいたい」
 さゆりは則子の気迫(きはく)に押(お)されて、「そう…、あ、ありがとうね」
「何なら、あたしの弟(おとうと)、紹介(しょうかい)しようか? とっても真面目(まじめ)で良い子なのよ」
<つぶやき>あわよくば、なんて狙(ねら)ってはいけませんよ。損得(そんとく)抜きで、友だちは大切(たいせつ)に。
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