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みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0262「初めての妊娠」

2018-07-17 18:54:38 | ブログ短編

 夏美(なつみ)が深刻(しんこく)そうな顔でやって来た。私は、何だか嫌(いや)な予感(よかん)がした。
 夏美は微(かす)かな声で言った。「あたし、できちゃった」
「えっ、なに?」私は、彼女が何の話をしているのか理解(りかい)できず、聞き耳を立てた。
「だから、赤ちゃんができちゃったの。かず君に何て言えばいい?」
「あっ、そうなんだ。よかったじゃない。おめでとう。夏美がママになるなんて…」
 夏美は困(こま)ったような顔をして繰(く)り返した。「かず君にどう言えばいいかな?」
「なに? 悩(なや)むことなんかないじゃない。結婚(けっこん)してるんだし、ママになるんだよ」
「だって、かず君、子供(こども)なんか欲(ほ)しくないかもしれないし。どう切り出したらいいのか」
「夏美の旦那(だんな)って子供好(ず)きじゃない。絶対(ぜったい)喜(よろこ)んでくれるよ。そんなに考えすぎなくても。<できちゃった。てへっ>って笑(わら)っちゃえばいいのよ」
「そんなのダメよ。何だか、軽(かる)すぎるわ。あたし、そんな軽薄(けいはく)じゃないし」
「じゃあ…。<喜んで下さい。あなたの子供を授(さず)かりました>」
「何か、それも違(ちが)う気がする。とっても他人行儀(たにんぎょうぎ)だわ。もっと、他にないの?」
「何で私にそんなこと。私、結婚もしてないんだよ。分かるわけないでしょ」
「じゃあ、一緒(いっしょ)に来て。好恵(よしえ)がいてくれたら、かず君にちゃんと話せるかもしれない」
<つぶやき>こんな友だちでも、面倒(めんどう)をみてあげて下さい。彼女、テンパってるんです。
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