ミドリノツヅリ

ベランダで育てている植物たちについての覚書。
と、文鳥のこと。
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映画「ラサへの歩き方」

2016年07月25日 | 映画など
イメージフォーラムで「ラサへの歩き方」を観て来ました。
中国のチャン・ヤン監督によるロードムービー。五体投地でラサとカイラス山への巡礼をする人びと(同じ村の人たち11人が連れ立って行く)を描いています。ドキュメンタリーっぽいけどフィクションです。でも出演しているのは俳優さんじゃなくてチベットの村に暮らす一般の人たち、というのがすごい。五体投地って実際すごくハードだろうなと思うのですが、みんな楽しそうに見えます。いや大変そうなんだけど、巡礼に行けるというのは幸せなことなんですね。
この映画はすごく素直に、昔からのチベットの人の心のありかたに迫っているんじゃないかなと感じました。フィクションだからかもしれませんが、交わされる会話がとても穏やかなのが印象的。若者は年長の人の言葉に従い、みんなで助け合い、巡礼の途中で出会った人たちからお茶に誘われ、こちらも誘う。出会った人の家に泊めてもらう。
とてもシンプルに、良い行いをしようと思い、生きるためにやむを得ず積み重ねた罪業を減らしたいと思い、一緒に巡礼に行きたいと言われれば、ああいいよ一緒に行こうと返事し、誰かに愚痴をこぼされれば慰め、そしてみんなで祈る。まずは他の人のために祈る。チベットの祈りの声は心地よく、美しい。現実にはもっと色々なんやかやとあるんだろうなとは思うけど、このシンプルな描写は素敵です。
映画に政治的なものはありません。パンフレットでは、監督は中国での公開を希望すると言っていたけど、どうなんでしょうか。
映画の中で、言葉にして説明されなかったことはすごく沢山あるけれど、そういうあれこれの説明がなくてもチベットの「心」を鮮やかに描き出していると思う。生活文化をありのまま撮っている意義も大きいと思う。私はそこに、なんというか友愛を感じた映画でした。

この映画のことはキリスト教の書店で知りました。買いたい本があってそこに行ったとき、ポスターとチラシを置いていたからです。チラシを貰って帰ってきた後、ダッカのテロのニュースをみて、とてもやりきれない気持ちになったのでした…。
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