海外のニュースより

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「オランウータン、故郷を失う」と題する『シュピーゲル・オンライン』の記事。

2009年08月24日 | 環境問題
まだ11年ある。その後、5万匹のオランウータンと象はボルネオ島にはいなくなるかもしれない。自然保護団体WWFの最も最近の予測が当るとすると、ボルネオ島の熱帯雨林は2020年までに完全に伐採され尽くされている。「状況は劇的だ。多数の動物たちはひどく危険に瀕している」とWWFのスポークスマンであるクリスチアン・プレープは言う。
自然保護者たちは、2003年から2008年までの衛星写真を評価し、一年につき、100万ヘクタールの森林が消えていることを確認した。これは、メクレンブルク=フォアポンメルン州と同じ面積である。「森林の喪失は、この20年間にこれまでなかった規模に達した」とプレープは言う。1985年以降の平均値は、86万ヘクタールである。
ボルネオ島は、ドイツ連邦共和国の二倍の面積をもっていおり、地球上では、グリーンランドとニューギニアについで三番目に大きな島である。この島の土地は、インドネシアとマレーシアとブルネイ侯国とに分かれている。住民の多くは、非常に貧困であり、森林の木は、最も大事な資源であり、収入源である。ボルネオ島は、19世紀の半ばまでは、ほとんど完全に森林に覆われていた。
特に悪いのは、マレーシア領のサラワクである。ここでは、毎年、27万ヘクタールの森林が伐採されており、所管の役所は、それをごまかそうとし手いる。「サラワクの政府は、数年前から、森の数を公表しているが、それは現実とは全く一致していない」とWWFのスポークスマンは言う。林野庁は、毎年の伐採量を5万ヘクタールだと述べている。
ブルネイ侯国だけが肯定的な報道ができるように努力している。そこでは、森林の60%が、国家の保護下に置かれている。だが、このサルタン王国は、ボルネオ島では一番小さな国である。インドネシア領とマレーシア領では、ブルネイの二倍も広い区域の森林が伐採されている。
「森林伐採がこれいじょう野放しされれば、2020年には、森林は完全に消滅するだろう」と熱帯雨林の専門家であるマーカス・ラデイは言う。「それは種の多様性とっては、非常に危険である。なぜならば、この高度300メートルまでの地域だけで、オランウータンは、餌になる果実を十分に持っている。しかし、これ以上森林が伐採されれば、オランウーウータンの生息域が消えるだけではない。象やテングザルやサイも生息できなくなる。
ボルネオ島の熱帯雨林にとって最大の脅威は、プランテーションへの変貌である。もっとも多くの木は、油椰子の巨大な単一栽培に変えられる。インドネシアとマレーシアだけで、パーム油の85%を供給している。パーム油は、工業国では、チョコレートや石鹸や発電所で使用されている。(後略)
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