海外のニュースより

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「中国がコペンハーゲンの取引を挫折させたと、私はどうして知ったか」と題する『ガーディアン』の記事。

2009年12月23日 | 環境問題
コペンハーゲンは、完全な失敗だった。それだけは同意されている。だが、実際に起こったことの真相が混乱状態と不可避の相互非難の中で失われ危険がある。真相は、次のとおりだ。西欧の指導者たちが責任を回避して立ち去るように、中国は話し合いを挫折させ、故意にバラク・オバマに恥をかかせ、恐るべき「取引」に固執したのだ。どうして私はこのことを知っているのか?私はその部屋にいてそれが起こるのを見たのだ。
中国の戦略は単純だった。二週間公開の話し合いをブロックし、それから、非公開の取引があたかも西欧が世界の貧困者を救うのに失敗したかのように見せたのだ。
確かに、援助組織や市民社会の運動や環境保護グループは、みな、誘いに乗った。失敗は「富裕な国々が自分たちの圧倒的な責任を背負うことを拒否した不可避の結果であった」とキリスト教援助組織は述べた。「富裕な国々は、低開発国をいじめた」と「地球インターナショナルの友」は腹を立てた。
 すべては予測可能であったが、それらは、真実の完全な反対である。昨日の『ガーディアン』に書いているジョージ・モンビオでさえ、単にオバマを非難するという間違いを犯した。だが、私はオバマが取引を救うために絶望的に戦っていたのを見た。そして、中国人代表団が繰り返し、「ノー」と言うのを見た。モンビオは、「コペンハーゲン合意は少数の国の経済的支配を維持するための自殺協定だ、火葬炉協定だ」と非難したスーダンのルムンバ・ディアピングを満足げに引用した。
 スーダンは、話し合いでは、中国の操り人形として振舞った。中国代表団を公開の会議で戦闘を戦わなければならないことから救った多くの国々の一つだ。それは完全なわなだった。中国は、舞台裏で取引を骨抜きにした。それから取引を救うために、その代理人を公開の場に残したのだ。
 これが、先週、金曜日の夜遅く、2ダースの国の指導者が閉じたドアの向こうで会合したときに、実際に起こったことである。オバマは、イギリス首相ゴードン・ブラウンとエチオピア首相メレス・ゼナヴィにはさまれて、数時間テーブルについていた。デンマーク首相が議長で、彼の右には国連事務総長潘キムンがいた。おそらく国家元首を含んで50人か60人の人がその部屋にいた。
 私が見たものは、非常にショッキングだった。中国首相温家宝は、会議に個人的に出席しようとしなかった。その代わりに、中国外務大臣の交換タイヤのような人物をオバマの真正面に座らせた。外交上の侮辱は、明白で残酷だった。会議の間、数回、中国代表団が彼の上司に電話をするために席を立つと、世界の最も強力な国家元首は待たなければならなかったのだ。
 オバマと裕福な国々を非難する人たちには、このことは明らかだった。あらかじめ2050年までに80%CO2を削減することに合意していた工業国の目標は、取引からはずされた。「私たちはなぜ私たち自身の目標に言及することができないのか」と怒ったアンゲラ・メルケル・ドイツ連邦首相は言った。ケヴィン・ラッド・オーストラリア首相は、自分のマイクロホンを叩くほどうんざりした。ブラジルの代表者達も、中国の立場の非論理性を指摘した。豊かな国々はなぜ、この一方的な削減さえ公表してはいけないのか。中国代表団は、「駄目だ」と言った。メルケル首相が絶望して両手を開いて論点を譲歩したのを私は確認した。今、われわれには、なぜだか分かる。コペンハーゲン合意に野心がたりないことに対してオバマに責任があるということに中国は賭けたのだ。(後略)
[訳者のコメント}外交交渉とはこういうものだということがよく分かる素晴らしい記事だと思いました。外交交渉にかけては、中国人はすごい腕を持っていますね。低開発国の政治家達は、それが見抜けないようです。
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