海外のニュースより

政治・経済・社会の情勢について書かれた海外の新聞や雑誌の記事を選んで翻訳しています。

「崖っぷちの金融市場」と題する『フランクフルター・アルゲマイネ』紙の記事。

2008年09月16日 | 国際経済
2008年9月15日発:現代の金融システムは、いままで経験したことがなく、だれも予期しなかったストレス・テストを受けている。目下、第五の衝撃波が金融市場を襲っている。それはこれまでのどの衝撃よりも大きい。住宅金融のための金融機関を国有化した二週間後、アメリカで三番目に大きいリーマン・ブラザースが破産し、伝統に富んだメリル・リンチはバンク・オブ・アメリカの腕の中に逃避した。世界最大の保険会社AIGは、揺らいでいる。取引所の専門家は深淵をのぞき込み、市民は、自分の金が安全だろうかと問う。世界金融市場は崩壊はしていないが、この危機の後ではもはや以前と同じではあり得ない。
これまで、危機に陥った銀行は国家によって救済された。金融システムの崩壊を防ぐために、幾つかの政府は介入した。ドイツ連邦政府は、私有のIKB銀行を救うために、92億ユーロ(1兆3800億円)を支出した。英国政府は、不動産銀行ノーザン・ロックを国有化した。アメリカ政府は緊急融資で投資銀行ベア・スターンズを救い、不動産金融機関のファニー・メイとフレディ・マックとを事実上引き受けた。今度は、アメリカ政府は、投機をやり損なった銀行を助ける気はないように見える。
 これは長続きするだろうか?情勢がさらに悪くなった場合、何が起こるか?すべてが崩壊する前に、国家と発券銀行とは最後の救い手として役立つ。だが、すべての金融機関を助ける必要はない。ある銀行を破産させる力が発揮されると、政治家達は選挙権者の賛成を確信できる。なぜならば、アメリカ人もイギリス人もドイツ人も、利息に飢えていて高給をもらっている投資銀行によって破産させられたというのに、なぜ自分の税金で金融機関の損失を埋めなければならないのか理解できないからだ。
 今や、金融界のなかの刺激とは何か問うてみるべき時だ。投資銀行・ヘッジ・ファンドのマネージャーは、利益に参加していた。これに対して、損失は、株主・ファンド投資家・債権者が負担せねばならない。チャンスとリスクの関係は以前に考慮された。金融ビジネスがまだパートナーシップによって組織されていたときには、パートナーは、利益を分け合っており、損失に対しても折半していた。それによって、彼らは利息を追求する際にリスクも考慮に入れていた。
金融市場の危の起源は、アメリカの住宅市場での投機バブルにある。そこから、債権者に対する費用の増加とともに信用収縮が続いた。不動産市場における収縮過程はまだ終わっておらず、銀行の収支決算は終わっていないから、市場の早急な回復はないだろう。(後略)
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