白鷺だより

50年近く過ごした演劇界の思い出話をお聞かせします
     吉村正人

白鷺だより(175)「世界に一つだけの花」

2016-12-16 08:17:44 | うた物語
       「世界に一つだけの花」

最近の覚せい剤がらみの事件を通して「世界に一つだけの花」を考える



平成11年8月槇原敬之は覚せい剤取締り法違反(所持)で南青山の自宅で一緒に棲んでいた通称「金ちゃん」こと奥村秀一と共に逮捕された

今回の成宮寛貴の例でも分かるように芸能人にとって覚せい剤所持よりも「同性愛者」の烙印を押されることは致命的であった 
「東京スポーツ」には「槇原敬之と一緒に逮捕された同性恋人・噂の梶山金太郎・二枚目俳優とも親密」の文字が躍る
「多くの方達に取り返しのつかないご迷惑をかけてしまい お詫びする気持ちをどう表現していいか判りません 潔く罪を認め いかなる処分も受けなければならないと思っております」とファンに謝罪したが 翌月MDMAの所持が発覚再逮捕 結局翌年の判決でも懲役1年6月 執行猶予3年の有罪判決を受け 「寛大な判決が下りました今も 法を犯すことの重大さを痛感いたしております 今後はこの様な事を犯さないことを堅くお約束いたします」とコメント
 
槇原はこの裁判で
* 薬物は同性愛関係にあった金太郎こと奥村秀一から教わった
* 女性の交際や性交渉の経験がない
* 曲作りの際に奥村秀一からアドバイスを受けたり 作詞の一部を担当させていた
* 曲自体も自身の男性経験を元に創作していた
などと証言した
(なおこの時の検事に「私もあなたのCDを幾つかもっています 聞くと元気が出ますね」と言われビックリする)

この有罪判決によって音楽活動は無期限の活動停止に追い込まれ 槇原敬之は社会的に抹殺されたと誰もが思った

しかし翌年 以前所属していたワーナーミュージック・ジャパンに復帰 細々とアルバム作りを開始 彼(または彼ら)が偉かったのはこの時ASKAのように覚せい剤に戻らなかったことである 逆にこれを自分を見つめなおすチャンスだと思い仏教と出会った そしてその作風も今までの私小説的な作品(それも同性愛)とは違い人生そのものをテーマとする作品を目指すようになった その中の一曲が「世界に一つだけの花」だった

NO1にならなくていい
もともと特別なONLY ONE

花屋の店先に並んだ いろんな花を見ていた
人それぞれ好みはあるけど どれもみんなきれいだね
この中で誰が一番だなんて 争うこともしないで
バケツの中誇らしげに しゃんと胸を張っている

それなのに僕ら人間は どうしてこうも比べたがる?
一人ひとり違うのに  一番になりたがる

そうさ僕らは 世界に一つだけの花
一人ひとり違う顔を持つ
その花を咲かせることだけに
一生懸命になればいい
(中略)
小さい花や大きい花
一つとして同じものはないから
NO1にならなくてもいい
もともと特別なONLY ONE


このアルバムの中の一曲しかすぎなかったこの曲は槇原の「みそぎ」にふさわしいと考え ジャニー喜多川の鶴の一声でシングル化 
「KABAちゃん」の振付も加わってたちまちダブルミリオン(200万枚)を超えた

再犯率64・8%と言われる覚せい剤の犯罪を二人して乗り越え(? これが良かったのかな一人よりも二人・・・) 現在も二人は同棲中 金太郎は槇原の個人会社ワーズアンドミュージック社長奥村秀一として二人三脚で活躍している

そしてSMAPの解散が噂される中 この曲も再び脚光を浴びることになった


実は吉村は明日(12・17)から20日まで寒い大阪を脱出して暖を求めて沖縄に行ってきます おりからオスプレイの墜落事故があり風雲急を告げる沖縄です
ブログはそれまでお休みします





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