白鷺だより

50年近く過ごした演劇界の思い出話をお聞かせします
     吉村正人

白鷺だより(413) 「あかんたれ」のこと

2022-08-24 13:03:21 | 思い出

 あかんたれのこと

「あかんたれ」は大阪では8チャン関テレ系で1976年10月より翌77年7月まで月曜から金曜まで昼帯で放送され計210話、「続あかんたれ」は1978年2月から9月まで計155話放送された 鶴岡雅義と東京ロマンチカが歌う主題歌と一緒にヒットし評判を呼んだ 花登さん原作の「土性っ骨」を梅林喜久生さんが脚色したのだか(小林芳宏の少年時代、平井昌一)花登さんが「これは船場ではない」と批判 本郷功次郎を使ってタイトルもそのものズバリ「船場」として脚色 その決定版として原作は「土性っ骨」で「あかんたれ」を書いた

1977年  一応制作が東海テレビだったのでまず名鉄ホールにて「東海テレビ名作劇場」として同じメンバーで舞台化され梅田コマでは「関西テレビ名作劇場」としてそれまで「どてらいやつ」を上演してきた枠で「あかんたれ なみだ編」として上演された 

花登先生の原作はあるにはあったが連続ドラマとして引っ張るだけ引っ張ったそのストーリーは全く面白くなかったし出演者もテレビと同じでだれきっていた そんな作品を仕事とは云え担当していた自分自身を恥ずかしく思い、その日は小山明子さんが旦那が観に来るのだけど吉村さんは大島のファンだと聞いていたので公演後一緒に食事にと御膳立てしてくれていたのだが どんな話をすればいいか悩んでいた 幕が降り我々が出演者と一緒に楽屋に向かうとそこに大島が我々を迎えて涙で濡れたハンカチをかざして「いいお芝居でした、泣かされましだ」とオネエ言葉で叫んだ その一輝で僕の「愛と希望の街」以来の大島渚神話は吹っ飛んだ その夜の食事はキャンセルしたのは云うまでもない 

中村玉緒さんは変な女優だ 親(鴈治郎)譲りだろうかギャンブル好きである日楽屋の公衆電話の横に十円玉を山ほど並べてどうやら「良からぬ所のノミ屋」に競馬の申込みをしてるようで 聞いているとそれも穴狙いもいい所に大金(万単位)をかけていた おそらく入ったら何千万に化けそうだ。むかし九州を一緒に回ったとき 土地の興行師がわざわざ会館の近くのホテルを取ってくれていたのにパチンコ屋が近くに無いという理由で町中のホテルに一人で泊まったことがあったっけ

今の今まで舞台袖で大笑いして喋り笑っていてもいざ舞台に出ると「秀松!、逢いたかった」と涙を流せる特殊な才能の持ち主でもあった

「あかんたれ」では玉緒絡みでもう一つのエピソードがある 

翌年の「愛憎編」の時である 舞台に出ていた役者から客席で大声でヤジっている奴がいると聞き 表に連絡してすぐに出すように頼むと「それが勝新太郎さんなんです」と云う返事 客席に行くと勝さんは藤岡重慶と二人で沢本忠雄にヤジっていたので公演終了後ダメ出しをしてやって下さいと話をつけ黙ってもらった 沢本にそのことを云うと その頃劇団喜劇がやっている「送り出し」に参加してからでいいですか、との返事 伝えると「役者が送り出しとはなんじゃい、まさか玉緒はやってないやろな」間に入った玉緒さんが気の毒に

結局志垣太郎はこれ一本に終わったなあ

 

 


白鷺だより(412)アメリカに渡った「野球小僧」、快挙

2022-08-13 09:14:18 | 近況

アメリカに渡った「野球小僧」、快挙

 

8月10日、4度目の正直で大谷翔平が今季10勝目をあげ、故ベーブ・ルースが持っていた投打の二桁数(同一シーズンで10勝、かつ10本塁打)を104年ぶりに抜き去った 二刀流の勲章がまた一つ増えた 104年前ベーブ・ルースは13勝11本塁打だったが大谷翔平は10勝、25本塁打だ しかもまだシーズン途中だ 両方とも大きく伸ばすはずだ  あとは早くベーブの13勝に追いつき投手の規定回数をクリアすれば名実ともに世界一の二刀流となるだろう

さて戦後すぐに流行った灰田勝彦の曲で「野球小僧」がある 

作詞佐伯孝夫、作曲佐々木俊一

「野球小僧にあったかい 男らしくて純情で」ではじまるのだがその2番に 野球小僧は腕自慢/凄いピッチャーでバッターで/街の空地じゃ売れた顔 とある

そう言えば我々少年時代はいいピッチャーは必ず四番を打ついいバッターだった 現に高校野球がそうだ エースで四番が常識だ それが何時しかピッチャーかバッター専門になっていく それだけ両方やるということは身体への負担が大きいのだろう そのための体力作り、見た目でもアメリカに渡った頃の1,5倍にはなっている 日本の野球小僧が海を渡ってアメリカの「野球の神様」と肩を並べた 

 

さて8月17日(2022)のNHKBSプレミアムの映画はその大谷翔平の目標である神様ベーブ・・ルースの伝記映画である

脚本 ジョン・フスコ

監督 アーサー・ヒラー 

「夢を生きた男ザ・ベーブ」 1992  アメリカ

ジョン・グッドマン/ケニー・マクギリス

尚1995年ディック・キング=スミス原作The sheep pigから映画化された「ベイプ」と云う伝記映画もある

母とは死別、手に負えない不良として父親に少年院に入れられそこで野球に目覚める 地元のボルチモアオリオールズからスカウトが来る程評判を呼びプロに入る レッドソックスから引き抜かれ エージェンシーの都合でニューヨークヤンキースに移り最後はブレイブスで選手生命を終えるまで有名な病気の少年のために約束のホームランを撃つエピソードを交えてその生涯を描く 少年時代のトラウマで満足な家庭生活を送れないベーブの苦しみも描く

興行的にはさほどヒットはしなかったらしい