白鷺だより

50年近く過ごした演劇界の思い出話をお聞かせします
     吉村正人

白鷺だより(411) 作曲家三山敏を偲ぶ会

2022-07-13 08:55:46 | 近況

作曲家三山敏を偲ぶ会

 2022年7月12日 この4月の2日に亡くなった作曲家の「三山敏を偲ぶ会」がなんと大衆演劇の小屋西成「鈴成座」において行われた おそらく作家で大衆演劇評論家の橋本正樹が企画でスタッフに名前を連ねているので彼が仕掛け人だとおもわれる 鈴成座の今月は近江新之助座長の浪花劇団の一と月興行で今回は特別公演として「偲ぶ会」公演が行なわれた プログラムは第一部に東京から若葉しげるをゲストに呼び、彼のヒット作「花街の母」を浪花劇団総出演で上演、座長と若葉しげる並んでの口上のあと 三山敏の長女の解説で在りし日の三山氏のスライドショー、橋本正樹の司会でゲストのもず唄平が思い出を語り、最後は座員一同でもず唄平作詞作品をメドレーにして踊り 弟子筋にあたる歌手、渡辺要や高橋華子が歌う「浪花演歌夏祭り」、 最後は二人の最初のヒット曲「通天閣人情」で締めた

第一部 若葉しげる 作・演出・主演

「花街の母」

 おそらく最初にヒットした頃、若葉しげるが書き下ろした大衆演劇の作品で東京の花街を舞台にした人情喜劇を再演 主役、芸者奴を若葉しげる(なんと御年83歳)  ラスト娘の結婚式でお面を被って踊るシーンは秀逸 浪花劇団のメンバーが周りを固めていい作品となった

長女田中裕子さんの解説で在りし日の三山敏のスライドショーのあと もず唄平の登場だ 住居を沖縄に移したようでかりゆしウエアで現れた 松竹新喜劇文芸部時代の思い出から共に苦労した修行時代 喜志邦三に「でも」で作詞は出来ないと叱咤された話(同ブログ121参照) 共に博打に凝っていて金が入ってもすぐにつかい果たしてしまう そこで「花街の母」がヒットしたあと「とにかく家だけは買っておこう」と話合って家だけは買ったこと、渋谷天外についていた時芸者のいる座敷で待っていて色々身の上を聞いたことを思い出して「花街の母」が出来たことなどを語った

最後の舞踊ショーはもず唄平作品だけで綴る構成で、「浪花春秋」「あかんたれ」、「泉州春木港」「はぐれコキリコ」「雨の大阪」「大阪情話」などを次から次に聴いていると、なる程大衆演劇の世界と「もず作品」はよく合うと思われ、この追悼公演が座席120の小屋で行なわれた意味を判らせた