インディオ通信

古代アメリカの共感した者の備忘録8年。

次は破局的噴火か? 『死都日本』を読む

2011-03-26 19:33:10 | 映画や小説、テレビなど
  東日本が現在とんでもないことになっていて、これからも南関東大震災やら東海大地震があるのではと震えているが、かといって西日本が安全かといえば、そうとも言い切れない。火の災害があり得るからである。

  原発やら津波の被害の凄まじさで忘れ去られているが、九州南部の霧島火山(新燃岳)が噴火している。ちっぽけな現象に思えるが(?)、これはとんでもなく不気味な火山活動であり、それは現在読んでいる大長編小説『死都日本』(石黒耀)を読めば、霧島温泉郷には近づけまい(というか、宮崎とかも)。

 この小説自体は10年近く前に書かれたもので、2002年の9月に講談社メフィスト賞受賞作として出版されたものである(確か、昔、我が輩が「死神の教義」を送り付けた頃、菓子折り付きで段ボールに入っていた?大掛かりな原稿だったようだ。そういえば、そのめちゃくちゃな原稿が絶賛?されたため、調子に乗って書き続け、それが現在アルファポリスに陳列されてある次第である毎度一票有難うございます)

 この『死都日本』、まだ200ページぐらいしか読んでいないので何とも言えないが(それでも三分の一)、新燃岳も出てくるし(総理大臣は行政改革新政権の「菅原」だし)、もうすぐ噴火する火山講義、実況中継のような予感すらする。噴火といえば富士山がイメージされるが、九州・火の国には過去の大爆発でもはや形になっていないカルデラ(ポルトガル語で「大鍋」)が沢山あり(集合火山)、火口底が高原みたいになっており、そこに多くの住民が普通に?暮らしている。

 これが噴火すると(破局的噴火)、火の津波が怒涛のように襲ってくるわけで(火砕流)、都市が跡形もなく飲み込まれてしまう(人間は火砕流の前に火砕サージ、つまり熱風ガスで死ぬ)。距離的に離れていても関係ないわけがなく、火山の冬が来て、食糧危機、寒さに襲われるわけだ。

 本書によると、一般の人は

 火砕流というのは、雲仙普賢岳の「大」火砕流のように、谷底に沿って一方向へ流れていく物ではないのか? …霧島火山の火砕流は、この広い警報区域のどこへ流れていこうとしているのだろう?

 …日本人の多くは噴煙柱崩壊型・全方位火砕流などというとんでもない災厄があることさえ知らなかった。


 火砕流は「時速100キロ、厚さ500メートル、温度700度」で、高速高温のジェット粉体流で川も山も軽々と越えてくるようで、「自治体の指示に従って、落ち着いて行動し」ても何の効果もないわけである。

 ハザードマップ(災害予測地図)が役に立たないのは、今の福島原発の同心円状のあれがそうなのと同じなのかもしれない。放射性物質は風に乗ったらどこでもやってくるわけだから、もっと大勢を避難させるべきなのだが、それをやってしまったら大パニックになる。「噴火現象が起きてから避難したのではぜんぜん間に合いません」というのは、容器にまだ収まっている核物質に何となく似ているような気もする。

 もっとも逃げたからといって、毎日の生活は一体どうなるのか、その辺が全く分からない。避難命令を出す自治体は、責任を持てるのか? 津波で家を失うのと同様、放射能汚染で避難させられたりしたら、ある種のホームレスになるわけだから、生きるのはかなり厳しくなる。仕事さえあれば、何とか立ち直れるかもしれないが。

 何かもっと明るいことを書かねばならないのだが、「大地震と津波」「放射能汚染」といった何か夢でも見ているようなことが次々に起こると、次は「大噴火」があるのでは、と想像するのであった。