インディオ通信

古代アメリカの共感した者の備忘録8年。

魔法としての言葉

2008-03-23 16:13:12 | 古代アメリカの資料
『魔法としての言葉』~アメリカ・インディアンの口承詩~
金関寿夫
思潮社¥2000


 ネイティブアメリカンの詩が沢山あるが、何やら難しい解説も書かれてある。

 「文学(詩)は現代人にとっては知的娯楽であるが、インディアンにとっては文学はもっと密着したもの、実用的、かつ機能的なものだった」とあり、「呪術師によって歌われる歌は、病気を治癒するためのまじない。戦いに赴く前に歌う戦勝祈願の歌、豊作を祈る歌、雨乞いの歌、狩の獲物を祈願する歌があった」。また「恋人を得るための歌、イニシエーション、鎮魂の歌などがあった」。ようするに、「宇宙の目に見えない霊と交流したり対抗する、超自然の能力を獲得するための、いわば呪術的な媒介として、歌(時には物語)はあったのだ」とある。

 さらに本文を拝借して(p28)、

 歌が発生するときには、ほとんど例外なしに「儀式」が伴う。歌は祈りだからである。仮にトウモロコシの実りを切実に願う必要が起こるとする。するとアリゾナのパパゴ族なら、種を植えた後、その生育を祈って、古来のリズムを刻むドラムに合わせ、足拍子を踏みながら、次のようなやさしい歌を歌うのだという。


 青い夜がおりてくる
 青い夜がおりてくる
 ほら、ここに、ほら、あそこに
 トウモロコシのふさが震えている


 続いて「雨乞いの歌」?であるズーニー族の「嵐の歌」を紹介している。


 母よ 私の地を 沢山の花で 四度 おおって下さい
 天を高くもり上がる  雲でおおって下さい
 地を霧でおおい 地を雨でおおって下さい
 地を雨でおおい 地を雷光でおおって下さい
 雷鳴をいたるところにとどろかせて下さい
 雷鳴を聞かせ 雷鳴をいたるところにとどろかせて下さい
 地の六つの方角のすべてに

そして「インディアンのアニミズムについて詳述する余裕はないが、インディアンの多くの部族にとっては、鳥獣はもとより、山川草木と人間との間に差別はない。動物や草木も人間と同じ心を持ち、同じ権利を持っていると、彼らは感じている」とあり、「岩」と仮題がつけられた歌(オハマ族のもの)が紹介されてある。

 限りなく遠い
 昔から
 じっと
 お前は休んでいる
 走る小路の真ん中で
 吹く風の真ん中で
 お前は休んでいる
 鳥の糞を身体いっぱいに被って
 足元から草をぼうぼうと生やして
 頭を鳥の棉毛で飾られて
 お前は休んでいる
 吹く風の真ん中で
 お前は待っている
 年老いた岩よ


 そしてp44で、意味のない「音」だけの詩を紹介。「呪文(たとえばヒンズー教のマントラ)に似ている」と語る。作者は色々引用し、「魔法は呼吸の中にあり、呼吸こそが魔法であるという信仰がいかに重要なものか」、「文明が進むにつれて、それら霊のあったコトバは、すぐに手垢にまみれ、単なる記号になり、本来のみずみずしい生命を失ってしまった」という。

 インディオは昔、面白いと思った箇所に、付箋を張った。その中の一つが次の詩だった。
 

 魔法のことば (エスキモー族)

 ずっとずっと昔
 人と動物がともにこの世に住んでいたとき
 なりたいと思えば人が動物になれたし
 動物が人間にもなれた。
 だから時には人だったり、時には動物だったり、
 互いに区別はなかったのだ。
 そして皆が同じことばを喋っていた。
 その時ことばは、みな魔法のことばで、
 人の頭は、不思議な力を持っていた。
 偶然口を突いて出たことばが
 不思議な結果を起こすことがあった。
 ことばが急に命を持ちだし
 人が望んだことが本当に起こった――
 したいことを、ただ口に出して言えばよかった。
 なぜそんなことが出来たのか
 誰にも説明できなかった。
 世界はただ、そんなふうになっていたのだ。



12月1日… 生贄王国を見る一冊

2007-12-01 01:40:13 | 古代アメリカの資料
 『アステカ王国』~文明の死と再生~
 セルジュ・グリンスキ 著  落合一泰 監修
  創元社 (知の再発見双書19)
  ¥1400+税

  奇妙な絵が多い本で、アステカ王国での生活や、王国崩壊後スペイン風化したメキシコまで、わかり易く描写してある。

 資料編で、人身御供についてジャック・スーステルがいうには、

「古代メキシコ人の精神世界を支配し、彼らの人やものの見方を特徴づけていたのは、太陽の運行や季節の交替などの全宇宙の仕組みが、ある種の生命エネルギーを補給することなしには維持されえない、という考え方であった。そして、宇宙の存続に不可欠なこの生命エネルギーは、チャルチウアトル(貴重な水)、すなわち人間の血に含まれている、と考えられていた…」


 生き物である太陽は、すでに4回死んでいる(伝説)。

 「滅亡間近の世界にとって、曙の光は、再び太陽が天に昇るという奇跡を意味していたのである。ただし、そのためには、戦士と神官が太陽にトラスカルティリストリ(食物)、すなわち生贄の血と心臓を捧げなければならなかった…」


 そのため、太陽の民であるアステカ族は戦争を仕掛け、大量の捕虜を獲得しなければならなかった。

 アステカの軍人は死の意味を彼らなりに納得していたようだし、民間人も生まれてきたときから「あなたは生贄になるために生まれてきたのよ」と母親から子守唄のように言い聞かされていたようだ。 

 だから生贄台に転がされても、納得して死んだのだろう(…暴れたか?)

 普通の死に方でなく生贄で死ねば、死後の世界は素晴らしいと信じられていた。

 磔で喜死したキリシタンに似ているか。
 むしろ、神のために死ぬイスラム戦士かな。

 死に方は生き方。

 癌とかになって、病院のベッドの上で医者に処理されても、果たして納得して死ねるだろうか。

 









11月27日 …『ジャガーの知恵』①

2007-11-27 23:52:51 | 古代アメリカの資料
~マヤ・カレンダー「神聖暦」で占う~
『ジャガーの知恵』(2002年)
ケネス・ジョンソン 著  石原佳代子 訳
中央アート出版社(1800円+税)



訳者は冒頭で語る。
「本書を読む限り、マヤ文明のありよう、その精神性は、根底においてわたしたち日本人と、とてもよく似ているように思われる…。調和の二元論。男と女、生と死、陰と陽、神と悪魔、光と闇、正反対であるはずのものが一対となり、戦い、みつめあい、愛しあい、とけあって、現象世界を作っていく。陰を消せば陽も消え、悪魔を消せば神も消える。あなたはわたし、わたしはあなた。すべてがすべてを映しあい、ささえあう万華鏡の世界…」。

内容は、
第一章 古代マヤの世界
第二章 聖なる宇宙の創造
第三章 カレンダー・シャーマン
第四章 神聖暦ツォルキン
第五章 デイサインは語る
第六章 マヤ「生命樹」占い
第七章 シャーマンの占い
付録二十世紀からのマヤ「カレンダー・テーブル」

この本はマヤ占いだから、

おのれの生年月日を「カレンダー・テーブル」(紀元前3114年8月13日にスタートしたらしい)に当てはめ占うことになる。

やってみると、インディオの場合、「1サル」となっている。

「サル」は第五章の説明で、観念的にいろいろ書かれてある。

なになに、
サルは「あらゆる芸術のマスター」(チラム・バラムの書)、
らしい。

なら、もうとっくに作家にでもなっていておかしくないが…。

この本、なかなか面白いので、また紹介します。

7月3日 …今日は死ぬのにもってこいの日

2007-07-03 00:22:41 | 古代アメリカの資料
『それでもあなたの道を行け』(1998)
 NATIVE WISDOM
 ~インディアンが語るナチュラル・ウイズダム~
 ジョセフ・ブルチャック=編
 中沢新一+石川雄午=訳
  めるくまーる ¥1700+税

 『今日は死ぬのにもってこいの日』(1995)
 MANY WINTERS
  ナンシー・ウッド=著
 フランク・ハウエル 画
 金関寿夫 訳 
  めるくまーる ¥1700+税


   インディアンの生き方=死に方というものを、考えさせられる詩。



    今日は死ぬのにもってこいの日だ。

    生きているものすべてが、私と呼吸を合わせている。

    すべての声が、私の中で合唱している。

    すべての美が、私の目の中で休もうとしてやって来た。

    あらゆる悪い考えは、私から立ち去って行った。

    今日は死ぬのにもってこいの日だ。

    私の土地は、私を静かに取り巻いている。

    私の畑は、もう耕されることはない。

    私の家は、笑い声に満ちている。

    子供たちは、家に帰ってきた。

    そう、今日は死ぬのにもってこいの日だ。

6月24日 …メキシコ国立人類学博物館

2007-06-24 20:40:11 | 古代アメリカの資料
 世界の博物館‐5
 『メキシコ国立人類学博物館』
 ~太陽の国マヤ・アステカの文明~
 編者 増田義郎
 講談社 ¥2500(1978)


 5年前、福岡市内のブックオフで発見した。
 半値(1250円)だったが、即買った。
 定価でも買っていた(だろう)。

 この図鑑で、インディオ文明の遺品(石像など)を、じっくりと眺めることができる。
 本当に博物館へ行けば、身体で感じられるに違いない。

 行ってみたいが、金がない。

 そういえば、東京の上野公園にある国立科学博物館でもインカ・マヤ・アステカ展なるものが開催されようとしている。
 まさに子供の夏休みに合わせられたイベントだ。
 10月には神戸、来年の1月には岡山、3月には福岡と西日本に巡回する。
 NHKのホームページにあるように、事前にテレビで国民に予習勉強させるようだ。
 
 ただこの文明の遺品は、石の彫刻が多い(書物は焼かれ、木は腐る)。

 しかし巨大な石像を大量に持ち運び、展示し切れるとは思えない。

 すると、小物になる。
 金や翡翠の首飾り、生贄のナイフ(黒曜石)、壷や香炉(精霊を模った)などがガラスケースにずらりと並ぶことになるか。
 でっかい石像は写真だけ、説明文でフォロー。
 やっぱ、太陽の暦石やコアトリクエ像は、実物を見たい。

 それでも不思議と血が騒ぐ。遺伝子の影響か?
 
 行ってみたいが、金がない(この貧乏人が!)。
 九州在住だから、メキシコも東京も「飛行機で往復して一泊」に変わりない。
 インカ・マヤ・アステカ展は、来年を待とう。

 どうせ飛ぶなら、メキシコだぁ!(だがよ、てめえの給料一か月分かかるぜ)。
 それくれぇ、払ってやらぁ!(やっぱ、てめえはウマシカだぜ)
   
 すると、
 メジャーのワールドシリーズを観た後、
 甲子園を観戦するような気分になるか。

 野球好きはどっちも観るさ。


(インディオのアイデア)
 博物館の入り口で、羽飾りをつけた原住民を何人か呼んで、太鼓を叩かせ、踊らせるるのはどうか。
 きっと臨場感が湧くだろう(ただの客引きか?)。
 
 中南米から連れて来られないなら、すぐそこにいる上野公園のホームレスに、その原住民の仕事を与えるのはどうか。
 きっと日本中の注目が集まるだろう。(警官も集まるだろう)
 



6月15日 …マヤ文字事典

2007-06-15 03:09:34 | 古代アメリカの資料
 【図説】マヤ文字事典(2002)
 マリア・ロンゲーナ著
 植田覺 監修 月森左知 訳
 創元社 ¥2400


 でた~ マゾ文字事典(笑)

 得体の知れない絵文字が、大きく、ズラズラ並んでいる。

 重要なものばかり厳選されているので、記憶したいところだ(覚えて何になる!)。

  理性的な大人が見ても「ふん」と鼻で笑うかも知れないが、
  小学校低学年(6歳から8歳?)に見せれば、何か反応があるかもしれない(説明文が難しいので、絵や図だけになるか…)


 インパクトが強いのは、暗いもの。

 斬首、生贄、自己供犠、血、死、…
 
 映画『アポカリプト』を観る際の参考になるかもしれない。

 ただマヤの王族は、贅沢三昧のいい暮らしをしている権力者(悪人)というより、
 苦行に励み、神々と交信していた?宗教者(聖者)という感じがする。

 生贄の儀式とかあるから、殺戮を行う為政者=暴君というイメージが湧くのか。


 神の名の下に、戦争をし、殺人を犯すのは、今でもやっていること。

 宗教とは、実に恐ろしい・・・・

 


 

6月4日…インディオに尽くす人の本

2007-06-04 00:38:33 | 古代アメリカの資料
『アマゾン、インディオからの伝言』(2000)
南研子 (熱帯森林保護団体代表)
ほんの木 1700+税

凄い人だ。
ジャングル生活だから品性は?だが、人間の器が馬鹿でかい。
自腹を切りまくって、インディオにいろいろ与えている。
この本の印税も、○×族や△□族へ渡っているに違いない。
(多分、そのために値段も高めに設定されているはず)

「そこまでやれるか?」って感じの内容だ。

熱帯森林保護団体(RFJ)とは、NGOのこと。

NGOとは、NGO(Non-Govermental Organaizations)、すなわち日本語で「民 間公益団体」。「非政府機関」「民間自発団体(PVO)」ともいう。 市民の海外協力団体をさす。軍縮、人権、開発などさまざまな分野で、 各国の国内NGOが、国連諸機関の活動と協調して、あるいは独自に、 活動を展開するようになった。(現代用語の基礎知識)

国家は溺れている国民全てに、救いの手を差し伸べることはできない。

生活保護費や医療費を、溺れている全員にばら撒けない。

「体力のある奴は自分で泳げ!」→ 力尽きて死ぬ…。

インディオ=動物(!!)として、ブラジル政府から見放されているらしい(悲)。

「貨幣経済の波」が大自然を破壊している。
 アマゾンの原住民は、災害や病気などを被っている。

インディオは呪術や薬草があるから、現代医学の助けなど必要ない! …わけはない!

Meは春に風邪をひいて、医療の重要性を改めて認識した(春のカゼ物語)。

  誰かがインディオに薬を届けに行かねばならない!

  誰もやらないなら、NGOが!(ないなら創設しちまえ!)

きっと病気で死に掛けているインディオの姿が、彼女の頭に浮かんでいるのだろう。

一人でも多く救うため、医師でも看護婦でもない彼女は、アマゾンへ行くのである!

同時に、『インディオからの伝言』を日本人(いや、世界)に伝える使者なのだ。

彼女は語る(p105)。
「しかしこれだけは言える。北側先進諸国の豊かさを支えるために犠牲になっている人々が存在すること。誰がどうだと他者を批判する前に、私自身が小さくても確実に行動を起こさなければ何も変化しない。私は決心した。(マスコミなどに事情を話して)緊急医療支援の協力を求めようと。
・・・・・・今回ラオーニ(某部族の大酋長)が私に言った言葉を思い出す。
「研子の役目は、この自然の中で調和して暮らすインディオの生き方を、文明側に伝えることだ。架け橋になりなさい」彼女200万円の医療品購入カンパを携え、アマゾンに戻った。

熱帯森林保護団体(RAIN FOREST JAPAN)
http://www.rainforestjp.com/

焼け石に水のような団体だが、強烈なインパクトを与える。

大衆は覚めた目で「自分の生活で目一杯なのに、そんな無茶なボランティアができるなんて裏がある・・・・・きっと、彼ら(職員)が生きていく良い飯の種なんだわ」と見るだろう。

が、このNGO団体は全員無給らしい(p78)。

何か全然次元の違うものを追求している。

何だろう?

「呪術師は植物の声が聞こえる」という(p101)。
アマゾンという超パワースポットで、彼女も多分、それに近い霊的体験をしたのだろう。
インディオ世界の伝道者として、今後も無事活躍されることを祈る。

シャーマニズム世界では、個人の垣根が壊れ、人間の垣根さえも壊れる。

死んでもいいから、アマゾンへ行ってみようかなあ。

…やっぱ、命は惜しいから西表島にしておこう(この臆病者が!)。



5月28日 …マヤの予言

2007-05-28 00:42:53 | 古代アメリカの資料
『マヤの大予言』(1998年)
平川陽一
KKロングセラーズ(¥920+税)

完全なオカルト本! 宇宙人とか、ノストラダムスとか盛り沢山!
破滅の原因は、小惑星の激突か? ポールシフトか?
マヤの預言書には『その日、太陽は曇り、世界は終わる…』としかないらしい。


『マヤの予言』(1997年)
エイドリアン・ギルバート
モーリス・コットレル 共著
田中真知 訳
凱風社(¥1700+税)

 コットレルは太陽周期や太陽磁場の研究から、マヤに辿り着いたらしい。彼は研究を始めた当初、このようなことになるとは思わなかった。

彼の仮説は、
① マヤ人は、太陽活動の周期的変動がもたらす地球への影響を知っていたのではないか。
② それゆえ、マヤ人自身の滅亡も、あらかじめ予測していたのではないか。
③ マヤの絵文書や碑文には、そのような将来についての予言が、後世へのメッセージとして記されているのではないか。

太陽黒点の減少→ 太陽活動の低下→ 宇宙線の量の増加、地球の磁場に影響

太陽の極性が逆転する大周期を5つに分けると、マヤの神話と合致するという。
また預言者エドガー・ケーシーの言葉を引き合いにして、大惨事が起こるという。
それは2012年12月22日(あと5年…)。

(感想)
もうすぐ世界が終わるのか…。
まだやり残していることが…・・・・・インディオ組合が・・・・・
悲しいが、このインディオ通信も、運命の日で終了だ。

な~んてことあるか!
実に胡散臭いぞ!
世界は終わらない(当然)。
が、古代アメリカの予言は、ケツアルコアトルの再来(=アステカ王国の滅亡)をピタリと当てているから油断ならない。

ヤバイのは鳥インフルエンザか?
太陽黒点は、ウイルスとも関係あるらしい。
http://sungod2012.blog96.fc2.com/blog-entry-14.html
インディオ達はプレアデス星団に異常な関心を持っていたらしいから、↓が気になる。
フォトンベルト
http://www.net-g.com/photon/reset.html
フォトン・ベルトリポート
http://blog.mag2.com/m/log/0000101181/106524808.html

5月21日 …インディオになった人の本

2007-05-21 00:24:35 | 古代アメリカの資料
 『ジャングルで乾杯!』(1996、3月)
  ~医師も結婚も辞めてアマゾンで暮らす~
  林恵美子 スターツ出版 ¥1,100

 『ジャングルへ行く』(1996、8月)
  ~医師も結婚も辞めて~
  林恵美子 スターツ出版 ¥1,100

 ある日、スターツ出版社に『原稿』が舞い込んだ。

 編集長は呟いた。
 「本になるか? 物語は落差があるから、転がるのだが…」

 医者はエリート。それも女(インテリ)。
 アマゾンは、密林、住んでいるのは未開人(インディオ!) ←読者のイメージ

「女医が恋人も仕事も捨てて、アマゾンへ行った!」
うん、これは読者が関心を持つかも!(編集長→ 採用)

その後、原稿は、大幅修正(都合の良い所、興味の湧く点を並べる)。

 実際はどうだか(インディオは疑い深い読み方をする)。

 親の壁は厚い。
 格差社会の今、人生は親で決定する。
 政治家、弁護士、医者、歯医者、会社経営者…、全ての利権は「二世」が引き継ぐ。インディオの親の利権は……、田舎の土地ぐらいか(寂)。
 
 著者は私立女子医大出、親は開業医ではない。
 大学病院の外科医の元彼の親は、田舎の教師だといっていたが、自分の親の職業については「借金を背負って苦労して働いていたのを小さい頃から目にした、ああなりたくないと思った…」 建設業か何かか?

 ※後で、別の本で「医院の跡取り」であることが判明しました(肝心な事が書いてない!)

 本音は多分、辛気臭い患者に囲まれるより、大自然の空気を吸いながら生きたい。
 著者はインディオに戻ったのだ!!
 これも遺伝子のなせる業であろう。
 
 BUT、『ジャングルへ行く!』 の後半で、著者は次のように語っている。

「ああ、ここに来る時、お金がなくてもいい、自然の中で、素朴な生活をしたいと思ってきたのに、まず、私の前に立ちはだかった問題が、お金だったとは……」
 私は、自分の人生に対する読みの甘さを、つくづく思い知った。どこで暮らしても、やっぱり人間の暮らしに必要なのは、お金という現実的な問題だったのである。・・・・
 
 インディオ生活を満喫する幻想は、もろくも破れた。

 ブラジルで旅行業。金を稼ぐのに苦労している。一時、断念して日本へ戻ったが、アマゾンの男が恋しく(大自然も)、またブラジルへ。さてどうやるのやら。
 
 
(参考)
 ある日、この出版社に『別の原稿』が舞い込んだ。
 編集長は著者の肩書きを見る。東大医学部卒のエリート医。
 しかし・・・
  男=もともと野蛮(?)
  おっさん=出家志向がある。
 「開業医のおっさんが、何もかも捨てて、アマゾンへ行って治療してます!」
 こんな本、売れねぇや (編集長→ 没)

5月14日 …インディオが持っている本 4

2007-05-14 01:36:14 | 古代アメリカの資料

◎『太陽と月の神殿』~古代アメリカ文明の発見~
  増田義郎 中公文庫(1990) ¥680

 たぶん、売っていない。Meは古書店で偶然発見し、¥400でGETした。
半分は、アンデス・インカ文明について書かれてあるが、それでもこれがマヤ・アステカの本で、一番詳しそうな気がする。
マヤ文明のチチェン・イツアと、高原のトルテカ文明のトゥーラの比較がなされ、「…だからチチェン・イツアでは、古くからのマヤ文化の土壌の上に、外来のトルテカ文化が融合して、新しい文化スタイルが作られたというべきなのである…」(p167)とある。
マヤ文字の解説も詳しい。
 これは、学者向けだ。読むのに骨が折れるだろう(インディオはそこまでマニアではない)。


○『コルテス征略誌』~アステカ王国の滅亡~
  モーリス・コリス 金森誠也訳
  講談社学術文庫(2003) ¥1100

 新しい。2003年の6月初旬、発見して感激し(コアトリクエにパケ買い!)、2日ぐらいで読破した。これは読み物として面白いが、『古代アステカ王国』増田義郎と内容が重複するかもしれない。こっちを先に読むと、ショックが大きく?!、不明な箇所(独特な世界)に頭を捻るかもしれないので、あっちが先か。値段も400円安いしね。
 確か、「この本の地図」を拡大コピーして、コルテスの侵略ルートを、なぞりながら読んだっけ。
 やっぱ、インディオはマニアか…


5月7日 …インディオが持っている本 3

2007-05-07 00:39:51 | 古代アメリカの資料
○驚異の世界史 
『黄金帝国の謎 インカ・アステカ・マヤ』(1986)
 森本哲郎編(インカ・アステカは増田義郎と対談。マヤは植田覚と対談)
 文春文庫 ビジュアル版 ¥480 

古い。売っていないかも(BOOKOFFなら、買えるか)。
三つのテーマのうち、アステカが、一番インパクトが強い。自分はこれで初めてアステカの血生臭い儀式を知った。短いが、トルテカの思想から、歴史、麻薬文明までかなり詳しい(暦はマヤで説明)。カラー写真が凄く立派。うお~っ、アステカの太陽石、大地の女神コアトリクエ像などが、で~んと丸ごと1ページ!
何とかして手に入れたい一冊。

インディオ学の最高権威(増田氏)いわく、
「彼ら(アステカ人)の宗教体系で面白いのは宇宙観ですね。海の向こうに彼岸の世界があるといった水平的な宇宙観ではなく、垂直的に構成された宇宙観を持っていたことです。つまり、自分たちの上に十三層の天上世界があり、地下には九層の地下世界があって、それぞれ、神とか星とかが割り当てられているわけです」

海の向こうから神様がやってくるというのは、奄美大島や沖縄などの神話のことか。単純だが、平和だからこっちの方が良いではないか。

○グラフィティ・歴史謎辞典
『マヤ文明・インカ文明の謎』(1988)
 落合一泰 稲村哲也
 光文社文庫 ¥510円

これも古いが、簡単に古本屋で手に入る(だろう)。読者の苦情を嫌ってか、アステカ文明が抜けている(光文社の発行者→ 「あんなオゾマシイ文明、載せるな~!」か?)。
この本は、「現代のインディオ」について触れており、画期的だ。

小生は、例のエンタメ小説をマゾ文明に絞っていたので、インカについて勉強不足である(そういえば数年前、粕谷知世の『クロニカ』を買って読んだが、これが見事にインカに染まっていた)。
太陽の帝国インカ。人間の代わりに?アルパカを生け贄にささげるようだが??、皇帝は太陽の子だし、ピラミッド的社会で、日本人にとって親近感が湧くかもしれない(…はあ?)。

写真のアルパカ(リャマも)が可愛らしかった。この生き物、インディオは鉄輪温泉の動物園(何地獄だっけ?)で見かけた(リャマかも)。
かなり大きく、子供に人気があったようだ。
異様な臭いを発していたのが印象に残っている。

本日で4月終了 …インディオが持っている本 2

2007-04-30 01:54:02 | 古代アメリカの資料
 次々に出てくるインディオ関連の本。
「お前は何でインディオの本をそんなに持っているのだ?」
 皆は、疑問に思われるだろう。
実は小生、インディオをテーマに「エンターテイメント小説(??)」を書いていたのだった(笑)。
作者はもちろん無名! が、自信はあった(…何を根拠に)。で、何度も版元に持ち込んだ(無謀にも、○○賞にもね)。が、どうしても世に出ん。なぜだ? 
断り方「もう少し修行を」(心の中)「んなもん、出しても、売れるわけねーだろ!(怒)」
まあ、今にして思えば、そうかも知れん。出版社も、一般人も、インディオやアフリカンなど関心を持たんだろう。ただ当人は、「絶対受ける!」と信じていた…(無邪気なインディオだ。趣味が違うと受けないのにね)。

まあいいや。小説書くのも、ブログを書くのも、根っこは一緒。
このインディオのブログが読まれなきゃ、小説だってねぇ

○『マヤ文明の謎』(1984)青木晴夫
 講談社現代新書 ¥660

 文は人なりというが、親切な人の文だなと思った(お顔写真もそんな感じ)。ティカル(超ヒーリングスポット?)での調査体験で始まり、生活や絵文字が丁寧に説明されている。最後の方(p204)で、こう語る。「…しかしアメリカ原住民のほとんどがアジアから移り住んだ人たちであることを思う時、過去のある時点では、我々のほうが近かった可能性がある。しかし地理的な距離よりもさらに重要だと思われるのは、文化上での類似である…」彼こそインディオ通信を作るべきだ。

○『アステカ文明の謎』(1979)~いけにえの祭り~ 高山智博
 講談社現代新書 ¥900

 5年前、古本屋で見つけて読んだ。読了後(読んでいる間もだが)、気分が悪くなった。
実に胸糞悪い本である(発禁処分にすべきだ!)。
正月に生贄Aの方法、成人の日に生贄Bの方法、節分に生贄C、お盆に生贄スーパーX…って感じなのがアステカ文明だが、それを詳しく解説している。いかに凄惨な世界であったかが良くわかる。
著者いわく(p154)、農耕民族でも生け贄的な儀式はやる。ただ、「鶏や羊の代わりに人間を生け贄にした点が特異なのだ」と言ってのけ、さらに(p173)「このようなことから彼らを簡単に野蛮で残酷な民族だという烙印を押してしまうのは早計すぎよう(理性ある現代人でも戦争で大量虐殺するのだ云々…)」とアステカに肩入れしているように見られた。最後のあとがきで、「腹切りが日本的美なら、生け贄はアステカ的美だ、これが理解できるか出来ないかは、価値観の問題だ、云々」で締め括られている。

う~ん、台の上で無理やり両手両足を押さえつけられて・・・・されるのが、美しいとは思えないのだが。
ただ悟ったインディオは、喜んで・・・・されたのかねぇ。

武士道は死ぬことなり。
インディオ道は生け贄になることなり。
ってか?



4月23日 …インディオが持っている本

2007-04-23 00:59:47 | 古代アメリカの資料
 中身のあるインディオ(?)になるためには、本を読まねばなるまい。
 この僕様は、インディオであると名乗っている以上、少しは読み漁った。
 今後、紹介する本であるが、胡散臭いのも多いし、難解なのもある。あまりに高価なものは(5000円以上する奴とか)持っていない(手が出ない…)。

 マヤ・アステカ、インカなど、古代アメリカ世界のマニアにとっては、物足りないと舌打ちされるだろうが、僕はマニアではない(…自分ではそう思っているが)。

 まずは堅苦しい新書からスタートしたい(そのうち怪しげな本もボンボン登場する!!)。

 勝手ながらレベルを付けさせて頂いた。(読み手によって違うだろうが)。
 ●難
 ◎やや難
 ○普通
 △易


○『古代アステカ王国』~征服された黄金の国~ 
 (中公新書)増田義郎699円+税

 インディオもの、日本最高権威?の一作。
 2002年の正月に一気に読んだ。アステカ王国がスペインに滅ぼされる「読み物」として通読できて面白かった。生け贄だらけで不気味だったが。
 妙な気分だが、怖いもの見たさで読み進んでいるうち、慣れてくる。
 大学の先生が書いたもので、図や解説が挿入され、入門書として推薦。

◎『マヤ文明』~世界史に残る謎~ 
 (中公新書)石田英一郎700円
 久々に本棚から引きずり出した。
 タイトルを見て一瞬、『マゾ文明』の方が良いのではないかと思った(笑)。
 マヤの宗教と暦数など載っているが、七割ぐらいしか読んでいない。専門的なので(分析的)、よっぽど興味がある人以外、通読はキツイと思う。
 筆者の石田氏も「だったであろう」とか「ではなかっただろうか」と推測した文を連ねている。石田氏は1968年に亡くなられたから、相当古いはずで、その後、新しい発見は沢山あっただろうに。謎は深まるばかりなのだろうか。