インディオ通信

古代アメリカの共感した者の備忘録8年。

カスタネダ英文解釈教室

2014-12-14 19:17:59 | カスタネダ『呪術の実践』 !
  雅太は最近、英文のCDを車で聴き始めた。無論、「反復」なる作業の一環であり、高校時代やらに格闘した当時を思い浮かべるためである。当時流行していた「基本英文700選」なるものの、最初の文章を読むに、「書くことで身を立てたければ、しっかりと書かなければならない」云々、心に響いてきたりする。一方で、古代メキシコ呪術の英文読解とかも、もっと深く読みたいという意図もあり、その目標は奥が深いのかもしれぬ。

『意識への回帰』第3章 イーグルの放射物より。

 We perceive.this is a hard fact.But what we perceive is not a fact of the same kind,because we learn what to perceive.

 「われわれは感知する。これは厳然たる「事実」である。だがわれわれが感知するのは、同じ種類の事実などではない。なぜなら、われわれは、なにを感知するかを学んでいるからだ」(北山訳)

 「わしらは知覚する。これは動かせない事実だ。だがわしらが知覚するものは、同じ種類の事実じゃない。なぜなら、わしらは何を知覚すべきかを学ぶんだからな」(真崎訳)

  この場合、二人の訳は、似ている。が、どちらも意味が良くわからない。本来ならば、前後の文章で理解するのであるが、カスタネダの場合は前後すらわからない場合もある。最後の、「なぜなら、何を知覚すべきかを学んでいるからだ」という意味がよくわからない。理由を説明している文章なのだが、その文章が説明になっていないのである! だから『時の輪』は普通の人間には理解できない。

 「I do not know what to do.何をしたら良いのか分からない」だから、「learn=知っている」とすると、「わしらは何を知覚すべきか、知っているんだからな」となり、「わしらはイーグルの放射物を知覚していることを知っているのだからな」と解釈されるのではないか。エネルギーさえあれば、学ぶことは何もないというのが、カスタネダの世界なのである。

 さらに、

「Seers say that we think there is a world objects out there only because of our awareness. But what's really out there are the Eagle's emanations,fluid,forever in motion,and yet unchanged,eternal.」

 「戦士たちは言う、われわれがそちらがわに物の世界があると考えるのは、われわれの気づきによるものに過ぎないのだと。だが実は、そちら側にあるのはイーグルの放射物なのであって、それは流動体であり、絶えず動き続けていて、なおかつ不変で、不滅なものなのである」(北山訳)


 「見るものは、わしらがそこに物の世界があると考えるのは意識のせいだ、といっている。だが、本当にそこにあるのは、イーグルの放射物なんだよ。それを流動性を持っていて決して制止せず、しかも変わることなく永遠のものなんだ」(真崎訳)

 この文章は前者の方が忠実であるが(しかし、見るものと戦士は厳密には違うのではないか)、後者の方が心を掴むような流れがある。真崎氏は全文を訳しているから(しかも何巻も)パワーが凄いのかもしれぬ。「in motion 動いて」「awareness 知っていること、気づいていること、自覚、認識」流動体が動き続けるのは当たり前だから、何かしら、「時空を超えて流れる」とか文学的な表現?でも良いのかもしれぬ。要するに、「唯心論」な世界観を描写したいわけなのだろう。

 あまり細部にこだわらず、全体として理解できればそれでいいのかもしれぬ。こんなものが大学入試に出されたら、これはかなりの難問になるのではないか。「Eagle's emanations? ワシの羽根か?」とか、面白い答案が続出するであろう、と雅太はほくそ笑むのだった。

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