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『八日目の蝉』

2011-05-09 21:49:30 | 映画(や行)

優しかったお母さんは、私を誘拐した人でした。




『八日目の蝉』

監督・・・成島出
原作・・・角田光代
出演・・・井上真央、永作博美、小池栄子、森口瑤子、田中哲司、市川実和子、平田満、劇団ひとり、余貴美子、田中泯、風吹ジュン 他



                        【解説】

誘拐犯の女と誘拐された少女との逃亡劇と、その後の二人の運命を描いた、角田光代原作のベストセラー小説を映画化したヒューマン・サスペンス。監督は、『孤高のメス』など社会派エンターテインメント作品で定評のある成島出。
誘拐された少女の大学生時代を井上真央が演じ、愛人の娘を誘拐する女性に永作博美がふんするほか、小池栄子や森口瑤子、田中哲司など実力派俳優が勢ぞろいする。(タイトルの「蝉」は、「虫」に「單」が正式表記)
  

                        【STORY】

子どもを身篭るも、相手が結婚していたために出産をあきらめるしかなかった希和子(永作博美)は、不倫相手の赤ん坊を誘拐してしまう。
警察から逃亡する生活を続けながらも子供に愛情を注ぐが、4年の逃亡の末に逮捕される。

そして希和子に育てられた娘の恵理菜(井上真央)は、本当の家庭に戻るが彼女には居場所がなかった。
やがて大人になった彼女は、皮肉にも不倫相手の子供を身籠ってしまう






とても切ないお話でした・・・


多分、“愛人”に詰め寄るシーンや家の中の様子を見る限り“妻”という人はあまり家庭的ではない人だったのでしょう・・・
“夫”はやすらぎを“愛人”に求めたのか、そういう浮気だったのだと思う。
それか浮気ではなく、本当に離婚も考えていたのかも知れない。

でも少しエキセントリックな“妻”に言い出せないまま、双方とも妊娠。

これって、相当身勝手な男です。
でも・・・この作品では男性側が描かれることはなく、
あくまでも女性としての“母性”にこだわっていると思いました。


血の繋がりがなくても、無償の愛は注げるのです。
私を育ててくれた大好きだった祖母もそうでした。

彼女と血の繋がりがないことを私が知ったのは22歳ぐらいの時だったかな?
小さい頃、一緒にいると、「おばぁちゃんにそっくりだね~」ってよく言われてた。

映画の中で希和子が奪ってきた薫を抱いていた時「お母さんにそっくり~」って言われて、複雑な笑みを浮かべるシーンもあったけど。
つい思い出してしまいました。



希和子という人は本当に母性の強い人だったんでしょうね。
薫に対する、その表情にはいっぺんの曇りもなかった。
捕まる・・・と観念した時の顔。思わず泣いてしまった・・・

誘拐された側の立場からすると、子供を奪われた4年間は相当辛いと思う。

やっと帰ってきても、よそのおじさん、おばさんと思われ逃げられてしまう。

そんな状態で、普通の親子関係を築けるとはとても思えない。
成長し、お互いにわだかまりを持ったままぎこちない会話を交わす姿も切なかった・・・

子供に「お星さまの歌を唄って~」と言われて
普通「見上げてごらん~夜の星を~」とは出てこないなぁ。
私でも「キラキラ光る~」とか唄いそう・・・
あのシーンでは、お母さんが気の毒になった。


単なる好奇心旺盛なルポライターかと思った千草(小池栄子)の存在が、え~?そうだったのと意外でよかった。
一緒に過去を辿るという設定もすごくよかった。

想い出の場所を旅しながら、少しずつ奇和子と過ごした時間を思い出す。

現在の希和子は出てこないのだけど、写真館のエピソードで心情も痛いほど伝わって・・・
ここでも大泣き・・・



長い地中生活から出てきて、七日で死んでしまう蝉。
誰も知らない八日目を生きることが出来たら、その蝉は幸せなのか・・・不幸なのか・・・

旅が終わって、過去を全て思い出した瞬間・・・彼女にはその答えが見つかったんだろうと思う。。




いつもキュートな永作さんが、ノーメイクに近い姿で逃亡生活を続けながら、必死に子育てする姿にはじ~んときた。

井上真央は、衝撃的な過去を持つ屈折した役だけど、うまかったんじゃないかな~。
いつも明るく元気!って役が多いけど、元々表情はそんなに明るくない?と私は思っていて・・・
今、朝の連続TV小説『おひさま』も観てるんですが~その役は元気元気。



あの時ああしていれば・・・
誰でも一度はそう思う時があると思う。

この作品では、“あの時、恵理菜も一緒に車に乗せていれば・・・”とずっと悔やんでいた。
車に乗せるか、全部の場所に鍵をかけるか・・・そうすればこんな悲劇は起きなかったかも。

夫婦が乗って行った車のナンバーが“17ー14” “イナイヨ”だったのが、私はすご~く気になってしまった(苦笑)

劇団ひとりが真央ちゃんとラブシーン・・・ちょっとびっくり!した。



マリー的お気に入り度 ・・・ ★8個+半 (赦すということを考えさせられた・・・)