pure breath★マリーの映画館

好きな映画とイロイロなこと・・・

『予告犯』

2015-06-16 22:47:27 | 映画(や行)
悪か?正義か?




『予告犯』
監督・・・中村義洋
脚本・・・林民夫
原作・・・筒井哲也
出演・・・生田斗真、戸田恵梨香、鈴木亮平、濱田岳、荒川良々 他

【解説】
「ジャンプ改」で2011年から2013年にかけて連載されて人気を博した筒井哲也のコミックを実写化したサスペンス。法では裁けぬ悪や罪をネット上で暴露し、その対象への制裁を予告しては実行する謎の予告犯シンブンシとエリート捜査官の攻防が展開する。監督は『ゴールデンスランバー』、『白ゆき姫殺人事件』などの中村義洋。『脳男』などの生田斗真が、新聞紙製の頭巾を被った異様な主人公を怪演、その脇を戸田恵梨香、鈴木亮平、濱田岳、荒川良々ら実力派が固める。息詰まるタッチに加え、社会のさまざまな闇に光を当てる硬派な視点にも注目。
【STORY】
インターネット上に、新聞紙製の頭巾にTシャツの男(生田斗真)が登場する動画が投稿され始める。彼は動画の中で、集団食中毒を起こしながらも誠意を見せない食品加工会社への放火を予告する。警視庁サイバー犯罪対策課の捜査官・吉野絵里香(戸田恵梨香)が捜査に着手するが、彼の予告通りに食品加工会社の工場に火が放たれる。それを契機に、予告犯=シンブンシによる予告動画の投稿とその内容の実行が繰り返される。やがて模倣犯が出没し、政治家殺害予告までもが飛び出すようになる。



予告を観ていて、もっとスケールの大きな話かと思ってました。けれど、スケールは大きくないけど、様々な社会問題も織り込まれていて内容は濃かった。予想とは違っていたけど、イロイロ考えさせられる切ない話でした。このままいくと一体どんな着地点に?哀しい結末しか思い浮かばないんですけど・・と思ったらこちらは予想通り。

履歴書の空白の数年間ってそんなに問題なのですか?躓きもせず、順調に人生を歩んでいる人じゃないと通用しない世界なんてつまらないじゃないですか・・・
そう言うのは簡単だってことは分かってる。
でも映画を観てて、まだこういう世の中なのかって悲しくなりました・・・

近年、大きな問題となっているSNS・・・
とても便利なものだけど、使い方を誤ると大変なことになってしまう。ニュースにも取り上げられないような小さな、事件とも呼べないような事件に目を向けて“シンブンシ”と名乗る青年が制裁を加えてゆく。単純にいえばそういうストーリー・・・
でも彼が何故“シンブンシ”になってしまったのか、その理由を知ると切ない。
派遣斬りなんて弱い者イジメとしか思えない。正社員の方が出来が悪くても同等には扱ってもらえない理不尽さ。企業としては派遣の方がいつでもクビが切れるし、保障の面でも給与の面でも楽だから出来るだけ正社員は増やしたくない。
そういう背景からのネチネチとしたイジメには観ている私が腹が立って嫌~な思いがした。

日本では実感出来ない臓器売買の話とか・・・こういうことがないと、なかなか考えない。
貧しい人たちの上に成り立つ健康とかってどうなの?言い出したらキリがない・・・


斗真くんは『脳男』とか、どこか陰のあるこういう役が似合うね・・・
ジャ○ース事務所は写真使えないけど、新聞紙被って目だけならOKなんだね・・・←


鈴木さんは朝ドラや『天皇の料理番』や振り幅広くいろんな役が出来る人。
関西出身なんだっけ?関西弁が新鮮だった。


恵梨香ちゃんは、この前の『駆け込み女と駆け出し男』が凄くよかったんだけど~こういうデキる女刑事はイマイチなような気がする~。
SPECみたいなちょっとヘンな子はいいのよ~(言い方)


社会からはじき出された若者たちの行く末がああいう場所なの?
哀しい・・・
最初から最後まで不愉快で嫌な感じで、、、観てるのが辛かったけど~なんとか最後まで観れたのは弱者に対する監督の優しさがそこかしこに感じられたからだと思う。

たとえ社会のどん底にいても話し合える仲間が出来たら、小さな幸せを感じて笑顔になれる・・・
ゲイツの夢は「友達が欲しい」
そんな些細なことすら叶わなかった・・・でも、一緒に笑える友達が出来たら笑ってサヨナラ出来るんだ。

証拠として使われた海岸での映像・・・そっか~~回らないお寿司でパーティだったか・・・
ゲイツの笑顔に思わず、涙がこぼれた。


マリー的お気に入り度 ・・・★8個ちょっと(予想外にツラすぎた)



『八日目の蝉』

2011-05-09 21:49:30 | 映画(や行)

優しかったお母さんは、私を誘拐した人でした。




『八日目の蝉』

監督・・・成島出
原作・・・角田光代
出演・・・井上真央、永作博美、小池栄子、森口瑤子、田中哲司、市川実和子、平田満、劇団ひとり、余貴美子、田中泯、風吹ジュン 他



                        【解説】

誘拐犯の女と誘拐された少女との逃亡劇と、その後の二人の運命を描いた、角田光代原作のベストセラー小説を映画化したヒューマン・サスペンス。監督は、『孤高のメス』など社会派エンターテインメント作品で定評のある成島出。
誘拐された少女の大学生時代を井上真央が演じ、愛人の娘を誘拐する女性に永作博美がふんするほか、小池栄子や森口瑤子、田中哲司など実力派俳優が勢ぞろいする。(タイトルの「蝉」は、「虫」に「單」が正式表記)
  

                        【STORY】

子どもを身篭るも、相手が結婚していたために出産をあきらめるしかなかった希和子(永作博美)は、不倫相手の赤ん坊を誘拐してしまう。
警察から逃亡する生活を続けながらも子供に愛情を注ぐが、4年の逃亡の末に逮捕される。

そして希和子に育てられた娘の恵理菜(井上真央)は、本当の家庭に戻るが彼女には居場所がなかった。
やがて大人になった彼女は、皮肉にも不倫相手の子供を身籠ってしまう






とても切ないお話でした・・・


多分、“愛人”に詰め寄るシーンや家の中の様子を見る限り“妻”という人はあまり家庭的ではない人だったのでしょう・・・
“夫”はやすらぎを“愛人”に求めたのか、そういう浮気だったのだと思う。
それか浮気ではなく、本当に離婚も考えていたのかも知れない。

でも少しエキセントリックな“妻”に言い出せないまま、双方とも妊娠。

これって、相当身勝手な男です。
でも・・・この作品では男性側が描かれることはなく、
あくまでも女性としての“母性”にこだわっていると思いました。


血の繋がりがなくても、無償の愛は注げるのです。
私を育ててくれた大好きだった祖母もそうでした。

彼女と血の繋がりがないことを私が知ったのは22歳ぐらいの時だったかな?
小さい頃、一緒にいると、「おばぁちゃんにそっくりだね~」ってよく言われてた。

映画の中で希和子が奪ってきた薫を抱いていた時「お母さんにそっくり~」って言われて、複雑な笑みを浮かべるシーンもあったけど。
つい思い出してしまいました。



希和子という人は本当に母性の強い人だったんでしょうね。
薫に対する、その表情にはいっぺんの曇りもなかった。
捕まる・・・と観念した時の顔。思わず泣いてしまった・・・

誘拐された側の立場からすると、子供を奪われた4年間は相当辛いと思う。

やっと帰ってきても、よそのおじさん、おばさんと思われ逃げられてしまう。

そんな状態で、普通の親子関係を築けるとはとても思えない。
成長し、お互いにわだかまりを持ったままぎこちない会話を交わす姿も切なかった・・・

子供に「お星さまの歌を唄って~」と言われて
普通「見上げてごらん~夜の星を~」とは出てこないなぁ。
私でも「キラキラ光る~」とか唄いそう・・・
あのシーンでは、お母さんが気の毒になった。


単なる好奇心旺盛なルポライターかと思った千草(小池栄子)の存在が、え~?そうだったのと意外でよかった。
一緒に過去を辿るという設定もすごくよかった。

想い出の場所を旅しながら、少しずつ奇和子と過ごした時間を思い出す。

現在の希和子は出てこないのだけど、写真館のエピソードで心情も痛いほど伝わって・・・
ここでも大泣き・・・



長い地中生活から出てきて、七日で死んでしまう蝉。
誰も知らない八日目を生きることが出来たら、その蝉は幸せなのか・・・不幸なのか・・・

旅が終わって、過去を全て思い出した瞬間・・・彼女にはその答えが見つかったんだろうと思う。。




いつもキュートな永作さんが、ノーメイクに近い姿で逃亡生活を続けながら、必死に子育てする姿にはじ~んときた。

井上真央は、衝撃的な過去を持つ屈折した役だけど、うまかったんじゃないかな~。
いつも明るく元気!って役が多いけど、元々表情はそんなに明るくない?と私は思っていて・・・
今、朝の連続TV小説『おひさま』も観てるんですが~その役は元気元気。



あの時ああしていれば・・・
誰でも一度はそう思う時があると思う。

この作品では、“あの時、恵理菜も一緒に車に乗せていれば・・・”とずっと悔やんでいた。
車に乗せるか、全部の場所に鍵をかけるか・・・そうすればこんな悲劇は起きなかったかも。

夫婦が乗って行った車のナンバーが“17ー14” “イナイヨ”だったのが、私はすご~く気になってしまった(苦笑)

劇団ひとりが真央ちゃんとラブシーン・・・ちょっとびっくり!した。



マリー的お気に入り度 ・・・ ★8個+半 (赦すということを考えさせられた・・・)