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私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

外岡秀俊 講演会「戦後70年と、これからの社会」

2015-01-24 22:07:46 | 講演・講義・フォーラム等
 朝日新聞において欧州総局長、東京編集局長などを歴任した外岡氏が40年ぶりに故郷札幌へ帰ってきたという。その外岡氏から聴く40年ぶりの札幌の変貌ぶりは目からうろこの話が数々あった。そして氏はこれからの日本社会を語った。

 
 外岡氏は札幌生まれ、札幌育ちの方で、大学に入るため(東大)に東京に出て、そのまま朝日新聞社に入学したため、2011年に早期退職したことにより40年ぶりに札幌へ帰ってきたという。

               

 1月18日(日)午後、ルネサンスサッポロホテルで札幌南ロータリークラブの創立50周年記念講演会において、外岡秀俊氏が「戦後70年と、これからの社会」と題して講演したのを拝聴する機会を得た。

 外岡氏の話で興味深かったのは、氏が海外特派員としての生活が長かったことによって感じたこととして、日本のマスコミの特徴として①ノーベル賞、②国連、③オリンピックに関することについて、日本のマスコミは突出してこだわることだそうだ。この三分野についてのマスコミの扱いは海外メディアとは対照的に扱いが大きいという。つまり外岡氏が言うには、日本の国民性(あるいはそれを先導するマスコミ)は必要以上に外国(欧米)を意識しているということが言えるということだ。

 さらに外岡氏の目から見る40年ぶりの札幌は、お祭が非常に多いことに驚いたという。さらには人口が急増したこと、札幌への一極集中が進んでいること、人口が急増しているにもかかわらず、モノづくの産業が発展せず、サービス産業ばかりが増えていること、等々について触れた。
 そして、急激に膨張した札幌市も2015年を境に緩やかな減少に転じ、急激な高齢化を迎えるとした。(この点については多くの方々が共通に認識しているところだ)

          

 外岡氏の話は日本全体のことに移っていった。
 話は「人口再生産力」人口の減少の深刻さについて触れた。
 「人口再生産力」とは、20~39歳の出産可能とされる女性の人口を指す。この「人口再生産力」人口が50%以上減少する自治体が2040年までに半数以上、実に896の自治体にのぼるという。それらの自治体は「消滅可能性都市」と称されているという。このことが少子高齢化に拍車をかけることは言うまでもないことだ。

 
 そして外岡氏は別の指標も提示した。「米国家情報会議」は国の人口動態が国の勢いに直結するとして、各国の今後の行方を予想している。それによると、日本は1965~1995年にピークを迎えているという。これからにピークを迎える国としては、ブラジル、インド、イランなどがあり、現在勢いに乗っている中国も2025年にはピークを迎えるとしている。

 このような状況の中で、外岡氏の処方箋は前後70年だけではなく、明治維新から敗戦までの77年間も含めて時代を概観することを提唱した。それは、明治維新からの77年間を前後期に分けて、前期を「近代前期」、後期を「近代後期」とし、戦後の70年間を「現代前期」と「現代後期」に分けて考えてみるという。
 そして外岡氏は、それそれ時代を次のように概観した。
 ◆近代前期 「富国強兵」、「植民地」、「追いつき追い越せ」
 ◆近代後期 「一億一心」、「鬼畜米英」、「神国日本」
 ◆現代後期 「平和国家」、「経済大国」、「科学立国」
 ◆現代後期 「平和国家」、「成熟国家」、「少子高齢化」のモデルとなるべき。「小さくても、ゆとりのある社会」

 外岡氏は指摘する。「現実から目をそらすな」と…。
 つまり日本は人口もピークを過ぎ、国としての勢いもピークを越えていることをしっかりと認識したうえで国の行方を考えることが必要ではないかということだ。
 先の米国家情報会議の指標は、アメリカをはじめ欧州各国は軒並みピークを過ぎている。つまり、これまで先進国といわれていた国々はこれからは「成熟国家」として国の在り方を考えていくべきだ、というのが外岡氏の意見と私は捉えた。
 最後に外岡氏が強調したことは、教育の重要性だった。教育こそが成熟国家として在るべき姿を希求していく際に欠かせぬ大切な要件であると強調された。

 一部、私の聞き違いや思い込みの部分があると思われるので、その点は留意してお読みいただきたい。


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