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私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

リビング・ウィル(Living Will)とは?

2024-07-06 20:25:22 | 講演・講義・フォーラム等
 Living Willを直訳すると、「自分の意思どおりに生きる」とでも訳することができる。Living Willを提唱する日本尊厳死協会では「人生の最終段階における医療・ケアを自ら選択する権利が保障されて、最期まで自分らしく尊厳を保って生きることのできる社会の実現」を目指しているという。関係者のお話を聴いた。

   

 本日午後、札幌共済ホールにおいて、日本尊厳死協会北海道支部札幌市在宅医療協議会が共催する講演会に参加した。
 講演会のテーマは「高齢者がやすらかな最期を迎えるために~看取り現場の医師からの発信~」と題して、三人の医師の方からお話を伺い、その後に講師と関係者による総合討論会が行われた。
 最初に登壇したのは日本尊厳死協会北海道支部長を務める医師の宮本礼子氏「望む最期を迎えるために、今、自分にできること」と題してお話された。宮本氏のお話は以前にもお聴きしたことがあったが、その際とほぼ同内容のお話と受け止めた。
その内容は、日本の終末期における医療の現状は患者の意志が反映されたものとはなっていないと宮本氏は主張された。それは患者自身が自分の終末期医療について、意思表示をしていないことがその要因の一つにあると話された。その結果、日本の医療現場では「人工栄養」、「人工呼吸器」、「人工透析」などが本人の意志とは関わりなく施されている現状があると指摘した。
 こうした現状を変えていくために宮本氏は、自らの意志がはっきり表明できる段階に「リビング・ウィル(終末期医療の希望表明書)」の作成することだと強く主張された。大切なことは、作成した「リビング・ウィル」の内容について家族の了解を得ておくことだと付け加えた。

   
※ 宮本氏が提示されたリビング・ウィルの一例です。

 ただし、「リビング・ウィル」には現状のところ法的な拘束力はなく、あくまで患者の意志を担当医に伝えるという効力しかなく、日本尊厳死協会では法的規制を求めての運動も展開しているとのことだった。
 続いて登壇したのは「いまいホームケアクリニック」理事長の今井浩平氏だった。氏は「エンディングまでを見据えたかかりつけ医の選び方」と題してお話された。今井氏は数々の医療機関でさまざまな医療体験をした後、現在は「かかりつけ医」を主な業務として医院を経営されている方である。
 その今井氏が言うには、一般的な医師は「病状に対処し、その快癒を目ざす」のに対して、かかりつけ医は、「医療はもちろんのこと、何でも相談できる身近な医師」だという。であるから、医療だけではなく、患者や家族に寄り添い、あらゆる相談に乗り、グリーフケア(死別の哀しみを抱える遺族をサポートする)まで担当する医師のことをいうと云う。 
 そのためかかりつけ医を選ぶ条件としては、
①在宅医療をやっているか確かめること。
②自宅から距離が近いか。
③医師の人柄が信頼できるか。
④診察内容としては、内科の医師が相応しい。
と話され、特に医療によって回復が困難な状況に陥った場合などは「かかりつけ医」を頼ることを勧められた。その「かかりつけ医」を探すには「札幌医師会」に問い合わせると良いとアドバイスされた。(札幌医師会のHPでも紹介されている)
 最期の三番目に登壇したのは札幌市在宅医療協議会会長で「静明館診療所」所長の矢崎一雄氏「ACP時代の神経難病患者の在宅看取り状況」と題して話された。こちらはやや希少な患者に対する在宅医療のお話だったので、レポは割愛することにしたい。

    
    ※ 講演された3名の意志の皆さんです。

 三つの講演を拝聴し、改めて自らの最期について考える機会を得たと思った。講演や討論会の中でも話題となったが、「リビング・ウィル」とともに、最近は 厚労省が提唱する「人生会議(ACP)」も話題となった。
 どのような形で自らの最期の治療を望むのか?そしてその思いをどのような形で伝え、遺すのか?私ものんびりと構えていられる年代ではない。
真剣に考え、妻や息子と話す際にも、時にはこうした話題も俎上に乗せたいと思っている。