「日本最重量のチェリスト」を自称する向井航さんがチェロを構えると、あの大きな楽器が小さく見える。しかし、演奏は繊細だった。NHKの「北海道まるごとラジオ」の公開生放送に立ち会うことができた!
12月8日(金)午後、NHK札幌放送局の公開スタジオで「北海道まるごとラジオ」の公開生放送が行われ、観覧を希望したところ見事当選して生放送に立ち会うことができた。
今回のテーマは「極上のチェロの調べと北海道の食」ということで、北海道生まれで、現在は関西フィルハーモニー管弦楽団の特別契約首席チェロ奏者の向井航さんがゲストとして招請されていた。向井さんは驚くほどの巨漢だった。ご本人によると体重は現在137kgくらいではないか、とのことだった。(最近は測ったことがないとのこと)
番組はその向井さんが大食漢である(?)ことから、北海道の食を堪能していただき、かつチェロの演奏を視聴者に聴いていただこうと企画されたようである。
向井さんはその外見に似合わず、笑顔がチャーミングでおしゃべりが大好き方だった。
お話の方は、向井さんがチェロを始めたキッカケ、そして今の仕事のこと、等々について語っていただいたのだが、尋ねられたこと以上に向井さんがお話するものだから、司会を務めた大河内惇アナウンサーも、寺前杏香キャスターも大変だったようだ。
番組の中で、北海道の食として「鮨」、「スープカレー」、そして「チョコモンブラン」の三品が提供された。番組収録の中ではいずれも時間の関係から一口ずつしか口にされなかったが、どれを食しても向井さんは「美味しい!美味しい!」と言いながら頬張っていた。
チェロの演奏の方であるが、番組収録の中で3曲、収録後に私たちだけに2曲を披露してくれた。その計5曲とは…、
◆Mark Summer/「Julie‐O」
◆久石譲/アニメ映画「天空の城ラピタ」より「君をのせて」
◆マグリット・モノー/「愛の讃歌」
◆久石譲/アニメ映画「となりのトトロ」より「猫バス」
◆アストル・ピアソラ/リベルタンゴ
向井さんの演奏は、繊細というよりはむしろ豪快といったほうが似合っていただろうか?弓の動き、そして弓を持たずに弦を叩くところにそうした印象を強くした。
向井さんはクラシックの世界で輝かしい成功を納めながらも、その枠にとどまらずポップスやジャズ、タンゴなど商業音楽界にも積極的に関わり、両方の音楽界の架け橋的存在として活動を続けられているそうだ。(そのあたりが向井さんの肩書に特別契約首席奏者などという肩書をいただいている所以だろうか?)
収録時間は1時間だったが、向井さんのお話が興味深く、時間はあっという間に過ぎてしまった。
向井さんは御年43歳だそうだ。まだまだ現役プレイヤーとして活躍されるであろうが、後進の育成にも力を注いでいきたいと話された。それはチェロという楽器が、オーケストラにおいてどうしてもヴァイオリンや、トランペットなどと比べると地味な存在のために人材が集まりにくいところがあるそうだ。そうした状況を変えて才能豊かなチェリストを育てたいと語っていた。
向井航さんのこれからの活躍に期待したいと思う。