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私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

講演会「新型コロナ後の世界と日本を展望する」

2021-02-14 17:45:44 | 講演・講義・フォーラム等

 講師を務めたジャーナリストの長谷川幸洋氏は、魑魅魍魎が跋扈する政界の動きを分かりやすく伝える術には優れていると思えた。しかし、お話の中には頷ける点も多々あったが、「そうかなぁ?」と首を傾げざるを得ないところもあった講演会だった。

          

 昨日午前、ロイトン札幌において「道新資産運用フェア」、「道新不動産投資フェア」が開催され、そのイベントの特別講演としてジャーナリストの長谷川幸洋氏「新型コロナ後の世界と日本を展望する」と題する講演を拝聴した。長谷川氏のことはNTV系列の番組「そこまで言って委員会」の論客の一人として出演されているのを何度か伺ったことがあった。

 お話は、いわゆる前東京五輪組織委員会々長の森喜朗氏の問題発言のことから入った。森発言問題について、長谷川氏は発言そのものについて論評することはなかったが「あの発言は森氏の本音である」とだけ話し、国内の反応はやや行き過ぎではないかと指摘した。

 長谷川氏は森発言を直接問題にすることはなく、今年7月開催予定の「東京五輪はできない」と断言した。それは五輪開催時にコロナ感染の第4波が到来することを理由に挙げ、「ワクチンが来ない、足りない」状況にあるとした。

 ただ、日本は「人類がコロナに打ち勝った証としての東京五輪」と謳い、開催を明言している以上、日本から中止を言い出すことはあり得ない。問題はバイデン米大統領が「東京五輪は科学的に決めるべきだ」と発言したことから、アメリカの動向によって開催断念に追い込まれるのではないか、との見通しを語った。

   

   ※ 会場のロイトン札幌のホールです。   

 続いて支持率の下落を続ける菅政権の見通しについて語った。長谷川氏は「菅政権は首の皮一枚残して続くだろうし、続いてほしい」と見通しと共に、自らの願望も語った。その理由として、野党が一枚岩にはなり難く、自民党が下野することは考えにくいからとした。

 ここで長谷川氏は独特の見解を示した。それはもし菅政権が倒れた場合の後継総裁として名前があがっている諸氏は「帯に短し襷に長し」の存在で、意外な存在として元総裁のA氏の名前を挙げた。それはA氏は「自分の言葉で話せる」人物だからとした。

 講演の最後に、世界を二分しようとしている「アメリカ」と「中国」の存在について触れた。

 アメリカは、バイデン新大統領が「中国は重大な競争相手」として、同盟国、友好国と共に対峙するとしているが、気候変動問題では手を握ることもあり得るとし、トランプ前大統領のような強いメッセージを出しえないとした。

 一方中国は、現世界はアメリカが作った世界であり、その枠組みを中国が中心の世界へと変えようとしている、とした。

 ここまでは納得できたのだが、ここからが長谷川氏の独特の見方ではと思われたところである。長谷川氏は「中国には内部崩壊の兆しが見える」としたことである。その理由として、中国共産党の幹部の多くは汚職による不正蓄財をして米ドルを貯めこみ、老後をアメリカ・カルフォルニアで生活することを夢見ているという。そうしたことが明るみに出て、内部崩壊に至るというのだが…。

 確かに長谷川氏の言うように、汚職が蔓延したり、不正蓄財をしたりという事実が一部にはあるのかもしれない。しかし、それが大国中国全体に蔓延しているとは考えにくいと私は思うのだが…。「中国がいずれ崩壊する」という言説は、もう何十年も前から言われ続けてきたと私の中には刻み続けられている。しかし、いっこうにその気配は見えずに大国の道を歩み続けているように思われる。もし、長谷川氏が言うようなことがまことしやかに日本の中枢で語られているとしたら、それは対中国に対する対策の行き詰まりを自ら語っているようにも見えてくる。

 中国のような一党独裁の国が国民にとって幸せな国だとは思わない。中国が世界の覇権を握ることで世界平和に寄与するとも思えない。世界の民主主義国が小異を捨て大同に就くことで全体主義国の中国に対峙していくことではないか、と思うが長谷川氏に言わせたら「素人が何を言うか」と鼻でせせら笑われるだけかもしれない…。

 のほほんと日々暮らしているお爺ちゃんには久々に頭の体操ができた講演会だった。