田舎おじさん 札幌を見る!観る!視る!

私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

映画 66 マイウェイ

2012-01-21 20:32:29 | 映画観賞・感想

 非常に上質なエンターテイメント映画だった。エンドロールが始まっても立ち上がろうとする気持ちにはなれなかった。それほど私は感動した。韓国人映画監督カン・ジェギュの力によるところが大きい映画だと思った…。

          
          ※ 映画「マイウェイ」の魅力に一つは、圧倒的スケールで迫る戦闘シーンである。

 トゥルーストーリーと称するそうである。
 それは一つの真実を基にして、ストーリーを膨らませて映画化するものを指すようである。この映画は、第2次世界大戦末期のノルマンディー上陸作戦後にドイツ軍捕虜の中に1人の東洋人が発見され、彼の口から語られた数奇な運命を基にしたものである。

 彼の口から語られた数奇な運命とは…。
 彼は第二次世界大戦時、日本統治下にあった朝鮮半島に出兵し、ソ連、ドイツの3ヶ国の軍服を着て戦い、敗戦に次ぐ敗戦で何度も捕虜になりながらも1万2000キロを生き抜いて、最後に連合軍に発見されたのだ。

 その日本兵に日本の俳優オダギリジョーが、朝鮮人として日本軍に理不尽に徴用され彼と一緒にやはり三つの国の軍服を着て戦う役に韓国の人気俳優チャン・ドンゴンが配されている。
 二人は占領国民と被占領国民という出自の違いからいがみ合い、罵り合うが、生き延びるにしたがい心を通わせるようになる。しかし、そのチャン・ドンゴンもノルマンディーの戦いで息絶えてしまう。

          
          ※ 数々の困難を潜り抜けてきた二人だが、ノルマンディーの戦いでチャン・ヂンゴンはオダギリジョーの腕の中で息絶える。

 相次ぐ戦闘シーン、オダギリジョーとチャン・ドンゴンの激しい相克etc.etc.…。息をつかせぬほど次から次へと場面は激しく展開し、観る者をスクリーンに惹き付ける。
 これほど魅力ある映画に完成させたのは、一にも二にも監督カン・ジェギュの力量だろう。彼がこれまで撮った「シュリ」、「ブラザーフッド」も観たが、どちらも素晴らしい出来だった。

          
          ※ 才能溢れる監督カン・ジェギュのポートレート。まだまだ若い監督である。

 トゥルーストーリーといいながら、その大部分はカン・ジェギュたちによる創造の賜物だろう。ストーリーの初めの部分は日本軍の醜さが描かれ、反日映画ではとの思いも抱くが、カン・ジェギュたちがそうしたことを描こうと意図したことでないことは直ぐに解る。
 極限の中で二人の間に芽生えた友情こそが彼が描きたかったことだったと思う。
 その二人、オダギリジョー、チャン・ドンゴンの熱演も映画を成功に導いた重要な要素だろう。

 戦争映画について云々する向きもあるかと思うが、私は純粋にエンターテイメントとしてこの映画を楽しんだ。
 それでいいじゃないかと私は思う。
 久しぶりに心にドスン!と響いた映画だった…。