ヒトリシズカのつぶやき特論

起業家などの変革を目指す方々がどう汗をかいているかを時々リポートし、季節の移ろいも時々リポートします

DeNAの南場社長の講演をまた拝聴しました

2010年11月27日 | 汗をかく実務者
 「モバゲータウン」などで有名なDeNA(東京都渋谷区)の南場智子代表取締役社長の講演を拝聴しました。たぶん、講演を聞くのは4、5回目です。
 11月25日と26日の2日間にわたって、慶応義塾大学三田キャンパスで開催された第19回ベンチャー・プライベート・コンファレンスの目玉の講師をお務めになりました。

 多忙な南場さんは、慶応三田キャンパスに3時間30分も滞在しました。かなりのサービスです。有名人の南場さんの話を聞こうと、慶大生が多数聞きに来ていました。




 今年の就職試験状況からみると、就職試験時の面接で話すネタを仕入れに来ているようです。あるいは同社に就職希望を持っているのかもしれません。

 南場さんに講師を依頼した、日本テクノロジーベンチャーパートナーズ(NTVP)代表の村口和孝さんは、DeNAが資金調達で苦しんでいた時に、追加投資に応じた恩人です。その一方で、2005年2月にDeNAが東証マザーズに上場した際に、日本テクノロジーベンチャーパートナーズは上場益を十分得たといわれています。

 最近のDeNA(正確にはディー・エヌ・エー)は「怪盗ロワイヤル」などの携帯電話機向けなどの無料ゲームで有名なベンチャー企業です。

 
 現在、DeNAは資本金約43億円、東証一部に上場する中堅会社に成長しています。現在、社員数も単体で453人、連携で861人と大きな会社になっています。出身地の新潟市にモバゲータオン新潟カスタマーセンターを設けるなど、地域の雇用拡大にも貢献しています。

 講演内容は、いつものように1999年3月に同社を信頼し合える3人で創業し、オークションサイト「ビッターズ」を立ち上げる前後の苦労話でした。面白おかしく話します。この話ぶりは、話芸を感じさせるほどです。親しみやすい雰囲気を漂わせながらも、説得力のある表現の中に、コンサルティング大手のマッキンゼー・アンド・カンパニー・インク・ジャパンで有能なコンサルタントとして活躍していたときの片鱗をみせます。

 南場さんら創業者3人は、渋谷に借りたアパートの1室で午後6時になると、練り上げた事業計画書や仕様書などを見せに、東京都中央区銀座にあるリクルートの支援部門に出向きます。渋谷から銀座に向かうタクシーの中の約30分間が仮眠時間だったほどの激務でした。翌日の午前6時までリクルートの支援者と打ち合わせた後、近くの吉野家で牛丼を食べて、タクシーで渋谷に戻る毎日でした。当然、帰り道の約30分間も貴重な仮眠時間です。アパートに戻ると,指摘された事業計画の不備を修正する作業に没頭する繰り返しだったそうです。

 この激務を数カ月間続け、1999年11月にビッターズを立ち上げ、事業を始めます。ところが、オークションサイトを支えるプログラムの使い勝手があまり良くなかったのです。同プログラムの作成は、外部会社に依頼したのが敗因でした。このため、サイトなどのプラットフォームの仕掛けプログラムを作成できる優秀な人材確保に奔走します。

 南場さんは慶応大学などの大学でよく講演します。その理由は優秀な学生に入社試験を受けてもらいたいからです。もちろん、ベンチャー企業ですから少数精鋭です。多数受験してもらって、肝が据わった頑張り屋を採用する狙いです。ベンチャー企業は人材が一番の武器ですから。

 DeNAは携帯電話機向けのオークションのプラットフォームに注力した点が着眼点であり、幸運でした。ライバルのヤフー(Yahoo)や楽天がパソコン主体だった時に、携帯電話機に眼を向けた点が今日のDeNAをもたらせました。
(やはり長くなったので、これ以降は明日にします)