まりっぺのお気楽読書

読書感想文と家系図のブログ。
ゆる~い気持ちでお読み下さい。

『死を忘れるな』老人の敵は老人?

2017-05-17 21:35:51 | イギリス・アイルランドの作家
MEMENTO MORI  
1959年 ミュリエル・スパーク

ミュリエル・スパークは、何篇か短篇を読んだことがあって
その中のいくつかは強く印象に残っていますが、掴みどころがない気がしてます。

そしてこの『死を忘れるな』ですが、面白かったんだけど…
頭の中が老後の不安でいっぱいになっちゃって、どーんよりしてます。

独り暮らしのレティ・コルストン(81歳)に「死ぬ運命を忘れるな」という電話が
何度もかかってくるところから物語が始まります。

その電話は、その後、レティの兄ゴドフリー(87歳)、その妻チャーミアン(85歳)
アレック・ウォーナー(79歳)、ガイ・リート(70代前半)などなどにも
かかってくるようになります。
声から受ける印象はまちまちで、犯人像が特定できません。

さて、犯人はいったい誰? なんの目的で? …という物語ではありません。
けっこうとりとめのない展開で、うまくまとめられないんだけどざっくり言うと…

ゴドフリーとチャーミアン夫妻の邸宅を中心に展開する
妻・夫・新しい家政婦のミセス・ペティグルー(73歳)の心理戦。

モード・ロング老人病棟に入院している、長年チャーミアンの家政婦を務めていた
ジーン・テイラー(82歳)と、同室の大部屋の老女たちの日々。

亡くなった大富豪ライザ・ブルック(享年73歳)の過去がもたらした遺産の争奪戦。

以上が、物語の大きな柱になっているのではないかしら?

でも、そんなことより、この物語を読んでいて思ったのは
当たり前なんだけど、年はとりたくないなぁ…ってこと。

ご覧のように登場人物のほとんどが70〜80代の物語で、たいていの人がどっか悪いわけ。
老人が抱えてそうな病名や症状が多数でてきます。
病気でなくても足腰が悪かったり、視覚や聴覚が衰えてたり、ぼーっとしてます。

病人として扱われている人たちが、歯痒さや悔しさを表すために大声で叫んだり
おおげさに痛がったり、わざと面倒をおこしたり… というシーンもふんだんにあります。

いっぽう、元気な老人たち。
彼ら彼女らは、自分が元気なものだから元気でない人たちにすごく意地悪なのね。
言い間違いを逐一指摘したり、「もう長くないな」って言ったりするんです。
そして自分は元気で、まだまだ大丈夫!ということに優越感を抱くわけ。
それはそれで、なんか虚しいわけよ…

いちいち登場人物たちの年齢を書いてみました。
物語の中に「あいつは俺より◯歳若いのに、もうダメだな」とか
「◯歳しか違わないのに10歳は老けて見える」といった表現が多々出てきて
わずかな年齢差がかなり重要なポイントなんじゃないかと思われたのでね。

ミュリエル・スパークは、この物語を41歳の時に出版しています。
身近に要介護の親戚・知人が増え始める年代ですよね?
もしかしたら、そんなところからインスピレーションを受けたのかな?

正直言って、今読むんじゃなかったなぁ…
とにかく、迫りくる老後のことを見せつけられてるようで身につまされるのね…
老後が想像できないぐらい、思いっきり若い時に読んどくべきだったでしょう!

まだまだ老いなんてって方、あるいは老いに向き合える勇気ある方はどうぞ
読んでみたいな!という方は下の画像をクリックしてね



ひとこと大統領コーナー
いまさら…ですけど、マクロン大統領! なんと言っても20歳以上年上の奥さまが! しかも一途だったってとこが!! 
かなりクローズアップされてましたね。
フランスの皆様にも夢を与えていらっしゃるのでしょうが、世界中の女性に夢っていうか…妄想を与えてくれるわぁ


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コメント (4)
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