まりっぺのお気楽読書

読書感想文と家系図のブログ。
ゆる~い気持ちでお読み下さい。

『叶えられた祈り』久々に解説をじっくり読んだですよ

2015-08-03 23:08:17 | アメリカの作家
ANSWERED PRAYERS 
1987年 トルーマン・カポーティ

私は、基本的に、フィクションであればどんな世界観があってもいいと思ってます。
売れる売れない、読む読まないは読者が決めればいいことなんでね。

だからこの『叶えられた祈り』出版も否定はしませんが
「なんで出しちゃったかなぁ?」という疑問はおおいに感じました。

だって、どう考えてもその後のカポーティは生き辛くなるだろうと想像がつくわ。
社交界から外され、(いろいろな圧力で)文学界から干され、友人は離れていき
ヘタしたら命だって狙われるかも… という内容じゃないのか? これ。

今回あらすじは、新潮文庫の裏表紙から抜粋しますね。

「ハイソサエティの退廃的な生活をニヒルに眺めながらもあこがれている
 作家志望の男娼。この青年こそ著者の分身である。
 実在人物の内輪話も数多く描かれていたので社交界の人々を激怒させた』

“ 内輪話 ” と書かれていますが、ほとんどが性的嗜好や酒癖、薬物中毒の話しで
出版当時なら、一般的にノーマルという枠からは外れて見える性向の暴露に思えます。

この中の登場人物のどれぐらいが、実在の人物なのかどうか知りませんが
実在していたとわかる人をひとにぎりだけあげてみます。

ギリシャ王パウルス、コレット、ペギー・グッゲンハイム、バーバラ・ハットン
英王女マーガレット、キャロル・サローヤン、グロリア・ヴァンダービルト
ジャクリーン・ケネディ、モンゴメリー・クリフト… すごくない?

何人かは悪口程度の内容ですんでますが、何人かは「それを書かれちゃ…」という
エピソードが披露されちゃってます。
名前は変えられていても、あきらかにモデルがわかるというエピソードも
多数もりこまれているらしく、彼らの財力や政治力をもってすれば
カポーティの今後がどうなるんだろう?と心配する人がいたのもうなずけるってものです。

そんなわけで、巻末の “ 編集者から ” と “ 訳者あとがき ” をじっくり読んでみました。

この小説は、1966年に契約を結び、1968年に出版される予定だったそうですが
何度かの延期の末、1981年に出版するということになりました。

ところが、カポーティは、1975年にできあがっていた4つの章を
編集者の反対を押し切って、エスクァイヤ誌に先行発表したそうです。
そしてその時点で大問題となり、誰もがカポーティと口をきかなくなったそうです。
カポーティは、自信は失っていないように見えましたが
結局、執筆は滞り『叶えられた祈り』は未完で終わっています。

編集者と訳者はエスクァイヤへの発表を、それぞれ、自信からなのか
焦りからなのかに言及していますが、私はそんなことはどうでもよくて
「友だち無くすよ」ということが恐ろしくなかったんだろうか? と
考えてしまいます。

この作品が、名前を出された人にも賞讃で迎えられると思っていたのでしょうか?
ゴシップ好きは大好きかもしれないし、ちまたの話題にはなったと思う… でも
友人や知人を敵にまわしてもかまわないとまで思える内容なのかな?
浮気と離婚と下ネタのうわさ話しばっかり…

発表されたのは “ さわり ” の部分だったのかもしれないですね。
ジョーンズ青年とケイト・マクロードのエピソードは
もっともっとドラマティックになりそうな気配があるもの。

もしも完成していたら、本人が言っていたように(名前を出された人たちも納得の)
人の心をゆさぶる大作になっていたのかもしれませんね。
今となってはわかりませんが…

当時の華々しいゴシップに興味のある方におすすめ
読んでみたいな!という方は下の画像をクリックしてね



ひとことK-POPコーナー
毎週のようにタワーレコードからお届け物がある今日この頃、だんなさんはあきれ顔ですけど… それはさておき
B.A.P 復帰おめでとう~! 彼らの未来はどうなるんでしょうと心配だったさ
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