まりっぺのお気楽読書

読書感想文と家系図のブログ。
ゆる~い気持ちでお読み下さい。

『運命の裏木戸』おしどり探偵の老後

2010-04-23 21:19:44 | アガサ・クリスティ
POSTERN OF FATE 
1973年 アガサ・クリスティ

『親指のうずき』から5年、ついにタペンスはリューマチにかかっています。
終焉に近づくクリスティの執筆活動…哀しいですね。
でもこの時クリスティ82か83歳! もう充分楽しませてくれましたね。

トミーとタペンスは、田舎町ホロウキィに手頃な家を見つけて移り住みます。
前の持ち主が置いていった古い蔵書をかたずけていると
奇妙なアンダーラインが引いてある本がありました。
組み合わせると…
「メアリ・ジョーダンは自然死ではない。犯人は私たちの中にいる」になります。

タペンスは興奮気味ですが、トミーは取合いませんでした。
しかし、そのアンダーラインを引いたらしいアレグザンダー・パーキンソンなる人物が
14歳で急死したと知ってからは、興味を持たずにはいられませんでした。

なにしろかなり昔の事件で、実際に知っている人がほとんどいません。
祖父母に聞いたり大叔母にきいたり、といった話ばかりです。
有力な証人はじい様とばあ様ばかりで、あんまり記憶がはっきりしないんだしね…

メアリ・ジョーダンはパーキンソン家の養育係だった女性とわかりましたが
ドイツ人と言われていて、スパイじゃないかという噂だったらしいのです。
彼女は夕食にほうれん草と間違って混ざっていた毒草で死にました。

トミーが昔のツテを利用してホロウキィに関するスパイ事件の情報を集めると
なんと!まさにその事件の舞台になった家を自分たちが買っていたことが判りました。

例によってはしょるわね。

タペンスは何度か危ない目に遭った挙げ句
ついに、ピストルで狙われ肩に怪我を負いました。
なぜかというと温室である書類を見つけたからなのですけど…

書類が見つかった経緯は説明できないんだけど
クリスティの読書好きが垣間見える、古い書物からの引用が手がかりになります。

書類が見つかった後はというと…
なんだか犯人が自分から現れて、簡単に見破られてしまうという
ちょっとクリスティらしくないラストでありました。

トミーとタペンスも孫がいる年代ですもの。
自らアクションたっぷりに捜査する…というわけにはいかないのはわかりますが
結局全ては諜報部が解決したみたいになっちゃって残念です。

とにかく、トミー&タペンス以外の登場人物に
80歳や90歳を越えたじい様、ばあ様が多くって、会話のとりとめの無さはすごい
年代が定かでないのに自信たっぷりに「あの時よ」と教えてくれる迷惑な親切、
自分が言うことが一番正しいという、希薄な根拠による頑固な応酬の数々。

読んでるうちに目に浮かんでくる老人ぶり…
クリスティが友人や自分自身を皮肉たっぷりに書いているようで笑えました。
そして「若者よ、あなたたちもいつかはね…」と言われているようでもありました。
私も決して若くはないんだけど…

いきなり老けこんだトミーとタペンスが大活躍!
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『親指のうずき』若夫婦、老境の人になる

2010-04-22 23:10:17 | アガサ・クリスティ
BY THE PRICKING OF MY THUMBS 
1968年 アガサ・クリスティー

クリスティ、御歳78歳の作品…それだけで☆4つです。

クリスティの作品の二大スター、ポアロとミス・マープルは
「もう歳ですよ」と言い続けて何十年、まったく歳をとっていってない気がします。
周囲は変化をみせていて、流行ものやファッションなどは変わるのだが
ふたりは相変わらずという “ 磯野&ふぐ田 ” 状態でした。

その点トミー&タペンスは、いつまでも『おしどり探偵』の若い夫婦じゃありませんよ。

実は、クリスティの中でもスパイものはあまり興味がありませんで未読が多いのです。
トミー&タペンスも半分は読んでいませんが、溌剌としていたふたりが
老人ホームの入居者に間違えられるほど歳をとってからの物語ということで
ワクワクして読み始めました。

ミス・マープル登場時から、田舎のおしゃべりで皮肉屋のばあ様に
愛情たっぷりだったクリスティの筆は、さらに冴え渡ってます。
大好きな祖母と同じ年ごろになったクリスティが書くばあ様ときたら…
なるべくそばにいたくないけど、読んでるだけなら楽しい

あ、内容ですね。

トミーとタペンスは叔母のエイダの見舞いに養老院サニー・リッジを訪れます。
エイダ叔母に追い払われたタペンスは、居間でランカスター夫人という
可愛らしいおばあちゃまに会いました。
彼女は一見普通だったのに、急に「暖炉に子供の死体がある」なんて言い出します。

その後エイダ叔母が亡くなって荷物の整理をしにいったタペンスは
1枚の絵が気になって譲り受けました。
その絵に描かれている家をどこかで見た気がするからです。

その絵はランカスター夫人がエイダ叔母にあげたものだそうですが
ランカスター夫人はエイダ叔母が亡くなる前に、急に親戚に引き取られました。
まるで何かを知られたから連れ去られたような感じでした。

タペンスの、ランカスター夫人と絵に描いてある家探しが始まります。
あーでもない、こーでもないと悩んだ末、家の場所は分りました。
トミーの留守を狙ってひとり田舎まで足を伸ばしたタペンスは
次第にその家の秘密に近づいていたようでしたが、いきなり後ろから殴られます。

タペンスはどうなるのかしら?

登場人物まで詳しく書いているとすごーく長くなりますので
いっきに最後まで飛びますと、ランカスター夫人を見つけることはできました。
でも、彼女を救うことはできませんでした。
何故かは秘密…

トミー、タペンスにわかったことは次の通りです。
探していた家の一郭から、ダイヤモンドのつまった人形が出てきました。
養老院では不審な死がありました。
家があった村では昔、連続少女殺人事件がありましたが犯人は捕まっていません。
トミーの友人によれば、ランカスター夫人の親戚の弁護士は犯罪組織の黒幕だそうです。

一見バラバラに見えますけど、見事にラストで繋がるんだなぁ…
老境にさしかかってもアクティブに動き回るトミー&タペンスを見習いたいわ。

それよりもアガサ・クリスティでしょ!
78歳にしてこの想像力と集中力!! しかもまだまだ執筆は続きます。

トミーとタペンスが老体にムチ打って大活躍!
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『復讐の女神』花園を巡りながら…

2010-03-27 13:09:30 | アガサ・クリスティ
NEMESIS 
1971年 アガサ・クリスティ

ある朝、ミス・マープルはラフィール氏の名を新聞の死亡欄で見つけます。
ラフィール氏とは、カリブ海に静養に行った際
ある事件(『カリブ海の秘密』)でミス・マープルに協力してくた大富豪です。

その1週間後、ラフィール氏の弁護士からミス・マープルに手紙が届きます。
カリブ海でおおいにミス・マープルを信頼したラフィール氏は
死を前にしてある依頼を弁護士に託していました。

依頼の内容は「名園を巡るバスツアーに参加すること」?
いったい何がラフィール氏の望みなのでしょうか?
訳が分からぬまま、ミス・マープルはバスに乗り込みます。
しかし、さすがのミス・マープルも弱りました
いくらなんでも情報がないんじゃ…

ミス・マープルはとりあえず乗客を観察することにします。
乗客はミス・マープルを除いて14人…この中に何か手がかりがあるのでしょうか?

バスがジョンスン・セント・メアリに立ち寄った時
近所の旧領主邸に住むブラッドベリースコット三姉妹から招待を受けます。
ラフィール氏の指示によるものらしいのですが
当の三姉妹は本当は迷惑している様子です。

旅行を続けるうち、ミス・マープルはラフィール氏に息子がいたことを知ります。
息子マイクルは札付きの青年で、恋人殺しの容疑で逮捕されていました。
殺された恋人というのが、三姉妹の長女クロチルドが後見人になっていた
ヴェリティ・ハント、彼女は顔をめちゃめちゃにされていました。

バスに乗っていたミス・テンプルは有名女子高の元校長で
ヴェリティを教えたことがありました。
さらに、途中でマイクルとヴェリティの結婚を許可した副司教ブラバゾンも
ミス・マープルを待っていました。
どうやら調査すべきは、マイクルがおこしたとされる
ヴェリティの殺人事件に関することのようですね。

ミス・マープルはこの事件の中に、マイクルとヴェリティの愛の他に
ある強い愛がひそんでいたことに気がつきます。
はたしてその愛とはなんでしょう? 誰の誰に対する愛だったんでしょう?

愛は、男と女の間だけに存在するものではないですからね…

バスで移動する先々でミス・マープルに与えられていくヒント。
ミス・マープルはしっかりラフィール氏の期待に応えます。
かなりのお年だろうに、バスに揺られ歩き回り、真実に近づいていきます。
その真実が、ラフィール氏の望むものであったか、そうでなかったかは…
ぜひ読んでみて下さい

ミス・マープルが英国庭園を巡って大活躍!
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怒りの 余談です
昨日NHKでやっていた『復讐の女神』はなんですのっ!
ミス・マープルの名を借りたまったく別の物語じゃないかあ?
アガサ・クリスティーは作品が映像化されるのを嫌っていたということですが
そりゃそうだろうよ…面白くなるならまだしも、あんな別物になっちゃうんじゃね。
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『シタフォードの秘密』雪がすべてを隠しても…

2010-03-25 23:46:43 | アガサ・クリスティ
THE SITTAFORD MYSTERY 
1931年 アガサ・クリスティ

学生の頃コックリさんって流行りましたねぇ。
懐疑的な私でしたが誘われるままに参加したことがあります。
「誰が動かすのかな?」などと思いながらやってましたけど。

冬になると雪で閉ざされてしまう数戸のコテージの住人が
退屈しのぎに始めたテーブル・ターニングで不気味なお告げがでます。
コテージの持ち主でふもとの町に住むトリヴィリアン大佐が殺されたというのです。
心配になった友人のバーナビ少佐は、皆が止めるのも聞かずふもとまで出かけて行き
変わり果てた大佐を発見しました。

さてさて怪しいのは…
この物語、怪しい人が目白押しで書ききれないんだけど簡単にあげてみると
まずコテージの住民たちがいるでしょ、ざっと6人、みな何か事情を抱えていそうです。
それから大佐の下男、一番チャンスがあった人。
そして大佐の親戚、遺産という動機があります。

結局犯人として逮捕されたのは、甥のジェイムズ・ピアソンでした。
大佐が殺される前に訪ねて来たことが判明したのです。
しかし彼は容疑を否定します。

ジェイムズの婚約者エミリーと、別件で村に来ていた新聞記者チャールズの二人が
真相を突きとめるべくコテージにやってきました。

話しを聞けば聞くほど誰もが怪しいというのはいつもの通りです。

ヒントは… コテージは冬になると雪に閉ざされる…
雪深い地方だということが最大のポイントなんです。

動機はたいしたものじゃありません。
すごく身勝手な理由なのですが、途中でチラッと見え隠れします。
目を皿のようにして読んで下さいね。

あとはねぇ、エミリーとチャールズのラブロマンスがちらりほらりと…
婚約者よりお似合いなんですもの。
ドラマならこちらの方がクローズアップされたりするのでしょうね。
さて、事件が解決した時ふたりは…?

推理と、二人の恋のゆくえも気になる一冊
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余談です
NHKでミス・マープルシリーズやってましたけれども
『ゼロ時間へ』『無実はさいなむ』もミス・マープルは出てこないんだけどな…
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『スタイルズ荘の怪事件』名コンビ、出会いの一冊

2010-03-05 01:37:48 | アガサ・クリスティ
THE MYSTERIOUS AFFAIR AT STYLES 
1920年 アガサ・クリスティ

ご存知、探偵ポアロ初登場の物語です。
ポアロとヘイスティングズのよそよそしさが微笑ましい

推理小説を書くにあたって、クリスティは強烈な印象の探偵が必要だと
感じていたのでしょうか?
『おしどり探偵』を読むと、個性的な過去の探偵たちが数多く登場します。

そんな探偵たちに負けないパーソナリティー、それがベルギー人の小男で
つるんとした顔に立派なひげをたくわえたポアロという探偵を生み出したのかしら?

ちなみに、よくポアロものに登場するオリヴァ夫人が書いている推理小説の探偵は
のっぽのフィンランド人だったりします

事件がおきたのは、ジョン・カヴェンディッシュの邸宅スタイルズ荘。
ジョンの義理の母エミリが夜中に急死しました。 毒殺です。

最初っから怪しい人は分かってるのね。
エミリの3度目の夫アルフレッド・イングルソープで、エミリより20歳も若い。
しかも遺産がガッポリ入る人です。

長年エミリに仕えていたコンパニオンのエヴィは
アルフレッドが犯人だと公言してはばかりません。

ところが、エミリが死んだ日、アルフレッドは一晩中不在でした。
それにジョンだって、ジョンの弟ローレンスだって怪しい。
ジョンの妻メリィもとらえどころがないし
メリィがやけに親しいバウエルスタイン博士は毒物学者、
エミリが保護者になっている若い娘シンシアは薬剤師です。

たまたまジョンに招かれていたヘイスティングスは
ベルギーから避難してきていたポアロにバッタリ出会い彼に捜査を依頼します。

ポアロはまだ私立探偵ではなかったのですが
ベルギー警察で培った捜査力を発揮して真相を探っていきます。

アルフレッドのアリバイは嘘で、結局逮捕されてしまいます。
一件落着ね!と思いましたよ。
しかし、ポアロは彼の本当のアリバイを証明して釈放させてあげます。
果たしてポアロが睨んだ真犯人とは?

クリスティはよく薬のトリックを使いますけれど
専門的な知識がないと、ラストで「お!そうか」とは思えないのよねぇ
それから「オイオイ、いきなりの手紙?」みたいな謎解きはちょっとアンフェアな気もするが
登場人物の証言ごとに展開があって、エンディングが待ちきれない面白さでした。

今後のポアロの活躍を期待させるには十分な一冊ではないでしょうか?
この作品は、出版までに何社か断わられたということですが
たぶん断った編集者は後悔したことでしょう。

完成度ハイレベルのデビュー作
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『青列車の秘密』貴重品は置いて行こう

2010-03-04 01:33:47 | アガサ・クリスティ
THE MYSTERY OF THE BLUE TRAIN 
1928年 アガサ・クリスティ

ブルートレインのままでいいじゃないの、訳さなくても。
ということはおいといて…

面白かったんですけど「あー、この人が犯人だったらいいなぁ」という人が
犯人じゃなかったのよね。
いきなりの大ヒントですが、人の好みはそれぞれなのでね…

ロンドンからニースへ向かうブルートレインの中で
大富豪の娘ルスが殺され、ものすごく高価なルビーが奪われました。
持ってくな!っていうのに聞かないんですもの。

懐かしのコンパートメント車輛ならではの事件ですね。
風情はあるけど危ないね

最初から怪しい人グループと怪しくないグループがはっきり分かれています。
で、怪しくないグループはなぜ必要かというと
事件以外にも恋愛模様が描かれているんですよね、いつも以上に…

おおいに怪しい&やや怪しい人の名をあげると
借金三昧でルスから離婚をされる寸前の夫デリクと愛人ミレール。
ルスのむかしの恋人で最近また会っていた遊び人のアルマン。
名高い骨董商で、盗まれたルビーと関係がある様子のパポポラス。
常に側にいた小間使いのアダ・メイスンも入れとくね。

次にラブストーリー要員は
遺産をもらって初めての旅に出たキャザリン・グレイ。
金に目がないキャザリンの従姉タムリン夫人と生意気な娘のレノックス。
ルスの父親アルディンの秘書でそつがなく朴訥なナイトン少佐がいます。

デリクとアルマンが怪しい!で押しまくっていた序盤が過ぎたあたりから
デリクとキャザリン、キャザリンとナイトンの恋愛模様が複雑になっていき
ポアロは淡々と捜査を続行…
それが見事に融合していくうちに、だんだん怪しい人と怪しくない人が
区別できなくなってきますよ。
え、あいつも? あら、こいつも? 状態で、やっぱりクリスティ・ワールド。

このお話は早川文庫の『教会で死んだ男』という短篇集に収められている
『プリマス行き急行列車』とほぼ同じ内容です。
そちらを読んでいたら犯人の目星はすぐついてしまうでしょうけれど
解決するまでの紆余曲折が何倍にも、そりゃあもうしつこいほどに増えているので
面白さは変わらないと思いますよ。

怪しい人が入り乱れる The 推理小説
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『魔術の殺人』ミス・マープル、幼なじみの依頼を受ける

2010-02-28 01:05:09 | アガサ・クリスティ
THEY DO IT WITH MIRRORS 
1952年 アガサ・クリスティ

毎度思うけれども、なぜ誰もがミス・マープルには打ち明け話をしたくなるのかしら?
やはり物腰の優しそうなたたずまいからでしょうか?
それともすぐに忘れちゃうだろうとか思って…

とにかく、いつにも増して登場人物が多い物語で、家族関係も複雑ですから
途中で ? とならないようご注意下さい。
家系図なんか書きながら読むと分かりやすいと思います。

ミス・マープルは幼なじみのルースに頼まれて、彼女の妹キャリィを訪ねます。
キャリイは昔から夢見がちで、熱い理想を持った男性に弱かったのね。
その時も夫ルイスが運営している少年更生施設をサポートしていました。

キャリイは3度結婚していて、屋敷には前の夫の連れ子や
2度の結婚でできた子供と孫が一緒に暮らしています。
大家族で和気あいあいかと思いきや…
ミス・マープルの見るところ、なんかギクシャクしてますよ。

キャリイと最初の夫との娘ミルドレッドは不器量な未亡人で、拗ねているみたい。

キャリイの養女の娘ジーナはとても綺麗な娘ですが、夫とうまくいっていない様子。
ジーナの夫は家族に馴染めなくて陰気になっています。

キャリイのふたり目の夫の連れ子アレックスとスティーヴンはジーナが好きらしい…
特にスティーヴンはかなりまいっているみたいです。

それから一緒に暮らしている更生施設の医師や少年がいます。
中でもエドガーという少年は、自分を重要人物だと思っているようで
一家の住人たちから見下されるのが我慢できません。

そんな中、キャリイの最初の夫の連れ子で、更生施設の理事もしているクリスチャンが
いきなり訪ねて来たかと思ったら書斎で殺されてしまいました。

ちょうどその頃、エドガーがルイスと書斎に立てこもり、中からピストルの音が…
皆は隣の居間で息をのんでいました。

その後キャリィに送られてきたチョコレートが毒入りだとわかり
講堂でアレックスとひとりの少年が落ちてきた鐘の下敷きになって死亡します。

いったい誰が狙いなのかはっきりしませんね?

よくあるトリックで、犯人は早めに判っちゃうと思いますよ。
でもそこに行きつくまでの人間模様を読んでいるだけで楽しめます

それから、犯行後の犯人の偽装工作が手が込んでいるんですよ。
犯人にとってクリスチャンを殺すことは短時間の判断だったと思うのですが
居合わせたミス・マープルまでまんまと利用されています。

でも、ミス・マープルが利用されたまま終わるもんですか!
あることに気がついたミス・マープルはずんずん真相に迫りますよ。
それは “ キャリィがただの夢見る奥さまじゃない ” ってことなんだけどね…

それにしても「なんか心配だから」と、事件が起こる前にミス・マープルを送り込んだ
ルースの勘もスゴい
やっぱり経験を積んだ女性の目は誤摩化されないものなのよ。

ミス・マープルの本領発揮!
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『黄色いアイリス』類似品でも気にしない

2010-02-14 23:39:21 | アガサ・クリスティ
THE REGATTA MYSTERY 
1939年 アガサ・クリスティ

主にクリスティの人気キャラクターが登場する9篇が収められた一冊です。
こうやって短篇で一気に読むと、探偵たちにはそれぞれ似合う事件があるんだな、と
実感できますね。
もちろん、どんな事件だって解いてしまうのでしょうけど
ミス・マープルがスパイ組織に潜入したり、ポアロがばあ様たちと井戸端会議なんて
ピンとこないもの。

他の作家にも言えますが、短篇と長・中篇で同じテーマを扱った作品てありますよね。
推理小説だと「あれ?犯人知ってるけど… 」ってことになりますが
そこはさすがのアガサ・クリスティ、ちょっと細工がしてあります。

そんな3篇をご紹介。

『バグダッド大櫃の謎(The Mystery of the Bagdad Chest)』
ポアロはある夜会で話題の殺人事件の被害者の妻ミセス・クレイトンに会いました。
彼女の夫は友人リッチ少佐の家の櫃の中で死んでいたのです。
しかし前夜少佐の家ではパーティーがあって、ミセス・クレイトンも訪ねていました。
彼女の夫は急用で来れなくなったはずだったのに…

この物語は『スペイン櫃の秘密』という題名で他の短篇集に収められています。
邦題が違っているだけだと思うでしょ? ま、そう言っても過言ではない…
でも相方はヘイスティングズからミス・レモンに代わってるし、少し長くなってます。

『黄色いアイリス(Yellow Iris)』
ポアロは切羽詰まった女性の電話でレストラン“白鳥の園”に呼び出され
目印と言われた黄色いアイリスの花瓶があるテーブルで知人を見つけます。
ポアロは皆のことを注意して見ますが、なんだか楽しそうな晩餐です。
主催者のラッセル氏がいきなり「自殺した妻のために乾杯を」と言いだしました。

こちらは『忘れられぬ死』とだいたい同じようなあらすじなんですけど
今長篇の細かいところが思い出せない…
かなり長くなっていますので別物に仕上がっている可能性がありますね。

『二度目のゴング(The Second Gong)』
晩餐の時間にとてもうるさいリッチャム・クローズ荘の滞在客は
誰もが食事の合図である二度目のゴングに遅れないように必死です。
しかしある晩、ゴングが鳴っても張本人のロシェ氏が現れません。
うろたえた客たちが書斎を開けると、ロシェ氏がピストルを握って死んでいました。

こちらは『死人の鏡』という長めの短篇と同じような内容で
食事時間にうるさい館の主人、書斎の死体、ピストルなんてところは同じです。
でもね、登場人物が微妙に違ってるので、結末も自ずと違ってまいります。
どちらかというと『死人の鏡』の方が好きかしら…

ネタ切れなんて言わないで下さいね。
同じような話しで始めてラストを変えて行く方が、もしかしたら
一から作るより難しいかもしれないですよ。
ほぼ同じ内容でも、もう一度読んでもらえるように工夫してたみたいです。
だから読んじゃいました

オールスター勢揃い!
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『ポケットにライ麦を』イギリス的手まり唄事件

2009-11-29 01:07:52 | アガサ・クリスティ
A POCKET FULL OF RYE 
1953年 アガサ・クリスティ

ミス・マープルお得意の『マザーグース』の唄にのせた殺人。
日本でいうところの『悪魔の手まり唄』みたいな感じでしょうか?

ロンドンの会社社長が殺された事件なのになぜミス・マープルが登場するかというと
殺されたフォーテスキューの家で小間使いをしていたのが
ミス・マープルが仕込んだグラッディスだったから。

グラッディスは不器量でのろまで男のことばっかり考えている女性でしたけど
ミス・マープルは彼女の純粋さと正直さは気に入っていて
この事件が気になっていたのです。

しかも、犯人と有力視されていた若い後妻のアディールも毒殺され
とうとうグラッディスまで庭で絞殺されてしまいます。
怒りに燃えたミス・マープルはフルスロットルで事件に挑みます。

ミス・マープルが目を付けたのは
フォーテスキューのポケットに入っていた謎のライ麦、
アディールが居間でお茶の時間に死んだこと、
それでマザー・グースの唄を思い出したのです。

そしてグラッディスの鼻が洗濯バサミではさまれていたのが決定的!
ミス・マープルは “ つぐみ “ についても何かあるはずだと思い当たります。

怪しい人は(主に家族です、おきまりの)たくさん出てくるので省くとして
捜査にあたったニール警部がミス・マープルのお説を聞いて
「はあ? 」と思っていたところからだんだん彼女に感服していく様子が
毎度のことながら愉快でしたね。

ヒントは作中にもふんだんに顔を出す “ つぐみ ” です。
実はフォーテスキューは昔 “ つぐみ鉱山 ” で悪事を働いたようなのですが
それが恨みをかったのか? はたまた利用されたのか?

読み進めば進むほど
誰もが怪しく思えてくるクリスティー・ワールドが繰り広げられる一冊です。

最後がホロリときますよ。
グラッディスこそ一番の被害者です。
心ない犯人のせいで短い一生を終えさせられたのですからね。

ミス・マープルの怒り大爆発!
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『おしどり探偵』モデルが分かりませんで・・・

2009-11-22 22:50:09 | アガサ・クリスティ
PARTNERS IN CRIME 
1929年 アガサ・クリスティ

容姿端麗で頭脳明晰で好奇心おう盛なトミー&タペンスの夫婦。
かなりお似合いのおふたりだとお見受けしますが
読書の趣味まで一緒とは心の底から羨ましい…
うちなんか読書どころか何もかもバラバラよ。

諜報機関から依頼されて引き継いだ国際探偵事務所を舞台にして
夫婦がいろいろな探偵コンビになりきって解き明かした事件の数々。
推理小説に疎い私はホームズ&ワトソンと、ポアロ&ヘイステュングズしか
分からなかったんですけれども…
クリスティは同業者の本もよく読んでいたんですね。

『お茶でも一杯(A Pot of Tea)』
ふたりの記念すべき初事件は、ロオレンスという青年から依頼された
帽子屋の女店員探しでした。
彼女が見つかったら、ロオレンスは結婚を申し込むつもりです。
タペンスは24時間以内の発見を約束して事件を引き受けます。

『婦人失踪事件(The Case of The Missing Lady)』
北極から帰って来たばかりのスタヴァンソンから、姿を消した婚約者捜しを依頼されます。
ホームズ&ワトソンになりきったふたりは、彼女の電報の発送元らしき町を訪ねて
怪しい医師の家に彼女がいると確信しました。

『鉄壁のアリバイ(The Unbreakable Alibi)
ジョウンズという男性がやって来て、ある女性と結婚したいといいました。
しかし、相手のミス・ローナとの賭けに勝たねばなりません。
ローナの条件は彼女のアリバイを証明しろというもの。
問題の日、彼女はロンドンで友人と夕食を食べていました。
一方もうひとりの彼女はトーキーのホテルに泊まっていたというのです。

以上、ユーモアがきいた3篇をあげてみます。
事件というよりはお遊びみたいなものです。
特に『鉄壁のアリバイ』なんて、本当の推理小説ファンが読んだら怒るかもね。

ふたりは事件の性質に合わせて、いろいろな探偵コンビに挑戦しましたよ。
ソーンダイク&ボルトン、オークウッド兄弟、マッカーティとデニィ
ブラウン神父、フレンチ警部などなど…

事件の内容より、モデルになった名探偵をいかに踏襲して謎を解くか?を
楽しんだ方がいいかもしれません。
恥ずかしながらわたくしには分かりませんでしたが…

若い夫婦が探偵社で大活躍!
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『無実はさいなむ』“ 作られた家庭 ” の悲劇

2009-11-22 00:13:16 | アガサ・クリスティ
ORDEAL BY INNOCENCE 
1958年 アガサ・クリスティ

キャルガリは2年ぶりに帰国した地質学者で
出発前のある日、ひとりの男性を車に乗せたことを思い出して家族に告げに行きます。
なぜならその男性は殺人犯になっていて、キャルガリは彼のアリバイを証明できる
唯一の人物だったからです。

彼にしてみれば良かれと思ってやったことで
感謝されこそすれ疎まれるとは思っていなかったのに… という物語です。

殺人犯になったジャッコは獄中で死亡していました。
殺されたのはジャッコの母レイチェルで、殺人現場は彼女の自室でした。
外部の犯人の可能性は皆無で、夫リオ・アージル、兄弟姉妹たち
家政婦のカースティンが、疑いの目を向けられていました。

家族は皆、もともと悪人だったジャッコが犯人で一段落、という思いだったのです。

アージル家にはジャッコを含め5人の兄弟姉妹がいるのですが、実は皆養子です。
夫に一途なメアリ、自分を捨てた母を慕うマイケル、夢と恋に破れたへスター
とらえどころのないティナ… みな一癖あります。

レイチェルは慈善精神に富んだ女性で可哀想な子供たちを次々引き取っていたのですが
子供たちはやはり生まれ育った家が恋しく、強引な養母を恨んでいた子供もいます。
パワフルな妻に押されていたリオは、近々秘書のグゥエンダと結婚する予定です。
恋に破れたへスターだってドナルドという医者と婚約できました。

再び残った家族たちに疑いがかかるのは迷惑この上ないことですね。
案の定誰もが怪しいんだしねぇ…

この物語、シリーズの名探偵たちは登場しません。
3人の人物が事件の真相を解こうとします。

まずはキャルガリ、彼は自分のせいでジャッコを有罪にしてしまったという
後悔の念から事件の真相を探ろうとします。

それからフィル・デュラント、彼は養女メアリーの夫ですが、体が不自由で
悶々とした思いを真犯人を探ることで発散させようとかぎ回ります。

そしてヒュイッシ、彼は事件にあたった優秀な捜査官です。
面目をかけて真犯人を探し出そうと再捜査にあたります。

かように三方向から捜査をしているものだから、読んでいてちょっとややこしいのよね
果たして誰の捜査が的をえているんでしょうか?

そんなことをしているうちにフィルが殺されちゃうので
たぶんフィルが一番真実に近づいていたのでしょう。
そして、あることに気がついたティナまで刺されてしまうし…

結末は… ビックリしますよ!
それはちょっとどうですか? という無理矢理な展開…でも、無いとは言えないかなぁ?
ある意味ハッピーなエンディングかもしれないのですけれどもね。
これ以上は言えませんな

無名の探偵たちが事件を解決!
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『第三の女』時代はビートルズ旋風の頃!

2009-10-27 01:41:53 | アガサ・クリスティ
THIRD GIRL 
1966年 アガサ・クリスティ

突然若い女性がやってきて「人を殺したかもしれない」と言いだす… 困りますね。
引き止めて通報すべきか、冗談だと思って聞き流すか。

ポアロは「なんのこっちゃ?」と思って
彼を訪ねて来た若い女性ノーマ・レスタリックを帰らせてしまったのですが
後々彼女が嘘をついていたのではないと思い直しました。
しかし彼女はすでに行方不明になっている… さあ、ポアロはどうする?

ポアロはノーマのアパートで起こった女性の転落死に注目します。
自殺か事故とされた女性の死でしたが、ポアロは見逃しませんよ!

ノーマのルームメイトのフランシスは、ノーマが麻薬や薬をやっていて
幻覚を見ることがあると言いました。

ノーマの父、大富豪のアンドリュウは娘が行方不明だというのに
決して警察に頼もうとはしないでポアロに一任しました。

事件の鍵を握ると思われていたデイヴィッドもノーマの部屋で死んでいて
その傍らにはノーマが立っていました。

この物語では、度々ポアロの小説に登場する推理作家オリヴァ夫人が活躍します。
彼女はいつも事件に関係する人たちに人脈があって、向こう見ずに活動的で
勝手な推理がたまに役立つという、相棒にはもってこいのタイプ。
オリヴァ夫人も殴られたりしてひどい目に遭うのですが
彼女がいなかったらこの事件は解決しなかったかもしれません。

クリスティの小説に登場する人物の背景に多いのが植民地帰りなのですが
確かに何十年も海外にいて戻って来た人を見分けるのは難しいですね?
写真やムービーをメールで送れるわけじゃないし
頼りになるのは昔の記憶と不鮮明な写真のみ。
そう言われればそうかもね、というあいまいな確認で終わってしまう。
… というのがヒントです。 今なら成立しないでしょうね。

ところで、この物語は1966年に書かれています。
ビートニクとかビートルズなんて言葉がでてきちゃって
初期クリスティを読み付けている者はハッとさせられます。

クリスティが小説を書き始めた1920年代は遠い昔…
あたしゃ、やっぱり初期の方が雰囲気があって好きですねぇ。

でも、いくつになってもアンテナをはって新しい風潮を吸収しようという
クリスティの知識欲には頭が下がります。

やけに現代風になっちゃってビックリ
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『リスタデール卿の謎』新たな一面を見せるクリスティ

2009-10-26 00:56:32 | アガサ・クリスティ
THE LISTERDALE MYSTERY 
1934年 アガサ・クリスティ

“ チャンチャン ” ていうエンディングが多いバラエティに富んだ一冊です。
収載されているのは12篇の短篇。
小さなアドベンチャーとミステリーがちりばめられています。

『リスタデール卿の謎(The Listerdale Mystery)』
金詰まりになったヴィンセント夫人親子が格安で提供された美しい邸宅。
持ち主はリスタデール卿という謎に満ちた人物です。
息子ルパートは何か裏があると睨み探りをいれます。

この物語は、雰囲気は嫌いじゃないのだが内容はあまり好きじゃないですね。
貴族は貴族らしく暮らしてほしいという思いが詰まっているのですけど
食べたきゃ働きなよ! と言いたいですね。
特に娘と息子、アルバイトぐらいしたらどう?

『ナイチンゲール荘(Philomel Cottage)』
遺産を手に入れてジェラルド・マーティンと結婚したアリクスは
ふとしたことから夫の過去が殺人鬼だということを知りました。
逃げ出そうとしたアリクスですが夫が何食わぬ顔で帰って来ます。
アリクスは以前ロマンスがあったディックに助けを求めようと試みます。

これは面白いですよ。
短い物語ですが、緊張感あふれるサスペンスの要素が凝縮されています。
現代では携帯電話があるから難しいことかもしれませんが
アリクスの機転がすばらしい! 私には無理だわ、と思いました。

『白鳥の歌(Swan Song)』
大富豪の田舎の城で公演を依頼されたオペラ歌手ポーラは『トスカ』ならと
条件を出して出演を承諾しました。
急遽相手役に選ばれたブレオンは、開演前に、遠い昔に裏切ったオペラ歌手の
思い出を語りました。

結末はみえているのですが、ドラマティックなので選びました。
主人公ポーラの大物然とした姿が超然としていてクールです。
腰の低い二流タレントよりは傲慢な天才の方が見ていて美しい気がします。
傲慢な二流タレントは… いてもいなくてもどうでもいいや。

ポアロやミス・マープルで名声を得たクリスティが
新しい方向性を模索しているようにも見えます。
でも、やっぱり名探偵シリーズの方が好きかなぁ…
キャラクターがはっきりしているだけに、ストーリー以外の楽しみがあるもの。

火サスや土ワイがシリーズ化されるのもむべなるかな、なんて思います。
家政婦やママチャリや温泉若女将なんて、よく考えたら笑っちゃうけどね

名探偵は登場しませんが、一話一話楽しめる一冊です
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『謎のクィン氏』愛のパズルを解く

2009-10-23 01:23:35 | アガサ・クリスティ
THE MYSTERIOUS Mr.QUIN 
1930年 アガサ・クリスティ

ちょっと幻想的な愛の謎解き短篇集です。

主人公は密かにスノッブで社交好き、偉大なる傍観者サタースウェイト氏で
愛が絡む物語が始まりそうになるとなぜか現れるハーリ・クィン氏の力を借りて
解決へと導いていきます。

『ルーレット係の魂(The Soul of the Croupiet)』
モンテカルロで若い男と歩くザーノヴァ伯夫人を見かけたサタースウェイトは
彼女がどこか必死だということに気がつきました。
ある夜、ルーレットで夫人の隣に座ったサタースウェイトは
自分の勝ち分をザーノヴァ夫人に横取りされそうになれます。
ところがルーレット係は夫人に金を押しやります。

踏みつけられた男の一途な愛のお話。
ただルーレット係とザーノヴァ伯夫人がうまくいくとは、どうしても思えんのだが…

『闇の声(The Voice in the Dark)』
ストランリー夫人から娘のマージョリーを押し付けられてしまったサタースウェイト。
マージョリーは幽霊の声が聞こえると言っています。
その声は「盗んだものを返せ」というものでした。
マージョリーを説き伏せて降霊会を開いたサタースウェイトは
船の事故で死んだストランリー夫人の姉の声を聞きます。

これは『予告殺人』と同じパターンですね。
ストランリー夫人は、あまり登場しないわりにかなり重要人物なのよね。
暗い過去を引きずっているようにも見えないんだけどな。

『世界の果て(The World's End)』
侯爵夫人と訪れたコルシカで、無愛想な女性ネイオーマイと知り合いました。
一緒にドライブに出かけたサタースウェイトですが彼女の言動が気がかりです。
丘の頂上の小屋で知り合った女優のロジーナが盗まれたオパールの話しを始めましたが
実は犯人として逮捕されたのはネイオーマイの恋人だったのです。

解決するというよりは、そこつ者ロジーナがしまい忘れたオパールが
見つかったことですべてが丸くおさまります。
じゃあなぜ今さら見つかったのかというと、偶然が偶然を呼んだんですね。
これもクィン氏のパワーでしょうか?

ハーレクイン・ロマンスって、もしかしてハーリ・クィンが由来になってるの?
本当のハーリクインがどんなだか詳しい事は知らんのだが昔話?
とりあえず愛がテーマだからピッタリね
ハーレクイン・ロマンスは残念ながら読んだことないのですが…

美しく不思議な愛の物語の数々
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『鏡は横にひび割れて』リズの姿に涙 ゜(´□`。)°゜。

2009-10-14 01:04:06 | アガサ・クリスティ
THE MIRROR CRACKD FROM SIDE TO SIDE 
1962年 アガサ・クリスティ

私は若い頃のエリザベス・テイラーが大好きなんですよね。
ヘップバーン、バルドー、グレース・ケリーみたいに
女性誌に持ち上げられることはないけど、本当に作り物みたいに綺麗だった。

それなのに、ああ、それなのに…
マイケルの埋葬式といい、フレディ・マーキュリー・トリビュートといい
ショッキング映像!!

そしてショッキングなリズの兆しが見えたのが
彼女が主演した『クリスタル殺人事件』で、この物語が原作になっております。

せりふで「お肉よ、お肉飛んで行け~」って言ったり、共演者に牛よばわりされたり
泣きそうになっちゃったわよ!

内容を簡単に説明すると、ミス・マープルの友人バントリー夫人の館を買った
女優のマリーナ・グレッグが恒例の村の催しを開くのですが
その席で幹事のミセス・バドコックが急死します。

グラスに毒が入っていたようですが、グラスはもともとマリーナのものでした。
マリーナは実は脅迫を受けていたと打ち明けました。

カクテルを作った夫ジェースン、ジェースンに恋する秘書のエラ
マリーナのライバル女優のローラ・ブルースター、
はたまた以前マリーナと結婚していたバドコック氏やら
バドコック氏と親しいベイン夫人、マリーナが捨てた養子たちと
怪しい人物には事欠かきません。(映画より大人数よ)

けれどもミス・マープルが注目したのは、ミセス・バドコックと会話していた
マリーナの表情が一瞬凍り付いたという証言でした。

その後、マリーナのカップにヒ素が入れられ、エラが鼻の薬で急死し
執事のジョゼッぺが射殺されるというとんでもない連続殺人事件へ。
いったい誰の仕業でしょうね? 何が目的なのかしら?

ヒントはね、まるで実生活のリズさながらに
マリーナが何度も結婚を繰り返したってことなのです。
不幸なこともありました。 特に子供に関しては。

事件は「いったいどこからそんな話しをもってきたんだよぉ」という
動機が見つかり解決します。
よーく読んでみると確かに書かれているんですけどね。

なんだかリズの姿が思い出されて投げやりになってしまった
お話は面白かったんだけどもね。

映像もいいけど、活字はより心理劇が楽しめます
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