竹は伸びた。どんどん伸びた。
雪の重みにうなだれ、春の風に揺られ
夏の光に焦がされ、秋の雨に打たれ・・・。
けれど
誇らしげに雪を跳ね返し、大風には支え合って
月の光に癒され、雨上がりの青空にときめきながら・・・。
ある日
竹はふと見下ろすと、あまりの高さにびっくりした。
かつて遊んでいた草たちは
大声で呼んでも聞こえないくらい遠くなり
かつて遥か見上げていた鳥たちは
すぐそばをかすめて行った。
急に恐ろしくなって周りを見ると
仲間たちはいつものようにそよいでいた。
ゆらん、ゆらん
メトロノームの振り子のように・・・。
思い起こせば、いつも仲間がそばにいた。
竹は安心して一緒にそよいだ。
ゆらん、ゆらん
宇宙のリズムを刻む
メトロノームの振り子のように・・・。
ゆらん、ゆらん、ゆらん、ゆらん・・・。
オクラ〈アオイ科〉
copyright Maoko Nakamura