今、ここで(Now ,here) by 中村真生子

自分探詩(じぶんさがし)& 山陰柴犬かれんとの日々

野ぶどう

2015-07-31 09:27:37 | 自然・植物
公園のフェンスに
エメラルド色の野ぶどうの実。

小さな蔓をグルグル巻きにし
しっかりフェンスに絡みつく。

フェンスを超えて
エメラルド色の野ぶどうの実。

大きな蔓を空に向けて伸ばし
ゆったり光を受け止める。

やがて
エメラルド色が
アメジスト色に変わるころ
辺りはすっかり秋の気配。
そこに
夏の思い出のように揺らめく
野ぶどうの実。


野ぶどう〈ぶどう科〉

すやすや

2015-07-30 08:46:42 | 「かれん」
小屋ではなく
ミモザの木陰で
すやすや。

散歩から帰るとまた
すやすや。

ご飯を食べると
すやすや。

時々
耳をピンと立てて
むくっと首を上げ
それからまた
すやすや。

時々
後ろ足でポリポリ
お腹や頭をかいて
それからまた
すやすや。

あれ
ミモザの下にも
小屋にもいないと思ったら

今後は小屋の下で
すやすや。

あらあら
今度は穴を掘って
穴の中で
すやすや。


鳥を見上げる「かれん

とある人生

2015-07-29 09:34:15 | 気持ち
違うものを引いていく。
たとえそれが
同じもののように見えても。

同じものは残しておく。
たとえそれが
違うもののように見えても。

そうして
違うものを引いていき
そうして
同じものを足していく。

辛くともしっかりと。
悲しくともきっぱりと。
できるだけ
善い気持ちでさっぱりと。

間違えたらやり直し。
何度でもやり直し。
生きている限りはやり直し。

やがて
自分の出来上がり。
一生かけた
自分の出来上がり。

楽しいかな。
嬉しいかな。


朝の葉っぱ

刹那

2015-07-28 08:53:25 | 気持ち
「待って~」と叫びながら
海岸へと走る。

その間に
刻々と日は沈む。

息を切らしながら
やっと海岸にたどり着く。

その間に
刻々と日は沈む。

シャッターを切る間に
吸い込まれるように
半島の向こう側へ。

夕日は思い出させてくれる
こうして刻々と
時が刻まれていることを。

人はそこに刹那を感じ
切なくなるのだろう。

「待って~」と叫んでも
もう呼び戻すことは叶わない。


島根半島に沈む夕日

みきとわたし

2015-07-26 15:30:33 | 「かれん」
山のように立ちはだかるそれを
きみはどうやって乗り越えるのだろう。

きみにもそれはわからない。

川のように立ちはだかるそれを
わたしはどうやって渡り切るのだろう。

わたしにもそれはわからない。

でも、きっときみは乗り越える。
自分の力で。
でも、きっとわたしは渡り切る。
自分の力で。

もう逃げないと決めた時
きみとわたしで
痛みを分かち合いながら。

山のように立ちはだかるそれを
きみはきっと乗り越える。

川のように立ちはだかるそれを
わたしはきっと渡り切る。

きみとわたし。
心の手と手をつなぎながら。


大山と「かれん」

ハートの形

2015-07-24 10:09:10 | 気持ち
ハートの形はね
肩より添い合う二人。

ハートの形はね
頬より添い合う二人。

ハートの形はね
心より添い合う二人。

ほうらあそこ。
片方は大きく
もう片方は小さいけれど
二人を包む
ハートの形。

ほうらここにも。
二人のハートから生まれた
ハートが飛んできた。

ほうらそこにも。


日の出前の皆生海岸

応援吹雪

2015-07-20 09:26:08 | 気持ち
心のなかから
応援吹雪を取り出して
選手たちに降り注ぐ。
惜しみなく。
幾ら使っても
少しも減ることはないのだから。

選手たちがやってくるたびに
降り注がれる
みんなの応援吹雪。

選手たちの
笑顔やお礼の言葉で
紙吹雪は七色に染まる。

気が付けば
応援吹雪の虹の中。


車窓から景色を楽しむ「かれん」

隙間だらけの言葉

2015-07-19 18:37:22 | 「かれん」
言葉は隙間だらけ。
言葉は氷山の一角だから。
その下の部分に鎮座する
大きな想いの一角だから。

だから
どんなに言葉をつないでも
氷山の一角である以上
隙間だらけになってしまう。

その一角を結びながら
文章を作っていく。

時々冷たい海に落ちながら
また這い上がって
また落ちて。

風邪をひいて
くしゃみをしたり
鼻水をすすりながら。

時々温かい日差しを受けて
また励まされ
また気を取り直し。

病が癒えて
力が奥底から
湧いてくるのを感じながら。

言葉は隙間だらけ。
言葉は氷山の一角だから。
その下の部分に鎮座する
大きな想いの一角だから。

だから
その言葉を
それをぞれの想いに置き換えて
人は詩や小説なるもののを
自分の想いで愉しむのだ。


今日の夜明け(大山と日野川)


風の調べ

2015-07-18 09:10:24 | 
肉体から放たれた心は
ヴァイオリンから
放たれた音と重なり旅をする。
時にはゆっくり
時には速く。
けれど離れることはなく。

瞬間と永遠のはざまを
美しい旋律を描きながら。

さらに素晴らしいのは
独り旅でないことだ。

あなたが奏でいるのは
風の調べ。

だからみんなやすやすと
あなたに心を預け
旅に出てしまうのだ。

果てしない荒野でも
深い森の奥でも
あの風なれば
みなとともになればと
心安らかに。


木槿〈アオイ科〉

永久(とこしえ)

2015-07-17 14:40:03 | 映画・音楽
苦しみはどこからうまれるのでしょう
遠い空の彼方から?
なればそれを撃ちましょう
けれどそうではありません
立ち止まろう 鳥の声聴くために
あふれる想いよ あなたのもとへ
苦しみ拭う 風となり

悲しみはどこから生まれるのでしょう
深い海の岩場から?
ならばそれを捕えましょう
けれどそうではありません
ひざまずこう 花の匂いかぐために
あふれる想いよ あなたのもとへ
悲しみ癒す 雨となり

忘れないで 気づくこと 今ここで
思い出して 気づくこと 今ここで
鳥が歌ってる あなたのそばで

喜びはどこから生まれるのでしょう
あなたと私の胸のうち
ならば祈り続けましょう
それは確かにそうだから
続けよう 永久(とこしえ)の祈りとするために
あふれる想いよ あなたのもとへ
喜び届ける 光となり

忘れないで 気づくこと 今ここで
思い出して 気づくこと 今ここで
花が咲いている あなたのそばで

喜びはどこから生まれるのでしょう
あなたと私の胸のうち
ならば祈り続けましょう
それは確かにそうだから
続けよう 永久(とこしえ)の祈りとするために
あふれる想いよ あなたのもとへ
喜び届ける 光となり


マルバヤナギ〈ヤナギ科〉(広島城)

あなたが咲くとき

2015-07-16 10:19:18 | 気持ち
笑うように
伸びをするように
手を差し伸べるように
話しかけるように
踊るように
花は咲く。

もうためらわないで
きっぱりと。

花は咲く
自分らしく美しく。


瑞々しい喜び
心にあふれるとき
きっとあなたも咲いている。

心のきれいなひだを
笑顔や握手や会話に替えて。

もうためらわないで
きっぱりと。

人は咲く
自分らしく美しく。


野アザミ〈キク科〉

賢治とムカデと犬と

2015-07-15 17:41:41 | 
今年、すでに2回も忍び込んできたムカデ。
1回目はリビングをのそのそ
2回目はトイレのコーナーにべとり。

忍び込んだムカデを前に
思い出すのは宮沢賢治。
『銀河鉄道の夜』で
サソリにすら懺悔させた賢治なら
部屋にムカデを見つけても
そっと逃がしてやっただろうかと。

あまり早く動けない
哀れなムカデを捕まえるとき
ちくりと刺されるのは
手でも足でもなくわが心。

賢治なら
そっと逃がしてやっただろうかと。

生き物すべてを
平等に愛そうとした賢治。
でも、苦手だった動物が一つ。
それは犬だった。
小学校に初めて行った日
道の途中で大きな犬に出会い
とても怖い思いをして以来という。

もしそんな思いをしていなかったら
賢治はきっと心底犬を愛し
面白い犬の話を書いたに違いない。


山陰柴犬「かれん」

夏椿

2015-07-12 14:41:08 | 
山間の湖上を
這うように枝を伸ばし
水面に姿を映す白い花。
夏椿。

この花はあなたなのですね。
昨年、ともにここに来た。

山からの風に
さざなみとともに
涼やかに揺れる白い花。
夏椿。

この花はあなたなのですね。
今は、懐かしく面影を胸に抱く。

この花はあなたなのですね。
だからこうして
ともにいるのですね。

山間の水面のうえに
今年もまた
こうしてともに。


日野川河口(鳥取県)