今、ここで(Now ,here) by 中村真生子

自分探詩(じぶんさがし)& 山陰柴犬かれんとの日々

梅雨の気配

2012-05-31 14:28:52 | バラ・ハーブ

梅の木を見上げれば

大粒の緑の実。

梅が実れば

梅雨も間近。

バラたちは

ドレスが濡れないうちにと

かしこで着飾り舞踏会。

風よ

今しばらく雨を連れ来るな。

どんなに田んぼのカエルが

雨乞いの歌を歌っても。

いまだ蕾の

スキャボロフェアーが

踊り終わるまで…。

Photo Photo_3

梅〈バラ科〉 バラ/バレリーナ〈バラ科)

copyright Maoko Nakamura


山の社と湖の鳥居

2012-05-30 23:14:50 | 歴史・神話

山道をうねうねと車で上がり

急な石段を歩いて登る。

拝殿のガラス戸を開けると

小さな鳥居があり

その向こうは山になっている。

この神社は

山そのものがご神体なのである。

古代の人は

神様は山の上に住んでいると

考えていたという。

そして死ぬと魂は

山の上の神のもとへ行くのだと。

一方、宍道湖には

南北にある

四つの山を結ぶ線上の湖底に

石の鳥居が沈んでいると伝えられている。

その昔

地上より高いところも低いところも

神の領域だったに違いない。

それは

きっと今も変わらない。

ただ私たちが忘れているだけで。

あるいは勘違いをしているだけで。

Photo

ユキノシタ〈ユキノシタ科〉

copyright Maoko Nakamura


都合山たたら跡

2012-05-27 10:54:45 | 歴史・神話

山道を登って下り

いよいよ山に分け入る。

前日の雨が染み込んだ

ふわふわの森を歩く。

パイプを連ねた細い橋を渡り

少し行くと

木々がまばらになった場所があった。

江戸から明治にかけて

全盛を誇った奥日野のたたらの一つ

都合山(つごうやま)たたら跡。

炉の跡、砂鉄の洗い場跡、

鍛冶場跡、金屋子神社跡…。

建物があった場所は

窪地としてのみ姿をとどめ

今はそれも

コケやシダのすみかとなっている。

説明や立札がなければ

きっと気遣いに違いない。

けれど

ひっそりとした森で

往時の活気とにぎわいを感じたのは

私だけでないに違にない。

Photo

シダとコケ

copyright Maoko Nakamura


山の社にて

2012-05-26 22:23:05 | 歴史・神話

二礼をして集中する。

柏手を二つ打つ。

「神様、私はここに居ます」と。

その音は山にこだまし、

神様の元に届けられる。

手を合わせたまま

お祈りをする。

「いつもありがとうございます」と。

大きなものと一つになる。

安らかな気持ちになって

一礼する。

たたらの里

奥日野の小さな社にて。

Photo

フタリシズカ〈センリョウ科〉

copyright Maoko Nakamura


花物語~巡る季節~

2012-05-24 10:12:32 | 自然・植物

「愛しているよ」と花は咲き

大地に、空に、風に、雨に

佇むものの心に

ありったけの笑顔で

物語を紡ぎ始める。

時に饒舌に

時に控えめに…。

その紡がれた物語を

私たちは季節と呼ぶ。

そして

「ありがとう」と花は散り

大地に、空に、風に、雨に

佇むものの心に

ありったけの気持ちで

物語を刻む。

時に賑やかに

時にひっそりと…。

その刻まれた物語を

私たちは四季と呼ぶ。

野イバラはいよいよ白く

傍らには咲き始めた紫露草。

心の大地には

夕暮れの園の満開の桜。

Photo Photo_2

野イバラ〈バラ科〉 紫露草〈ツユクサ科〉

copyright Maoko Nakamura


野の花

2012-05-23 09:53:33 | 自然・植物

何もお世話していないのに

そばを通れば

笑いかけてくれる野の花。

時には踏んだりしているのに

何でもないように

笑いかけてくれる野の花。

たくましくて優しい花

野の花。

きっと子どものころに

遊んだことを

覚えていてくれているのかもしれない。

バラも向日葵も

ましてクレマチスやクリスマスローズなど

知らなかったころ

花といえば

野の花だったから…。

Photo Photo_2

オオイヌノフグリ〈ゴマノハグサ科〉 コメツブツメクサ〈マメ科〉

copyright Maoko Nakamura


苺の旬

2012-05-22 10:03:28 | 食べ物

緑の葉陰に

紅いルビーのように輝く苺。

旬は冬でもなく

春先でもなくちょうど今。

緑の葉陰に

紅いルビーのように輝く苺。

降り注ぐ

紫外線の多い光を浴びて

それから体を守る

ビタミンCをたっぷり備え…。

緑の葉陰に

紅いルビーのように輝く苺。

洗って口に入れれば

体の中から光を放つ。

紅いルビーのごとく美しく…。

Photo

ワイルドストロベリー〈バラ科〉

copyright Maoko Nakamura


幸せな約束

2012-05-20 18:03:42 | 気持ち

昨日まで蕾だった

紫露草が

今日は咲いており

昨日まで咲いていた

クレマチスが

今日は散っていた。

「ありがとう、またね」。

花々の生と死の間に

幸せな約束が

こだまする。

Photo

庭石菖(ニワゼキショウ)〈アヤメ科〉

copyright Maoko Nakamura


栄誉あるもの

2012-05-19 07:52:47 | 気持ち

栄誉あるもの。

うまくいった時の平常心。

栄誉あるもの。

うまくいかなかった時の平常心。

きれいに咲いた花にも

虫にかじられた花にも

春の光が降り注ぐ。

たけなわの春の…。

Photo

アルメリア〈イソマツ科〉

copyright Maoko Nakamura


嵐と夏空

2012-05-18 13:32:15 | 自然・植物

-18℃の寒気が

空の機嫌を損ねさせ

空はゴロゴロと怒りながら

大粒の雨を降らせる。

ズボンの裾をびしょびしょにして

目的地にたどり着く。

しばらくすると

バリバリと大粒の雹。

雹に当たらなかっただけでも幸いか。

一夜明けて

夏のような天気。

夕べ怒った空はすっかり機嫌を取り戻し

夕べ怯えた草木は光の中で自らを癒す。

すっきりと気持ちを切り替えて…。

夕べ集団下校をした子どもたちが

スケッチブックを持って街を歩く。

頭上に広がる空の和解を

眼下に広がる草木の癒しを

心の深いところに刻みながら…。

Photo

トベラ〈トベラ科〉

copyright Maoko Nakamura


幼なじみ

2012-05-17 10:42:39 | 

久しぶりに会った

幼なじみが我が名を呼ぶ。

昔と変わらぬ呼び方で。

その声は

耳ではなくて体に響き

体に響いたその声は

血潮を巡りて

今と昔にこだまする。

夕まぐれ

どこからともなく聞こえてくる

寺の鐘のように…。

幼なじみに名前を呼ばれ

応え返せば

思い出も一緒に応え返する。

Photo

菖蒲〈アヤメ科〉

copyright Maoko Nakamura