今、ここで(Now ,here) by 中村真生子

自分探詩(じぶんさがし)& 山陰柴犬かれんとの日々

古の物語

2019-09-17 09:33:04 | 歴史・神話
犬のしっぽのように
長くのびる浜(弓ヶ浜)は
その向こうに見える
島根半島を
大山に綱をかけて引っ張った
綱の跡だという。
『古事記』ではなく
その前に書かれた
『出雲の国風土記』に載っている話。
秋の光が思い出させる
古(いにしえ)の物語。
その半島の付け根には
出雲の大社。
美保湾(弥生の遺跡・むきばんだ史跡公園より)

織姫と彦星の話

2018-07-07 12:09:15 | 歴史・神話
年に一度
七夕の日にだけ会える
織姫と彦星。

知っているようで
知らないような
二人のエピソードとは。

一生懸命田畑を耕し
みんなの食べものを作っていた彦星。
一生懸命機を織り
みんなの着るものを作っていた織姫。
結婚もせずに
みんなのために尽くしている二人に
神様はたいそう感心して
良い夫婦になるだろうと結婚させました。
ところが
結婚生活が楽しくて楽しくて
二人はちっとも働かなくなってしまい
みんなは食べるものや着るものに困りました。
それを知った神様はたいそう怒って
天の川のあっちとこっちに離れさせました。
そこで二人は改心して
また一生懸命働くようになりました。
神様もそれを認め
またかわいそうに思って
年に一度だけは会えようにしてあげました。

でした。



ベゴニア〈シユウカイドウ科〉

八重桜

2018-04-13 10:56:28 | 歴史・神話
八重桜の頃へ。

ぼたん桜と呼ばれていた
この桜を
八重桜と呼んだのは
あるいは呼ぶのを広めたのは
平安貴族だという。
和歌に使う歌ことばとして。

『万葉集』に見られる
奈良時代の感情表現から
歌ことばを使うことを
和歌のルールとして
特権階級のたしなみとなった
平安時代の和歌。

けれど
言葉による表現への思いは
連歌へ俳句へと受け継がれ
さまざまな形となって
咲き誇っている今。


八重桜〈バラ科〉

むきばんだ史跡公園

2018-01-15 10:22:45 | 歴史・神話
弥生時代の遺跡
むきばんだ史跡公園の
一角に佇む。

古代出雲を
三瓶山から大山までとするなら
ここは古代出雲の東の端。

長く連なる半島は
山で鉄の生産が行われた
鉄穴流しによるもの。

白鳳時代の寺の跡も
見つかったこの地は
長い間繁栄し
各時代のその痕跡が
今も息づいている。

こんな日に
ここから海や町を眺めれば
歴史がぐっと身近になる。

まずは
海がもっと内陸まであたことから
イメージしてみたい。


むきばんだ史跡公園

旅の季節

2016-10-14 10:22:33 | 歴史・神話
いろいろな雲の旅人に
しきりと出会うようなったこの頃。

つられて
人も旅をする。

神様さえも。

神在月には
全国から出雲の地へ。

そろそろ
旅の支度を
始められる時期だろうか。

今年は
11月9日から16日にかけての
スケジュール。

出雲がひときわ
賑わう時。



今朝の雲。下の写真は島根半島。出雲はその付け根辺り。

息づく神話

2016-08-25 15:32:59 | 歴史・神話
古代出雲は
三瓶山(島根県)から
大山(鳥取県)までという。

素戔嗚命(スサノオノミコト)や
大国主命(オオクニヌシノミコト)も
ご覧になった風景が
今も息づくこの辺り。

皮をはがれてた因幡の白うさぎを
助けたことで知られる大国主命は
この海辺の道を歩いて
白兎(はくと)海岸まで行ったのだろう。

往時も今もそびえる
大山を仰ぎながら歩いて。



昨日の夕焼けと今朝の朝日。高い山は大山。

時の歯車

2016-08-06 10:18:22 | 歴史・神話
ぎぃ~。

鈍い音が草むらで響く。

虫の声だ
なんて思っていたら
大間違い。

あれは
時の神、クロノスが
歯車を回す音。

時の歯車を
容赦なく。

もしも
その音を
聞いたなら幸運だ。

また少し
与えられた時間が
減ったことに
気づいたのだから。


雲。

浦島太郎

2016-07-07 16:27:15 | 歴史・神話
夢か現か
浦島太郎。

助けた亀に連れられて
行った先は
時間の止まった海の底。

そこがどんなに楽しくとも
そこはただただ遊ぶ場所。

いつもの暮らしが懐かしく
帰る太郎に渡された
きれいなきれいな玉手箱。

三年と思っていたのに
三〇〇年。

住んでいた家はとうになく
太郎のことは昔々の物語。

途方に暮れて
玉手箱を開ければ
三筋の煙が現われて
太郎はたちまちおじいさん。

太郎の人生を思うとき
何度読んでも
解釈ミラクル玉手箱。

読めば読むほど
解釈ミラクル玉手箱。


今朝の日野川と大山。

八雲立つ

2016-06-01 10:07:46 | 歴史・神話
「八雲立つ」は「出雲」の枕詞。

八雲立つ 出雲八重垣 妻籠みに 八重垣作る その八重垣を

須佐之男命(スサノオのミコト)が八股の大蛇(ヤマタのオロチ)を退治し、
櫛名田比売(クシナダヒメ)のために、新居を作ったときの歌である。

日本最初の和歌とされている。

出雲地方は本当に霧や雲が多い地域である。
奥出雲を訪れると
暗雲垂れて込めていることも多く
今にも八股の大蛇が出てきそうな雰囲気である。

出雲大社の裏山もよく雲がかかり
水の都、松江には霧がよく発生する。

写真の左端の島根半島の付け根部分に
出雲大社はある。
さらに右に行くと松江があり境港がある。
そして半島の先端には美保神社。

八雲立つ 出雲眺むる 弓ヶ浜 八重垣作る その八重雲を

おそまつ。


島根半島にかかる雲海(5月31日朝)。半島の付け根が出雲。

三瓶山へ

2016-05-06 22:59:53 | 歴史・神話
大山のふもとの町から
三瓶山へ。

海沿いに横たわる
細長い島根半島は
その昔
土地を広げようと
4つの地域から
引っ張ってきたもので
離れないよう
大きな杭を打って
大縄でつなぎとめたという。
その杭の名残りが
三瓶山と大山であり
縄の跡は稲佐の浜と弓ヶ浜という。

『出雲国風土記』に書かれた
昔々の物語。

それにしても
三瓶山には
男三瓶山
女三瓶山
子三瓶山
孫三瓶山と
いくつもの山が。

縄をかけた杭は
いちばん高い男三瓶山か
それともみんなひっくりめてかけたのか。

時折
古に心寄せながら
一方の大杭から
もう一方の大杭へ。


三瓶山(島根県)

タイムトリップ

2016-04-18 15:26:18 | 歴史・神話
弥生時代から
奈良時代ころの痕跡が
パズルのように
町を彩る米子市淀江町。

山を開墾すれば
壺や瓶がたくさん出土し
田畑を開墾すれば
鮮やかな寺院の壁画なども出土した。
また、条里制の跡も色濃く残る。

海を渡ってやってくる人々は
大山と高麗山が重なる
この地を目指して
舵を取ったともいわれている。

弥生時代
古墳時代
白鳳時代
奈良時代と
歩きながら
さまざまな時代へと
タイムトリップ。

日本最大級の弥生住居地から
忽然と人々が消えたのは
何を意味しているのだろうか。

九州以外では
ここでしか発見されていない石馬は
何を託されたものなのか。

3つの塔跡は日本で唯一であるが
3つ目の塔に僧侶は
何を収めようとしていたのか。

遥かなる在りし日々が
パズルのように脳裏を駆け巡る。

http://na-ka5.wix.com/maoko#!blank-13/gp0t4
(HPで多少雰囲気が感じられます)


石馬谷古墳近くに咲いていたフデリンドウ〈リンドウ科〉

黒い砂

2014-06-11 14:01:55 | 歴史・神話

ところどころ

黒い砂が層をなす

日野川河口の砂州。

砂鉄の文様。

時代と川を遡れば

森の中から

たたら製鉄を営む人々の

賑やかな声と

高殿に燃える

赤い鉄の塊。

さらに時代を遡れば

天と地を焦がす

野だたらの赤い火。

血眼になって

かき集められた

黒い砂。

けれど今はひっそりと

日がな一日

波の音を聞いている。

Photo Photo_2

アカメガシワ〈トウダイグサ科〉             カンガルーのような「かれん」

copyright Maoko Nakamura


種明かし

2013-11-27 13:57:55 | 歴史・神話

土器の表面に残る

小さな小さな穴。

砂粒が欠落した穴のこともあれば

混入した種が焼失した穴であることも…。

その小さな穴に

シリコンを流し込んでレプリカを作り

レプリカを顕微鏡で調べて

今は姿なき、穴の主を特定する。

運よく見つかった

種の穴があかしてくれることは

その時代に

その地域で

栽培されていた穀物のこと。

稗、粟、稲…。

小さな種の圧痕に垣間見る

2500年も前の暮らしの様子。

種の種明かし。

Photo_2

ハナミズキ〈ミズキ科〉

copyright Maoko Nakamura


掛け時計

2013-11-05 11:48:22 | 歴史・神話

旧い家の居間。

鍋の湯けむりと

笑い声の中に響く

掛け時計の音。

ボーン、ボーン、ボーン、ボーン、ボーン、ボーン、ボーン。

その音に誰もが一瞬

時を意識する。

けれどすぐに忘れ

鍋と話に興じ始める。

それから暫くして

ボーン、ボーン、ボーン、ボーン、ボーン、ボーン、ボーン、ボーン。

その音に誰もが再び

時を意識する。

今度はもう少し長く深く…。

クロノス(時の神)の使徒として

彼の僕たちに

彼の配下にあることを

高らかに告げる

掛け時計の誠実な仕事。

Photo

浜菊〈キク科〉

copyright Maoko Nakamura


終(つい)の形(加茂岩倉遺跡)

2012-11-06 10:03:55 | 歴史・神話

慌てて隠されたのか

放棄されたのか

山中に

無造作に埋められていた

加茂岩倉の39個の銅鐸。

再現された土中の様子に

想起されるのは一つの終焉。

森の緑と

木漏れ日の輝きのごとき

青銅器を放ち

土の色をした鉄器を手に

大地を耕す生活の始まり。

かくして人は森を出て

今へと続く暮らしを始めた。

鎮守の森に

在りし日の想いを重ねながら…。

終わりなきもの初めなし。

季節は巡り、人も巡る。

いつの時代も

大きなものに導かれながら…。

Photo

ツワブキ〈キク科〉

加茂岩倉遺跡:島根県雲南市加茂町岩倉

copyright Maoko Nakamura