窓から入り込んだ
ひんやりした空気に起こされる。
庭に水やりに行くと
「秋だよ」と囁く声がした。
見ると
千日紅と日々草の間で
秋明菊が小さな蕾をつけていた。
「ほんとに秋だね」。
まだしばらく
夏は熱を振り撒くに違いない。
バーゲンセールのように
ありったけの在庫を出してきて。
けれど秋明菊は
じきにビロードの花びらを広げるのだ。
秋の日差しによく似合う
シックな白と優しいピンクの・・・。
じきに・・・。
そしてまた季節はうつろう。
思ったよりもずっと早く・・・。
見上げると
赤トンボの群れが
忙しそうに飛び回っていた。
彼らだけが
それを知っているかのように・・・。
千日紅〈ヒユ科〉と日々草〈キョウチクトウ科〉
copyraight Maoko Nakamura